乾燥だけじゃなく胃腸が悪い証拠かも…「唇が荒れやすい人」の特徴と対処法 #183

文・大久保愛 — 2022.10.21
秋になり空気の乾燥も手伝って、唇がカサついていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、唇の乾燥を和らげる簡単な方法を教えてくれます。

唇、カサカサ荒れていませんか?

唇 乾燥 荒れ カサカサ 解決 潤う 対策 対処法

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 183


朝起きると喉がイガイガする日が増えてきました。晴れた日は、澄んだ空気に遠くの山々がくっきり見えて感激しますが、それは空気中の水分量が減り、視界がよくなっていることも理由の一つです。

これからの時期、リップクリームやハンドクリーム、ボディクリームなどで保湿が欠かせなくなりますよね。唇の皮がカサカサになり、リップクリームをいくら塗っても改善できなかったり、なめてしまって悪化させたり、皮をきれいにはいでまたむけての繰り返しというかたも多いのではないでしょうか。

唇は、頬などの皮膚と比べ5倍もの速さで水分が蒸発し乾燥すると言われています。内臓と外界との接点となる唇は、外気の乾燥に加え、内臓の状態というのも影響してきます。そこで、空気の乾燥が増していくこれからの時期、唇の乾燥を少しでも和らげるためにできる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、唇の皮むけの対策となる食薬習慣

そろそろ唇、指先、かかと、スネなどの、秋冬特有の乾燥が出始めるころではないでしょうか。とくに、唇の乾燥は第一印象や清潔感に影響したり、口紅の発色が悪くなったり、大きな口を開けて食事をするときなどに不快感を感じますよね。そして、その場しのぎで舐めてしまったり、マスクをして隠れるからと気にするのをやめたりしてはいけません。

唇は、皮膚でも粘膜でもなく、分類的にはその中間くらいの機能をもつとされています。外界から飲食物を摂取するときに口を入り口としますが、その時の異物侵入のための第一関門にもなるため、温度や質感に対して敏感になるよう感覚神経が発達しています。また、漢方では見た目で体調を判断する望診という診断方法をつかいますが、唇も判断するときの材料となっています。

唇の赤みはたくさんの毛細血管が透けてみえることによって生じているため、唇の色が青いと冷えていたり血流が悪かったり、白っぽかったら貧血気味だったり、真っ赤だと炎症を起こしていたり、熱がこもりやすい状態と考えます。さらに、カサカサしているときには、胃腸にダメージが加わっているとも考えます。

そこで、唇が乾燥してきたときには保湿やクレンジングも大切ですが、それに加え胃腸に対する負担も減らす、『脾』や『腸』のケアをすることを推奨します。そこで、今週食べるとよい食材・メニューは、【サツマイモとリンゴのレモン煮】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:サツマイモとリンゴのレモン煮】

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作り方は簡単です。サツマイモとリンゴを皮をむかずに一口大にカットします。そして、お水とみりん、お好みで蜂蜜などを加え煮込み、レモン汁をたっぷりかけたら完成です。干しブドウやシナモンなどを加えるのもおすすめです。

【サツマイモ】

秋といえばサツマイモが恋しくなりますよね。サツマイモといえば、食物繊維が多く腸活のお供としても有名です。その皮は、たまに白っぽい液体が出てくると思いますが、これはヤラピンという成分です。腸の動きをさらに活性化し腸を整えてくれます。皮周辺が腸活には重要です。さらに抗酸化作用の高いビタミンCやβカロテンなども含むため、お肌のトラブルで悩むときにはおすすめです。

【リンゴ】

リンゴ1個で医者いらずともいわれるリンゴですが、特に皮に強力な抗酸化作用、血流促進、口臭予防などに役立つ成分が多く含まれます。また、加熱すると皮に多く含まれるペクチンの抗酸化力が高まるためおすすめです。

サツマイモもリンゴも今が旬ですよね。旬の食材は、基本的にその季節の不調を取り除く力を秘めています。レモンでさっぱり煮込んで、唇ケアをしていきましょう。甘味を強くすれば日持ちもしますよ。たくさん作って、ちょっとずつ食べるのもおすすめです。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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