不眠、生理痛、むくみの原因は…自律神経を整えて「不調を改善する」意外な方法 #134

文・大久保愛 — 2021.11.16
寝つきが悪かったり、風邪っぽかったり。病院に行くほどではないけれど、どうもカラダの調子がよくない。それらは、いまの生活習慣を改めたほうがいいという合図なのかもしれません。漢方薬剤師の大久保愛先生が、「なんとなく不調」を改善する方法を教えてくれます!

最近、カラダの調子はどうですか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 134


木々が色づき、ちょっと強めの風が地面を落ち葉で埋め尽くしていきます。木枯らしに肌寒さを感じたり、小春日和の穏やかな日にほっこりしたりと、秋であることを日々実感しますよね。海外旅行が好きだった人にとって行楽の秋は日本のよさを再認識する機会になるのではないでしょうか。

ただ、こういった四季の特徴は体にはこたえますよね。最近なんとなく不調を感じることはないでしょうか。ホルモンの変動が頻繁におこる女性にとっては、特に影響されてしまいやすいものです。

ちょっとした不調は、生活習慣の見直しの合図でもあるので、我慢して耐えていてはいつの日か小さな不調がつもりつもって病気へと発展してしまうこともあるかもしれません。小さな不調を今の生活の改善につなげ、ネガティブなことを改善の合図とポジティブに転換し、健康管理に役立てることをおすすめします。そこで、今週は「なんとなく不調」に関する食薬習慣を紹介します。

今週は、なんとなく不調を助ける食薬習慣

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体調お変わりありませんか? 咳、くしゃみ、頭痛、肩こり、生理痛、むくみ、疲労感、イライラ、睡眠の質の低下など病院に相談するまでもない不調に悩むことはありませんか。うっとうしい問題ですが、面倒くさがらずに何か自分の生活習慣に改善点はないのかな? と考えてみてください。

夜更かししている、寝酒を飲んでいる、食事の代わりにお菓子を食べることがある、面倒でお風呂につからないことがある、リモートワークで一日の歩数が激減したなど、ちょっと思い返すだけでカラダに関わる習慣の見直しができそうなところが見えてくるかもしれません。生活習慣の積み重ねが今の自分をつくっていて、今の不調とどう向き合うかが未来の自分をつくっています。気にかけてみてくださいね。

さて、生活習慣に加え今週食べるとよい食材を紹介していきたいと思います。今の時期のさまざまな不調は、寒暖差、空気の乾燥、日照時間の減少などにより引き起こるものが多いです。バリア機能を強化する『補気』をすること、自律神経を乱さないように『理気』することが大切です。そこで、今週は『気』を補い、巡らせる食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【ネギ味噌おにぎり】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ネギ味噌おにぎり】

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作り方は、刻んだネギ、味噌、みりん、鰹節を袋の中に入れよく揉んでなじませたらネギ味噌の完成。お米と混ぜて焼きおにぎりにしたり、そのまま2日くらい置いておくと味がなじむのでおすすめです。

【ネギ】

ネギは、『気』を補う食材のひとつです。ネギといえば独特の強い香り特徴的ですが、この香りはアリシンといい、強力な殺菌作用をもっています。さらに、血行促進作用などもあり、風邪の時にバリア機能を高めるために食べる人も多いですよね。

また、エネルギーを生み出し疲労回復を促すビタミンB1の効果を持続させる働きもあります。ネギを食べた後の口臭が気になる人は、リンゴや梅干し、パセリ、緑茶、レモンなどを食べるようにすると対策になります。

【味噌】

味噌といえば味噌汁ですが、この時期はお塩や醤油と同じぐらいさまざまな料理に登場させてみてはいかがでしょうか。タンパク質、ビタミン、ミネラル、イソフラボンなどを豊富に含む発酵調味料です。腸内環境を整え、免疫向上のために働いたり、正常に腸が機能することで自律神経も整いやすくなり『気』の巡りを助けてくれます。

最近、喉の調子が悪い、朝疲れている、寝つきが悪くなってきた、イライラしやすい、胃もたれがする、過食ぎみになってきたなど、小さな不調がでてきたと感じる人は、我慢して対策をとらずにいるのではなく、自分の未来の体のために生活習慣の見直しをしてみましょうね。ほかにも免疫を高めるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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