冷えは肩こり、むくみの原因にも…今から簡単にできる「冷え症対策」 #137

文・大久保愛 — 2021.12.3
本格的に寒さを感じてきました。冷え症の方は既に手足の冷たさや、それに伴う不調に悩まされていることでしょう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が今からできる簡単な冷え症対策を教えてくれます!

今年は特に冷えを感じていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 137


手先足先の冷えを感じるようになりましたね。長期化する自粛生活の影響で例年より体が弱り、冷えを強く感じてしまう人も多いと思います。とくに、最近体を動かしていない人、デスクワークで体が固まっている人、リフレッシュできずストレスがたまっている人、貧血気味の人などは寒さを強く感じてしまう傾向があります。

みなさん今年の冷えは強く感じていますか? それとも例年通り変わりないでしょうか。この冷えを今年一年の自分の生活習慣の通信簿のように受け取ってみましょう。そしてもし、冷えにまつわる不調を強く感じているようなら、今年一年を「終わりよければすべて良し!」となるように生活習慣の見直しをして今月を過ごしてみてはいかがでしょうか。今週は、冬の冷えを強く感じる人のための食薬習慣を紹介します。

今週は、冷え症対策の食薬習慣

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冷えを感じているの人の多くは、下半身のむくみと肩こりを同時に感じているのではないでしょうか。冷えを強く感じているだけでもつらいのに、そこに二次災害的に不調が複数加わることが多いため本当に厄介です。漢方では、底冷えしてしまう人の体質を『腎陽虚』といいます。そして、血流が悪くなり、『瘀血』が加わりやすくなります。

食事だけでどうにかできる問題ではないので、食薬に加え大きな筋肉を動かすことのできるスクワット、気晴らしにバーピージャンプ、積極的な階段の利用、家の中はつま先立ちで過ごす、暇なときに足首を回す、定期的に肩甲骨を動かすなど運動を加えることは大切です。

そして、『腎』は冬に弱りやすい臓器ですが、睡眠の質を高めることも『腎』の働きをサポートし『腎陽虚』の解決につながります。睡眠の90分前くらいに入浴をしたり、睡眠時にレッグウォーマーと腹巻きをして腹式呼吸をしたり、朝に太陽の光をあびるようにすることも睡眠の質を向上させることにつながります。今の時期不調に悩む人は、できることから始めてみましょう。そして今週は、『腎陽虚』を改善する食薬習慣がおすすめです。

食べるとよい食材・メニューは、【ニラ入り山芋焼き】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ニラ入り山芋焼き】

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作り方は、グルテンフリーのお好み焼きのようなイメージです。すりおろした山芋(袋に入れてすりこ木などでたたいてもOK)にみじん切りのニラ、卵、千切りキャベツ、桜エビなどを加えネタを作りお好み焼きのように焼いてかつお節とお好きなポン酢やソースをかけてお召し上がりください。

【ニラ】

ニラの根元の方には、ビタミンB1の吸収を高め、『腎陽』を補い代謝を上げる働きのあるアリシンが多く含まれています。そして、葉の方にはビタミンやミネラルが多く含まれます。また、一度冷凍保存してから調理するとその栄養価はさらに高まります。

【山芋】

ヤマイモには、『補腎』する働きがあるとされ、体が底冷えしやすいとき、冬にホルモンバランスが乱れやすいとき、食べ過ぎて胃腸の調子が悪いときなどにも役立ちます。成分としては消化を助けるアミラーゼや抗ウイルス作用のあるジオスコリン、ホルモンに関わるジオスゲニンなどがあります。

今年も残すところわずかです。一年いろんなことがあったと思いますが、健康的に締めくくることができるように工夫して過ごしてみましょうね。ほかにも体を温めるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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