そろそろ冷え対策…! 「冷えない体になる」簡単な方法 #130

文・大久保愛 — 2021.10.14
気温が急に下がり、カラダの冷えを感じ始めている人が多いよう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、簡単にできる冷え対策を教えてくれます。熱を作り出すカラダになりますよ!

最近、冷えを感じていませんか?

冷え 対策 漢方 食薬

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 130


パラパラと雨が降る日も多いですが、週末には早くも冬型の気圧配置となる予測で、冬へ向けて寒さを加速させてしまうようです。こう考えると1年の中で過ごしやすい時期というのは本当に少ししかないですよね。ただ、多少は違いますが、これは私たちが毎年経験してきている変化です。日本には四季があり、さまざまな自然の移ろいを楽しめるぶん、仕方のない気候の変化です。

ですから、この予測できる四季の変化とどのように上手に付き合い、事前に対策をとるかということは、不調を寄せつけないために大切なことです。さて、今週はどんな不調があるかというと、日ごとの寒暖差、昼夜の寒暖差から、カラダの冷えをつらく感じる機会が増えはじめるということです。そこで、秋の冷え対策となる食薬習慣を紹介します。

今週は、冷え対策の食薬習慣

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最近、人によって冷房をつけたり、暖房をつけたり、何もつけなかったりと空調の選択肢に違いが出ているように感じます。エアコンの調整にストレスを感じてはいないでしょうか。また、服装も微妙に間違ってしまい、寒かったり暑かったりする日もあると思います。とりあえず、腹巻を毎日つけるようにしたり、レッグウォーマーを持ち歩くようにしたり、カイロを腰骨の部分(腎のツボ)に貼るなどして寒暖差対策をするのも良いと思います。

そして、それにプラスしてカラダの中から熱を作り出すことのできる栄養状態にすることも大切です。最近、チョコレートや栗、抹茶など新作スイーツが続々と登場し、パスタソースのバリエーションにキノコやチーズなどのクリーム系のものが増えてきていますよね。季節の物だからと食べ続けていると、あっという間に糖質過多になります。

ダイエットの一環として糖質制限が流行っていますが、糖質の摂りすぎは冷えの原因にもなります。糖質をとりすぎるとお腹がいっぱいになり、タンパク質やビタミンB群の摂取量が相対的に減少したり、糖質の代謝に栄養が消耗されたしたりします。

ですが、カラダが熱を作り出すためには、タンパク質やビタミンB群はしっかりとっている必要があります。これらが不足している状態を漢方では、『気虚』といいます。そして、冬に向けて悪化していくと『腎陽虚』といって、一度冷えるとなかなかカラダが温まらない状態へとなってしまいます。そこで、今週は『気』を補いカラダが自ら熱を作り出せるようにする食薬習慣を紹介します。

食べるとよい食材・メニューは、【高野豆腐でかさまし鶏そぼろ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:高野豆腐でかさまし鶏そぼろ】

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ちょっとヘルシーなそぼろのご紹介です。作り方は、まず高野豆腐は水で戻しみじん切りにします。そして、フライパンで鶏ひき肉を炒めたら、高野豆腐を加えて酒、醤油、みりん、生姜、トウガラシなどで味を整えたら完成です。お味噌で味つけしたり、炒り卵やネギや大葉やゴマなどを足してもよいですね。

【高野豆腐】

高野豆腐は、豆腐を凍らせて解凍し脱水したものです。豆腐の栄養素がギュッと凝縮されている『気』を補いながらも老廃物を出してくれる食材です。食物繊維を多く含むため腸内環境を整えながらも植物性のタンパク質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が豊富です。高野豆腐は煮物のイメージが強いですが、お味噌汁やハンバーグ、炒め物など意外とどんな料理にも使うことができます。

【鶏肉】

動物性のタンパク質、ヘム鉄、ビタミンB群が豊富で『気血』を補うことに役立ちます。脂が気になる人は、ささ身を包丁でたたいてひき肉を手作りしてもよいですね。また、鶏肉にはビタミンAが豊富に含まれているので、バリア機能を強化する働きが期待でき、季節の変わり目に風邪を引きやすい人にもおすすめです。

タンパク質はもちろん、食物繊維、ビタミン、ミネラルまでたっぷりとることのできるヘルシーなメニューです。ごはんのお供やお弁当などでご活用ください。ほかにも温活のできるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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