新生活で自律神経が乱れてるかも! 今増加中の「頭痛、肩こり」簡単対策 #155

文・大久保愛 — 2022.4.8
新年度が始まり、環境が変わった人も多いでしょう。慣れない生活での緊張やストレス、疲労から肩こりや頭痛が酷くなっていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、これらを予防する簡単な方法を教えてくれます!

最近、肩こり、頭痛が酷くなっていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 155


各地で入社式や入学式などが行われ、新生活が本格的にスタートした人も多い時期だと思います。さまざまな希望や期待を胸に気が引き締まりますよね。それと同時に肩には力が入り、肩こりの悪化や背中が内側に丸まり呼吸が浅くなることも多いようです。筋肉は硬直し、酸素が不足すると肩こり、頭痛は悪化してしまいそうですよね。

最近、肩こり、頭痛が悪化している気がしている人は要注意です。緊張しているとき、イライラしているとき、考えすぎてしまっているときなど自分の感情と紐づけをして肩の力を意識的に抜き、深呼吸する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。そして、食薬として体の中から肩こり、頭痛の予防をする方法があるのでご紹介したいと思います。ということで、今週は肩こり、頭痛を予防する食薬習慣を紹介します。

今週は、肩こり、頭痛を予防する食薬習慣

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いつもと違った環境におかれたとき、私たちはその環境に適応しようと無意識に視覚や聴覚などを駆使して必死に情報収集をしようとし、頭を酷使して言葉を慎重に選び、些細な行動にも神経を使いますよね。この状態は、交感神経が優位な状態といえますが、長期的に続くと血行は悪くなり、筋肉は硬直していきます。その結果、肩こり、頭痛、眼精疲労などの症状を強く感じさせてしまうのです。

これを漢方では、自律神経が乱れ血流が悪い『血瘀』、感情が安定しない『血虚』と表現します。そこで、『血』の巡りを改善する食材と『血』を補う食材を一緒に取り入れることがおすすめです。今週食べるとよい食材・メニューは、【肉みそのピーマンカナッペ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:肉みそのピーマンカナッペ】

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ピーマンは、生でもおいしく食べられる野菜です。さらに、ピーマンのワタや種には、ポリフェノールが皮の10倍も含まれています。実は食べないともったいない部分ですよね。そこで、ひき肉とピーマンの種とワタ、おろし生姜、味噌、白ごまを炒めて肉みそにしてみましょう。それを半分にカットした生のピーマンに乗せてカナッペ風にしていただきます。糖質オフなおつまみにもなり栄養満点で嬉しい1品です。

【ピーマン】

ピーマンの苦み成分であるピラジンやクエルシトリンには血流を促したり、解毒作用があります。また、ピーマンに含まれるビタミンCは熱に強く、さまざまな調理方法でも抗酸化力が落ちにくい野菜です。鉄分を多く含む食材と一緒に食べるとその吸収を促してくれます。そのため、『活血』と『補血』のサポートができます。

【ひき肉】

調理しやすいお肉といえば、ひき肉ですよね。特に鶏肉のひき肉は、肉の中でもビタミンAが多かったり、イミダゾールペプチドを含むため抗酸化作用や脳疲労の改善などにも役立ちます。また、動物性の食材には、タンパク質、鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群も多く含まれるため、脳の働きを助ける栄養素をしっかり摂取することができる『補血』食材といえます。肉みそを作って常備しておくのもよいですね。

新年度が始まり、肩の力が抜けない毎日を過ごす人は体の中から気持ちを緩ませてくれる栄養を補給して気分転換を心がけましょうね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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