寒暖差で風邪をひいたかも! 「バリア機能を高め自律神経を整える」感染症対策 #181

文・大久保愛 — 2022.10.8
秋を通り越して冬を感じさせるような気温の低い日が続きました。寒暖差にカラダが追いつかず、体調を崩していませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、風邪の引き始めに効果的な方法を教えてくれます!

気温が急に低下! 体調を崩していませんか?

風邪 免疫 低下 バリア機能 発熱 鼻水 咳 くしゃみ

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 181


急に冬がやってきたようなお天気が続きました。冷え込んだ朝は布団から出るのがつらいですよね。秋晴れもつかの間に肌寒い毎日が続きます。また、こういった急に冷え込んだ日が続くとカラダが慣れず、寒暖差でくしゃみや鼻水などがとまらず、風邪ぎみの人も増えているようです。もともと冷え性の人は手先足先が冷たくなってしまい、急に冬物のコートを着始める日も増えてきたのではないでしょうか。

ところで、しっかり湯船につかっていますか? 良質な睡眠には睡眠時に深部体温が下がることが必要になります。そのため、もともと冷えてしまっている人は、うまく深部体温が下がらず、睡眠の質を低下させてしまいます。夜はしっかり湯船につかり、体を温め睡眠の質を上げ、成長ホルモンの分泌を高め、体に対するダメージを一日ずつリセットしておきましょうね。ということで、今週は急な冷えで風邪気味になってしまった人のための食薬習慣です。

今週は、冷えて風邪気味になってしまった人のための食薬習慣

急に冷え込み、空模様は不安定になり、秋の心地よさはどこへやら。急な雨や冷え込みにくしゃみ鼻水、手足の冷え、足のむくみ、睡眠の質の低下などを感じていないでしょうか。そのまま放置していると、バリア機能は低下し、これからの風邪シーズンにさまざまな感染症にかかりやすくなってしまいます。

この時期はもともと漢方ではバリア機能が低下しやすい『肺気虚』になりやすいと言われています。そして、もともと『気血水』が不足している人が特にその影響をうけ、さまざまな不調が表面化してきてしまいます。

そこで、今週は急な冷え込みに負けないように『気』と『血』を補いバリア機能を高めるために『気』と『水』を補い、自律神経を整えるために『血』を補い『気』の巡りを改善することで対策をとっていきましょう。食べるとよい食材・メニューは、【鮭と梅干しの混ぜご飯】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:鮭と梅干しの混ぜごはん】

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作り方は簡単です。ほぐした鮭と叩いた梅干し、大葉、おろし生姜、鰹節、海苔などを入れて、醤油で味を整えたら完成です。混ぜご飯ではなく、炊きこんでしまうのもよいですね。

【鮭】

『気・血』を補う代表的な食材、鮭。ヘム鉄やタンパク質、ビタミンB群などをバランスよく含んでいます。さらに、『水』を補うEPAやDHA、ビタミンDも豊富です。そして、さまざまな細胞にかかるダメージを軽減する赤い色素アスタキサンチンも含むスーパーフードです。

【梅干し】

『気』を補うクエン酸や、リンゴ酸、コハク酸や『水』を補うミネラルも豊富です。さらに、酸味のある食材は、『気』の巡りの改善に役立つので自律神経を整えるために役立ちます。また、加熱した梅干しは、脂肪燃焼に役立つバニリンという成分が増えるので、ダイエット中の人は炊き込みご飯の方がおすすめです。

地球に生まれた以上、気候の変化に適応するすべをいくつも身につけておかなければなりません。異常気象や新種のウイルスなど、年々増えていますが、その都度翻弄されないようにカラダのベースを強くしたり、環境変化に適応する食薬を身に着けておくことは必須だと言えますね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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