忙しくてイライラしてない? 「メンタルを整える」簡単な方法 #157

文・大久保愛 — 2022.4.24
春、環境の変化にGW前の追い込みが加わり、仕事や家事、育児が多忙を極めて、心も時間もゆとりがなくなっている人が多いよう。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、イライラやメンタルの乱れに効果的な方法を教えてくれます!

最近、苛立ってませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 157


最近、心の底から笑った記憶はありますか? 眉間にしわばかり寄せていないでしょうか。歯を食いしばり仕事をして、息が詰まるような毎日を繰り返しているとしたら、なかなか笑顔にはなることができないと思います。

自分は、どんなことをしているときに楽しかったり、嬉しかったり、笑ったりするのか具体的にわかりますか? もし、ぱっと思いつかなければ一度リストアップしてみてくださいね。ストレスがたまったときには、日ごろ頑張っている自分にご褒美として、そのリストに書いたことを一つずつ実行してみましょう。ということで、今回はGW前に忙しさでパンクしそうで、苛立っている人のための食薬習慣を紹介します。

今週は、怒りっぽいときの食薬習慣

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ここ最近は、ポカポカの気候で気持ちの良い日が続いたと思うと、梅雨のような雨が続き変わりやすい空模様でしたね。こういった、気圧の変化が大きかったり、強い風が吹いたりする気候は、春の特徴ともいえます。

漢方で、春は一年間でもっとも怒りっぽくなる季節だと考えられています。怒りが春風のように頭の中でグルグルとうずまき、頭に血が上ってしまうような状況を『肝風』などと表現します。そして、春には『肝』の働きが低下しやすく、『肝血虚』や『肝気鬱結』などという状態になりやすく、普段ならなんとも思わないような些細なことに一つ一つイライラしてしまうことがあると考えられています。

そこで、今週は『肝血』を補い『肝気』を巡らせる食薬で対処していきます。今週食べるとよい食材・メニューは、【ルッコラとシラスのサラダ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ルッコラとシラスのサラダ】

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作り方は、ルッコラを刻んで、シラスをのせて、レモン汁とオリーブオイルをかけたら完成です。カットしたグレープフルーツなど柑橘系のフルーツを一緒に和えると気の巡りがよくなり、さらにメンタルが整いますよ。

【ルッコラ】

アブラナ科の野菜には、共通してイソチオイアネートという香り成分が含まれています。抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用などが期待できます。さらに香りが高い食材は、総じて『肝気』の巡りを改善する働きをもつため、特有の香りをもつルッコラは怒りっぽいときにはお勧めです。また、ビタミンE、βカロテン、ビタミンC、鉄、カルシウムなどの栄養も豊富です。『肝血』を補うためにも役立ちます。

【シラス】

骨も内臓も丸ごと食べることができるため、タンパク質、ビタミンD、鉄、カルシウムなどのミネラルも豊富にとることができるので、『肝血』を補うことができます。また、シラスは塩味が強いので、調味料代わりに活用するのがおすすめ。

最近頑張りすぎている人は、自分へのご褒美時間をつくったり、ルッコラとシラスのサラダを食べたりして、のんびり過ごしてみましょうね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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