体を動かさない、夜遅く食べる…「疲労を感じやすい人」の特徴と対策 #193

文・大久保 愛 — 2022.12.28
疲労がどっと出やすくなる頃です。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、心とカラダに元気をチャージする簡単な方法を教えてくれます!

最近、特に疲れていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 193


仕事納めも近づき今年もゴールが見えてきましたね。ただ、ほっとするのも束の間に年越し準備や帰省の準備なども忙しくなります。息をつく間もないのが師走ですね。そろそろ、今月だけではなく1年の疲れがどっと出始めている人も多いのではないでしょうか。皆さま、今年一年も本当にお疲れさまでした。自分にエールを送りたくなりますよね。

今年の残り時間は、そんな頑張った心とカラダの疲れをリセットして、気持ちよく新年を迎える準備をする時間にもしていきたいですね。ということで、今週は心とカラダに元気をチャージする食薬習慣を紹介していきます。

今週は、心とカラダに元気をチャージする食薬習慣

朝起きると寒い、眠い、だるいの3拍子が揃い始める時期だと思います。ただ、今年もまだまだ忙しい人が多いのではないでしょうか。毎日に疲れてしまい、朝は起きられなくて朝食を抜いたり、昼はぱっと食べられるもので済ませたり、夕飯は遅い時間になってしまったりと食事の内容とリズムが崩れてしまいやすいですよね。栄養のバランスが乱れ気力が低下してしまうことが考えられます。

さらに、寒さからカラダを動かす習慣が減ってしまうことで基礎代謝の低下につながってしまったり、寝る時間が遅くなってしまうことでカラダの修復が思うようにできていなかったり、ストレスが積み重なることで自律神経が乱れてしまったりと、心とカラダの疲れを感じさせる原因が地道に蓄積していきます。

漢方では、心もカラダも疲れやすい状態を『気血両虚』とよびます。私たちの心とカラダを元気にするためには、食事・睡眠・運動が必須であることは皆さんご存じだと思います。ですが、すべてを正すことは難しいですよね。その中でも、食事の内容は比較的コントロールしやすいのではないでしょうか。ということで、今週は『気・血』を補い心とカラダに元気をチャージする食薬を紹介していきます。食べるとよい食薬は、【長いもの豚バラまき】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:長いもの豚バラ巻き】

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作り方は簡単です。皮ごと細く切った長いもに豚バラを巻いていきます。フライパンでニンニクと鷹の爪と一緒に全面焼いて、みりん・醤油を全体に絡めたら完成です。

【長いも】

心身ともに疲れるといくら寝てもだるい、ホルモンバランスが乱れる、やる気がでないなどの深い症状を感じることはないでしょうか。長いもには、心身ともに疲れているときに疲弊している副腎を支えるジオスゲニンという成分が含まれています。また、消化を助けるジアスターゼも含まれているので、忘年会続きで疲れている胃腸にも最適です。

【豚肉】

心の元気には『血』が、カラダの元気には『気』が必要です。豚肉には、『気・血』の両方を補うタンパク質、ビタミンB群、ミネラルが豊富に含まれています。アリシンを含むニンニクやネギ、ニラなどのネギ類を組み合わせるとさらに効果的です。

今年の仕事も疲れも今年のうちにリセットして、2023年を軽快にスタートできるようにしておきましょうね。それでは皆さま、心とカラダが健やかなよいお年をお迎えください。
ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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