自律神経を整える! 不眠、不安感、焦燥感「メンタルが安定する」簡単な方法 #153

文・大久保愛 — 2022.3.25
桜の満開はもう間近。素晴らしい季節の訪れだというのに、不眠や不安感、イライラなどの不調を抱えていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生よると、季節の変わり目は自律神経を酷使するため乱れやすいとのこと。愛先生が自律神経を整える簡単な方法を教えてくれます!

最近、メンタルや睡眠が不安定になっていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 153


春本番がスタートする春分の日が過ぎました。これからは、夏至に向けて徐々に太陽の光が日本を照らす時間が延びていきます。このタイミングを漢方では『陰』から『陽』に性質が変わるときと考えます。というのも、私たちの体に影響するものとして食事や呼吸のように『光』があるからです。光は、セロトニンやビタミンDの生成などにも関係し、メンタルや睡眠、免疫にも影響を及ぼします。

そして、少しずつ心身ともに活発に過ごす『陽』の性質がスタンダードとなっていくことだと思います。この『陰・陽』の変化は春分と秋分の日を境として起こります。このような大きな変化があるとき、私たちの体はその状況に適応するために自律神経を酷使することになります。

気圧や気温、環境の変化などが短期間で幾度となく変化していきます。そのため、栄養状態や睡眠の状態が日頃から悪く、環境適応能力が低下している場合には、焦燥感や不安感を感じたり、なんだか心が落ち着かないという日も出てきてしまいます。

春に感情を乱されることは、そう珍しいことではありませんが、草木が一斉に芽吹きだす春には、桜やチューリップなどのお花を眺めながら、のびのびと心地よく過ごしていきたいものです。そこで、今週は自律神経を整える食薬習慣を紹介したいと思います。

今週は、自律神経を整える食薬習慣

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毎朝、すっきり目覚めることはできていますか? 日中ぼーっとする時間が増えていませんか? 些細なことにイライラしていませんか? 意味もなく不安になることはありませんか? 夜になるにつれて火照ってくることはありませんか? 布団に入ると目がさえてしまいませんか? このような不調を感じている人は、春の気候に自律神経を乱してしまっているかもしれません。

原因のわからないなんとなく感じる不調があると、私たちは不安になりますが、ちょっと客観視をしてみることで、現時点での栄養状態や運動習慣、睡眠のリズムなどを把握し、見直すべきポイントがないか考えてみましょう。漢方で、自律神経が乱れやすい状態を神経伝達物質の材料が不足する『肝血虚』や『肝気鬱結』などと表現します。

そこで、『肝血』を補い、『気』の巡りを改善する食薬で対処していきます。今週食べるとよい食材・メニューは、【砂肝と玉ねぎのガリックソテー】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:砂肝と玉ねぎのガリックソテー】

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作り方は、一口大にカットした砂肝、スライスした玉ねぎ、刻んだニンニクを炒め、酒、みりん、醤油、塩コショウで味を調えたら完成。

【砂肝】

高タンパク、低カロリーそして、比較的価格が安い砂肝。また、脳の神経伝達物質の材料や赤血球の材料にもなるビタミンB群、亜鉛、鉄、マグネシウムなどの栄養素が含まれています。ヘルシーに『血』を補うことのできる食材です。

【玉ねぎ】

玉ねぎの色素や香り成分であるファイトケミカルには、『気』の巡りを改善する働きがあります。また、ケルセチンやグルタチオン、硫化アリルが含まれ、腸や肝臓など体におこる炎症を抑えたり、偏食による糖化やストレスによる酸化を抑えたりしてくれます。

春の不調は、いったん俯瞰してみることで原因が見えてきて、気持ちが楽になることがあります。あまり深刻に考える前に改善点がないかを考えてみることが大切です。揺るがない心と体を作り、年に一度の桜の時を笑顔で過ごしていきましょうね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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