簡単にできる花粉症対策…! 今からが肝「鼻のムズムズ、くしゃみを抑える方法」#146

文・大久保愛 — 2022.2.3
本格的な花粉シーズンの到来を前に、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が今からできる簡単な花粉症対策を教えてくれます。積み重ねてカラダの土台から変えていきましょう。

くしゃみや鼻水、目のかゆみ…花粉症の時期が到来です。

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 146


今年も2月4日に立春が訪れ、暦の上では春を迎えます。まだまだ一年でもっとも寒い時期と言われるほどの冬の寒さを感じますが、これから春に向けて幾度となく気圧や気温の急激な変化や強風を経験しながら温かい春本番へと移行することになります。

そして、強い風にのってやってくるものといえば、花粉や黄砂、PM2.5などです。春は待ち遠しいですが、春が訪れるためには、乗り越えなければならない試練のようなものですよね。なかにはまったく症状のないかたもいますが、毎年くしゃみや鼻水、咳、目のかゆみなどに悩まされる人には、つらい時期となることでしょう。そこで、今週は花粉症の序盤である今の時期から対策をとるための食薬習慣を紹介していきます。

今週は、花粉症対策となる食薬習慣

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今月から全国的にスギ花粉の飛散がはじまる予報がでています。上旬には、関東、東海の一部、九州などでスタートし、中旬には東海全域、中国、近畿、東北南部に広がり、下旬には北陸、来月上旬には東北北部と全国に広がる予定です。

その後、スギ花粉がおさまったかと思うと、ヒノキ花粉がスタートしていきます。これに加え、気圧の変化や寒暖差で自律神経が乱れ、体も心も乱されていくことになります。一年のうちでも体調不良が増えやすい時期と言われるのもうなずけますよね。

漢方では、アレルギーの原因となる『湿熱』を取り除き、防御機能を高める『衛気』を補うことが対策となると考えています。そこで、今週は炎症を抑え防御機能を高める『気』を補いつつ、炎症の原因となる『湿熱』を取りのぞいていきましょう。食べると良い食材・メニューは、【鯖缶ときのこのトマト煮込み】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:鯖缶ときのこのトマト煮込み】

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作り方は、鯖の水煮缶、ニンニク、パックのトマトジュース、スライス玉ねぎ、えのき、舞茸、椎茸など好きなキノコ類を入れて煮込むだけ。塩とブラックペッパーで味を整えて完成です。お好みでオレガノやバジルをかけても良いです。

【鯖缶】

鯖など青魚には、EPAやDHAなどの必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸を含むため、かゆみや痛みなどの炎症やアレルギー症状を抑える働きがあり防御機能である『気』を補います。

普通に生活していると、炎症を加速する必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸を摂取するタイミングが多く、脂質のバランスとしてオメガ3脂肪酸の摂取量が少ないケースが多いので、アレルギーが気になる人は、青魚やくるみなどのナッツ類をとるようにしたり、アマニ油をドレッシングとするなどして意識的に多くとるようにしましょう。

【キノコ類】

免疫のサポートをするビタミンDを豊富に含みます。また、腸の蠕動運動を促し、腸内環境を整えるためにも役立つので、アレルギー症状の原因となる『湿熱』の除去にも役立ちます。また、キノコ類は、冷凍するとキトサンやグアニル酸が増加するので、多く買ったら冷凍しておきましょう。

花粉症など季節的な疾患は、一定期間耐えれば消えていくものです。そのため、体質を変えようとするモチベーションは維持しづらいものです。ですが、何もしないでいると来年、再来年と症状が悪化したり、アレルギー体質になったりしてしまうかもしれません。

食事には、即効性はありませんが、地道な積み重ねが必ず体を支える土台を構築してくれます。ライフワークとして食薬ととりいれていきましょう。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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