風邪ではないのに鼻水、くしゃみ…今急増中「寒暖差アレルギー」の対処法 #188

文・大久保 愛 — 2022.11.25
中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、寒暖差が激しい今の時期は、くしゃみや鼻水、蕁麻疹などの不調が出やすいのだそう。風邪に似ているけど実は違う、その正体は寒暖差アレルギー。愛先生が誰でもできる対策を教えてくれます!

最近、風邪のような症状が出ていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 188


少し上を見上げると黄金色の銀杏並木、そして目線を下げても黄金色の絨毯。この時期、各地で紅葉が街並みを色鮮やかに染めていきますよね。そして、気候は12月の冬至を迎えるまでは、暖かいポカポカとした時間と耳や鼻を凍り付かせてしまうような寒い時間を繰り返していくことでしょう。

これによって、増えるのが、寒暖差によるアレルギーです。アレルギーの源となる物質はありませんが、寒暖差により鼻がムズムズしたり、くしゃみがでたり、咳がでたり、蕁麻疹がでたりと、風邪と混同してしまうような症状に困惑している人も多いのではないでしょうか。そこで、今週は最近急増中の寒暖差アレルギーの対策となる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、寒暖差アレルギーの対策となる食薬習慣

くしゃみや鼻水、咳、じんましんなど、最近原因のわからない不調が増えていると感じることはないでしょうか。風邪かもしれないし、アレルギーかもしれないし、新型コロナウイルスかもしれないし、何か不調を感じた時には、原因は何なんだろうと心配になりますよね。何はともあれ、不快症状をなくすための行動は必要です。

この時期、1日の中においても、日ごとを比較しても、寒暖差が非常に大きくなります。気温の変化にカラダがついていかず、自律神経が乱れてアレルギー症状を感じてしまう人が増えます。漢方では、自律神経が乱れやすい状態を『血虚』や『肝気鬱結』、アレルギー症状が現れやすい状態を『湿熱』がたまっている、『気虚』などと表現します。

この改善には、ミネラルを中心に『血』を補うこと、極力炎症の原因となる糖質を控えることや腸内環境を整え『湿熱』を取り除き『肺』をケアするような食薬が役立ちます。そこで今週食べるとよい食材・メニューは、【ワカメとタコの酢の物】です。そして、きちんと毎晩入浴すること、少し早く寝ることも同時に行うことも並行して行っていきましょう。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ワカメとタコの酢の物】

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作り方は簡単です。一口大にカットしたゆでタコと水で戻したワカメを和えて、お酢や醤油で味を整えたら完成です。ゴマやゆずを添えてもよいですね。また、お酢やレモン汁、ゆずなどの酸味や柑橘系の香りには、『気滞』を解消し、ストレスをやわらげ自律神経を整える働きがあるとされています。そのため、自律神経の乱れによる不調を感じた時には、酢の物がおすすめです。

【タコ】

高タンパク、低脂質、低カロリーでヘルシーなタコは『血』を補うために役立ちます。また、元気をつけたり、肝臓の働きを助けるタウリンやミネラルを含むため、『肝』の働きを整えたり、『気血』を補うためにも役立ちます。

【ワカメ】

ミネラルや食物繊維を多く含む特徴があります。そのため、腸の働きを整え、アレルギーの炎症の原因となる『湿熱』や『痰湿』の除去に役立ちます。また、腸内環境が乱れていると、自律神経を整えるうえで必要なセロトニンが減少してしまうので、ダブルの力で役立ちます。

体調がなんだかスッキリしないと感じる人は、まずは余分な食事を控え、腸内環境を整えることから始めてみましょう。そうすると、原因がアレルギーだとしても風邪だとしても免疫の低下を防ぎ、カラダを守る支えとなってくれます。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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