夜、尿意で起きる、生理痛や肩こりが酷い…「暖めても冷える人」の特徴と対策 #197

文・大久保愛 — 2023.1.26 — Page 1/2
強い寒気により寒さが一段と厳しくなっています。暖房や厚着、カイロなど外からの保温はもちろん必須ですが、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、それでも冷えを感じる人は、代謝が低く、体内で熱をうまく作り出せないのだそう。そこで愛先生が、今すぐできる寒さ対策を教えてくれます!

冷えは、さまざまな不快症状を引き起こします

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 197


今週は、10年に一度レベルともいわれる強烈な寒波がやってきましたね。雪が降る地域も多かったようで、その様子は窓から眺めている分には白銀の世界が美しく感じられますが、扉を開けた瞬間に急激な寒さと交通麻痺の影響などが体調や日常生活に影響してきますよね。

冷えるとカラダに力が入りやすくなり、肩や首のこりを強く感じたり、手先や足先がしもやけになったり、下半身のむくみが悪化したり、寝つきが悪かったり、朝方起きてしまったりと睡眠の質が低下したりと、ちょっとした不快症状が増えてしまうことがあります。

ただ、暖房や厚着、カイロなどに頼ることに加え、栄養バランスを気にかけることで、外部からの保温だけではなくエネルギーを効率よく作り出しカラダの中からも温まる食薬を取り入れることも大切です。ということで、今週は10年に1度レベルの寒さに対抗する食薬習慣を紹介したいと思います。

今週は、温活対策となる食薬習慣

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みなさん、『温活』と聞くとどんなことを想像しますか? 腹巻、レッグウォーマー、白湯、カイロを貼る、ショウガや唐辛子を使った料理などでしょうか。どれも冷えの緩和につながりますが、自ら熱を作り出すことを促すためにはちょっと弱いかもしれません。そんなときに漢方では『脾腎陽』を補い対策をとります。

イメージとして『気』を補うだけでは、暖房やカイロや厚着に頼っている状態。『脾腎陽』を補うことは、エネルギーを作り出す仕組みから改善していくことを表します。そのため、根本的に冷え体質を改善していきたいときには、『脾腎』の働きを支えることが大切です。ということで、今週食べるとよい食薬は、エネルギーを作り出すミトコンドリアの働きを助けてくれる【アサリとホタテの海鮮鍋】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:アサリとホタテの海鮮鍋】

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レシピはこちらです。

<材料>
ベビーほたて   80g
あさり      100g
昆布       3㎝
水        500ml
もやし      1袋
椎茸       4つ
醤油・みりん   各大さじ1
ネギ       おこのみで 

<作り方>
材料をお鍋にいれてコトコト煮込むだけ。野菜や魚介、肉などお好みで加えてください。

【ホタテ】

『気』を補うタウリンを含み、低脂質であるため胃が弱い『脾気虚』のタイプの人にとってもおすすめ食薬。エネルギーを作り出すミトコンドリアの栄養となる鉄やビタミンB群、マグネシウムを含み『腎陽』を補うためにも役立ちます。さらに、脳疲労の改善に役立つプラズマローゲンも含むため集中力の低下を感じる人にもおすすめです。

【アサリ】

貝類は共通して、鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、タウリン、ビタミンB群が豊富です。さらに旨味も強いので、顆粒出汁いらずの天然出汁で十分美味しく仕上がります。『補気血』『気滞血瘀』『補腎』の働きが期待できます。

寒い時には、カラダを暖める空調や洋服、入浴、腹巻、カイロ、スープなどを取り入れることは自然なことだと思います。それでも、寒さを凌ぐことができない人は、代謝を向上し熱を作り出すために必要な栄養素を補ってあげましょう。
ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と、近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。

また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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