腸内環境を整えセロトニンを増やす! 月経前の「気分の落ち込み」簡単対策 #169

文・大久保愛 — 2022.7.15
程度の差はあれど、月経前に不調を感じるという女性はほとんどと言ってもいいかもしれません。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、月経前の気分の落ち込みを改善する簡単な方法を教えてくれます!

月経前は気分の落ち込みが酷くなる?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 169


女性にはどうしても気分が落ち込んでしまう瞬間があります。特に、月経前。理由もなく涙がでたり、悲しくてどうしようもなくなったり、どんな出来事も悪い面しか見えなくなったり、みんなが笑っていても笑えないときがあったり、必要以上に反省してしまうことが多かったり…。また、ネガティブな考えは、迷宮入りするパターンが多く、悪い思考や過去の記憶を連鎖的に結び付け、嫌な気分が長期化したり、寝る時間を削ってまでくよくよと嫌な思考が頭の中を巡ってしまいます。

たまにであれば、そんな自分の一面もあるんだなと客観視して吹き飛ばしてしまえばよいですが、頻繁に起きてしまうのであれば、自分の人生において深刻な問題になってしまうと思います。女性の場合には、高温期である月経前のタイミングに深刻な気分の落ち込みを数日間感じてしまう人が多いです。そこで、今週はただでさえ、暑さにやられ心がバテてしまいそうな人が増えてきていると思うので、月経前の気分の落ち込みを軽減する食薬習慣を紹介していきます。

今週は、月経前の気分の落ち込みを軽減する食薬習慣

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月経前、月経中、排卵時など全く何の不調も起こらないという人は、非常にレアだと思います。みなさんはいかがでしょうか。何も起こらないことが理想ですが、さまざまな複合的な要因で、気分の落ち込み、不安感、イライラ、過食、膨満感、出血、腹痛、下痢、便秘、胃痛などさまざまな症状に悩まされるものです。

このなかでも、気分の落ち込みについては、漢方では胃腸が弱く疲れやすい『脾気虚』や『血虚』のタイプの人に起こりやすいと考えられています。気分の落ち込みは、脳の神経伝達物質に関係する必要な栄養の吸収がしっかりできることや、腸内環境と関係するセロトニンという物質の量も関係してきます。さらに、今のような湿度が高い時期には『脾』がダメージを受けやすいと考えられています。

そこで、今週は『脾』の働きをサポートし『気血』を補う食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【オクラ納豆】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:オクラ納豆】

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オクラは生でも食べることができるので、抵抗がない人は生で食べると便利。キッチンバサミでそのままオクラをカットしながら納豆に混ぜて、醤油を加えたり、お酢やカイワレ、ブロッコリースプラウトなどを混ぜて食べても良いと思います。気になる人は、オクラをレンジでチンしてから加えてみてくださいね。

【オクラ】

オクラは夏野菜なので、体にこもる熱を冷ましてくれたり、ネバネバ成分が胃腸の粘膜を強化したり、腸内環境を整えるために役立ちます。『脾気』を補い、『胃熱』を抑える野菜です。他にも、ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、鉄、カルシウムなども含まれています。足がはやく余りやすい野菜の一つでもあると思うので、納豆や味噌汁にポトポト落として新鮮なうちに食べ切りましょう。ちなみに冷凍保存も可能です。

【納豆】

納豆は、タンパク質が豊富で、腸内環境にプラスに働く優秀な食材です。また、オクラに含まれるネバネバ成分はタンパク質の吸収を促すため、納豆との食べ合わせは最高です。『気血』を補うことのできる食材です。気力も体力もないときには、お菓子やお総菜などではなく納豆を食べるようにしてみましょう。便秘解消、ダイエットにもなりますよ。

気分が落ち込んだときには、自分の目の前の世界が暗くなりますよね。たまにはそんな日もあっていいと思いますが、毎月訪れたり、長期的に続くようでは生活に支障がでます。まずは何からはじめたらよいかわからないときは、食事の内容の見直しをしてみましょう。もし、それも面倒なときには、とりあえずオクラ納豆を食べてみて一休みしてみてくださいね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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