胃が疲れていると太る…!? 「弱った胃腸を回復させる」簡単な方法 #139

文・大久保愛 — 2021.12.18
クリスマスやお正月などごちそうを食べる機会が増える年末年始、胃腸が疲れたままだとカラダが重くなり、不調だけでなく体重増加にもつながります。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、弱った胃腸を回復させる簡単な方法を教えてくれます!

最近、胃腸の調子や体重増加が気になりませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 139


最近、外食などで食べる機会は増えていないでしょうか。それに伴い着実に体重も増えている人も多いと思います。そして、胃腸は重くなり、食べ疲れを感じさせます。これからクリスマスやお正月もあり、ごちそうを食べる機会はさらに増えますよね。ということで、ここらへんで胃腸を休ませる食薬をとりいれてみてはいかがでしょうか。

また、季節はどんどん冬らしさを増していきますよね。ちょっと油断するとお腹が冷えて調子が悪くなってしまうこともあるかもしれません。今週はクリスマスが始まる前に胃腸を休ませ、年末年始を楽しむ準備としての食薬習慣を紹介します。

今週は、胃腸を休ませる食薬習慣

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最近外食が増えていませんか? 冬の新作スイーツを片っ端から食べてはいないでしょうか。冬は美味しい食べ物が増えますよね。ホクホクしたものやクリーミーなものホッとするようなもの…あれもこれも一口味わってみたいなという誘惑がそこら中にあふれていますよね。趣味がグルメで食べ歩きが好きな人や、お料理やお菓子作りが好きな人などにとっては、至福の季節だと思います。

ですが、よく考えると糖質や脂質の量が多いメニューが多くないでしょうか。また、これから豪華な料理やケーキ、甘辛く味がしっかりついたお節などを食べる機会もあり、太ることが簡単に想像できますよね。また、太るだけではなく、いつもお腹が重かったり、胃もたれをしていたり、お腹が張ったりして食べ疲れを感じてしまうこともあると思います。

そのまま、胃腸を休ませずに食べ続けてしまっては、胃腸への過剰な負荷が消化吸収能力を低下させ、体がだるくて疲れやすく、動くのが面倒になってしまう寝正月へと突入してしまいます。新年といえば、心機一転すがすがしい気分で元気に幕開けしたいと思いませんか? もし、今食べ過ぎていて胃腸が重く感じてしまっている人は、今のうちに一休みさせて本格的な年末年始に備えておきましょう。

そして、寒さも本格化してくる時期なので、お腹を冷やさないように温かい飲み物をとることも大切です。漢方で、胃腸の調子が悪く疲れやすさを感じている状態を『脾気虚』といいます。そこで、今週は『脾』の働きを助け、『気』を補う温かい食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【キャベツ入り湯豆腐】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:キャベツ入り湯豆腐】

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作り方は、豆腐、キャベツ、昆布、シイタケ、舞茸など好きなキノコ、油揚げ、醤油、みりん、水をお鍋に入れてコトコト煮込んだら完成です。玉子をおとして半熟で食べてもいいですね。

【キャベツ】
キャベツには、胃腸の粘膜を保護するビタミンUが含まれているので食べ疲れの時には最適な『脾』の働きを助ける食材です。また、加熱することで抗酸化作用が5倍も高まり消化もよくなります。そして、水溶性のビタミンであるビタミンUやビタミンCはスープに溶け出るため、スープまでしっかり飲むようにしましょうね。

【豆腐】
漢方で、豆腐には体を潤し腸の働きを改善する働きがあるとされています。豆腐は、大豆をすりつぶして絞りだした豆乳ににがりを入れて固めてつくります。そのため、タンパク質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などのミネラル、ビタミンB群も豊富です。食べ疲れで胃腸が弱っている時にでも負担なく栄養を吸収することができる『気』を補う食材です。

これからお腹がいっぱいで胃腸を一休みさせたくなるタイミングが、何度も訪れるかもしれません。そんなときには、胃腸の働きをサポートするキャベツ入り湯豆腐を活用してみてくださいね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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