お肉が大好き、夜更かしする…「便秘になりやすい人」の特徴と対策 #217

文・大久保愛 — 2023.6.9 — Page 1/2
関東甲信地方も梅雨入りとなり、心身の不調に悩む人が増えているよう。なかでも今回は便秘をクローズアップ。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、便秘になりやすいNG行動と対策を教えてくれます!

最近、便秘に悩んでいませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 217


今年も本格的にジメジメしはじめましたね。空模様がどんよりしていると、気分もどんよりしてきます。そして、低気圧が頻繁にやってくると、その都度自律神経は乱され、胃腸の不調やむくみ、頭痛、耳鳴り、やる気の低下などなんとなく感じる不調が増え始めます。心もカラダもスッキリしない毎日が続くと簡単にできるストレス発散法に手を出し始めます。

例えば、甘いものを食べる、お酒を飲みすぎる、動画を長時間観る、夜更かしをするなど、思い当たることはないでしょうか。本来、ストレスがある、だるいなど不調を感じるときには、食事の内容に気をつけ、しっかり睡眠をとることがベストとされています。ですが、実際不調を感じるときには、思ったように行動できないものです。

スッキリしない毎日から抜け出すためにとった行動の結果として悪化するもののひとつが便秘です。便秘で悩んでいる方は、最近の自分の行動パターンを見直してみましょうね。また、便秘が続くと免疫が低下したり、肌荒れしたり、メンタルが不安定になったり、太りやすくなったりと良いことはありません。そこで、今週は便秘の対策となる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、便秘の対策となる食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
最近、すっきり便はでていますか? コロコロしていて固かったり、黒っぽかったり、ベトリと便器についたり、ニオイがきつくなったり、残便感を感じたり、お腹がはったり…と便通があったとしてもすっきりしないときには腸内で悪玉菌が増えてしまっているかもしれません。

漢方医学では、腸の働きが悪いことを『脾気虚』とよび、便が固い状態を『陰血不足』、粘性が強く黒っぽくニオイが強い状態を『湿熱』がたまっている状態、ストレスで便通が悪い時を『気滞』と考えます。便秘には、まだまだいろいろな分類が存在しますが、この時期多いのは、季節特有の高温多湿、低気圧によって自律神経が乱され、胃腸の働きが低下する『脾気虚』や食習慣の乱れや運動不足、夜更かしなどによって生じる『湿熱』の蓄積だと考えられます。

そこで、今週は『脾』を整え、『湿熱』を取り除き、腸の働きを促す食薬がおすすめです。今週食べるとよい食薬は、【めかぶとトマトの和え物】です。そして、今週のNG行動は、【お肉の食べ過ぎ】です。

食薬ごはん【めかぶとトマトの和え物】

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水溶性食物繊維の多いめかぶと不溶性食物繊維の多い切り干し大根をつかった腸活レシピ。さらに抗酸化作用の高いトマトとレモンで味を整えることで『湿熱』の除去にも役立ちます。乾物は、水でふやかして使うイメージがありますが、調味料の水分でふやかしてしまえば、手間もなく栄養素も水に流れず作れます。

<材料>
めかぶ   1パック
トマト   2個(さいのめ)
切り干し大根 2つまみ
レモン汁   小さじ2
醤油     小さじ1

<作り方>
ポリ袋に材料を入れ30分くらいおいたら完成。

NG行動【肉の食べ過ぎ】

ダイエットとして高たんぱく、低脂質、低糖質を掲げ、野菜や海藻などを食べずに肉ばかり食べる人も多いようです。その影響からか逆にダイエットの大敵となる便秘を強く感じたり、下腹部が張ってしまい、老廃物をため込んでいるケースもあるようです。

お肉は、腸内で悪玉菌の増殖を促し、便秘の改善を妨げてしまうこともあります。お肉をたくさん食べるときには、一緒に野菜や海藻、キノコ類、発酵食品などもとりいれ、腸内環境を乱さないように気をつけましょう。また、逆に脂質の多いお肉を食べすぎた時には、お腹を下してしまうこともあるかもしれません。どちらにせよ、お肉の質や量は腸内環境に影響を与えるものとなるので、お腹と相談しながらタンパク質摂取を行っていきましょう。

食物繊維が多い食材は、腸活にもなりますが、同時に血糖値の急上昇を抑えるためにも役立ち、一石二鳥です。食後の眠気がきつい人、太りやすい人、生活習慣病が気になる人は、食事の初めに今回ご紹介した小鉢を食べ、血糖の急上昇をおさえることで、不調の緩和にも役立ててみてはいかがでしょうか。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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