感染対策に重要なのは湿度と…! 「バリア機能を高める」簡単な方法 #145

文・大久保愛 — 2022.1.28
湿度が下がるとともに低下するといわれているバリア機能。感染対策をしっかりするためにも、今一度バリア機能に着目してみましょう。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生がバリア機能を高める簡単な方法を教えてくれます!

部屋が乾燥していませんか?

コロナ 風邪 バリア機能 高める

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 145


現在流行中の新型コロナのオミクロン株は、非常に感染力が高く感染者数はどんどん増え、日々驚かされますよね。いつ自分がかかってもおかしくないという危機感をもった行動が大事です。マスクと消毒を徹底する人は多いと思いますが、リモートワークが増え家の中で過ごす時間が増える最近、湿度の管理は大丈夫でしょうか? 

今、おうちの湿度は何パーセントくらいでしょうか? 今一度ご確認いただきたいポイントの一つです。外気が寒いので、一日中暖房器具を使って過ごす人は多いと思いますが、あっという間に空気は乾燥し湿度は20%などカラカラの状態になってしまいます。感染症対策には、40%を下回らないようにすることがベターとされています。ということで、今週は乾燥により低下するバリア機能を高めるための食薬習慣について紹介します。

今週は、喉のバリア機能の低下を防ぐ食薬習慣

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お部屋の中、乾燥していませんか? 乾燥した空気の中、マスク習慣の影響で口呼吸が癖づいてしまった人は、ダイレクトに喉にダメージを受けるので特に注意が必要です。そして、湿度が低い部屋がなぜダメかというと、湿度が40%を下回るとウイルスの水分も蒸発してしまい、広範囲に飛沫が広がりやすくなってしまい、空気と一緒に吸い込んでしまう可能性が高まるからです。

そして、口、喉、鼻などの粘膜が乾燥すると粘膜に存在する免疫物質IgAの産生が低下してしうまうため、バリア機能が低下してしまいます。これを漢方では『衛気』の不足や『肺腎陰虚』などと表現します。そして、粘膜は腸にもありますが、IgAは腸内で増えるので、便秘や下痢をしていて腸内環境が乱れている時にも低下しやすくなります。そこで、今週は『衛気』と『陰』を補いバリア機能を高める食薬習慣を紹介します。食べると良い食材・メニューは、【なめことニンニクの味噌汁】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:なめことニンニクの味噌汁】

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作り方は、擦りおろしたニンニクを入れて、いつも通りなめこの味噌汁を作るだけです。

【なめこ】

なめこはネバネバしていて、のどや腸の粘膜に潤いを与え『気陰』を補ってくれます。喉のバリア機能を高めたり、腸内環境を整えたりする働きが期待できます。また、キノコ類には共通して冬に不足しがちな免疫のサポートに働くビタミンDも含まれています。

【ニンニク】

ニンニクには、強力な抗菌作用、抗ウイルス作用、血行促進作用などがあるアリシンを含まれていることが知られていますよね。体調が心配な時には、味噌汁にすりおろしニンニクを加える習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

体調を崩しやすい今の時期、風邪、新型コロナウイルス、アレルギー、寒暖差など、何が原因の不調だとしても、まずは新型コロナウイルスを疑われることだと思います。とにかく、免疫を下げないこと、不調を寄せつけないことが大切です。日ごろから体を強くする習慣を一つでも多く取り入れてみましょう。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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