仕事始めがキツい…【正月ボケ対策】体調を整え「気力アップする方法」 #194

文・大久保愛 — 2023.1.7
寝正月で過ごしていた人にとって、休み明けは心身がキツくて当然かもしれません。そこで中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、正月ボケを軽減し、気力アップにつながる方法を教えてくれます!

正月ボケでカラダがだるさを感じていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 194


今年もそろそろ世の中が動き始めますね。長期休暇でやる気は十分チャージできたでしょうか? 2023年も実りある充実した一年にしたいなと考えながら横になってしまうという、気持ちに行動が伴わないということはないでしょうか。

とはいえ、年末年始の休みをゴロゴロ、ヌクヌクとリラックスしながらゆっくりしていた日々から急にテキパキと動き出すのは酷なことですよね。そこで、今週は新年を清々しく過ごし、今年の目標に向かって真っすぐ行動し始めることができるように後押ししてくれる食薬習慣を紹介していきたいと思います。

今週は、正月ボケを軽減し、気力アップにつながる食薬習慣

久々にのんびりできた人も多いのではないでしょうか。両親や親せき、地元の友人などと久しぶりに会ったり、美味しいものを食べたりとリフレッシュできたことだと思います。ただ、急に日常に戻り、一年の初めだからとやる気100%で走り始めるにはちょっと無理がありますよね。お正月にだるくなるのも冬の風物詩の一つではないでしょうか。

ですが、それなりにだるくなったりやる気がなくなったりする理由はあります。一日の歩数は1万歩なんてほど遠く、夜更かししてしまい、朝はゆっくり起きて、起きている時間は横になっているか食べているかという生活スタイルになってしまうことも多いのではないでしょうか。もしそうだとしたら、人間のカラダとしてだるくなってしまうのは仕方のないことかもしれません。

また、年末からの食べ続けで胃腸や肝臓が疲れてしまっていることもありますよね。多くの人が、一年の始まりだから全速力で突っ走ろう! なんて次元には至ることはできないと思います。

漢方では、この動かず、偏食して、夜更かしして疲れやすくなっている状態を『腎陽虚』と考えます。睡眠のリズムが乱れたり、日光に当たらない日々は『腎』の働きを低下させ、動かず偏食しているとカラダのエネルギーである『陽』が不足すると考えます。そこで、今週は気力アップのために『腎陽』を食薬で補っていきましょう。食べるとよい食薬は、【カレー風味の鱈のムニエル】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:カレー風味の鱈のムニエル】

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作り方は簡単です。鱈に塩、胡椒とカレーパウダーと、おからパウダーか高野豆腐を擦りおろした粉などをまぶして、両面を焼いてレモン汁を絞ったら完成です。

【鱈】

冬に不足しがちなビタミンDが豊富で、免疫や骨密度の低下の予防に役立つため『腎』の働きを助けてくれます。また、『陽』を補うタウリンやビタミンB群、タンパク質なども豊富なので、正月のだるさを優しくサポートしてくれます。

【カレーパウダー】

複数のスパイスの複合体であるカレーパウダーは、血流を促しカラダを温めたり、消化の働きを高めたり、やる気アップを手伝ったりと冬に必要とする効能を兼ねそろえている『陽』を補う食材です。保存食が多いこの時期はカレーパウダーで味変させると味覚的にも体調的にもプラスになりますね。

一年の始まりは、できるだけ元気に明るく前向きな姿勢ですごしていきたいですよね。心とカラダのオンオフがしっかり切り替わらずに困っている人は、気合だけでどうにかしようとはせずにカラダの中から整える努力をしてみましょうね。
ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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