薄毛の人は呼吸が浅い…! 「抜け毛、パサつきを防ぐ」意外な方法 #129
最近、抜け毛やパサつきが多いと感じていませんか?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 129
すっかり秋になってきましたね。穏やかな気候と緊急事態宣言解除とともに気持ちに少し余裕ができてきた人も多いかもしれません。そんな気分とは裏腹にお風呂の排水溝に髪の毛がたまりやすくなったり、枕元に落ちる抜け毛が増えたりと髪の不安を感じることはないでしょうか。
実は、この時期は1年のうちでも髪の毛のパサつき、抜け毛などが増加しやすいと言われています。遺伝的な場合には季節の問題ではありませんが、夏の紫外線や生活習慣の乱れによるダメージの蓄積が、乾燥する秋に表面化してきます。さらに、涼しくなり始めて抜け毛が増えてきたなと感じる人は、もう一つ気をつけなければならないことがあります。
それは、呼吸です。薄毛の人は統計的に呼吸が浅くなりやすく、口呼吸になる人が多いようです。これからの時期、季節的に喉の不調が出てきやすいときです。頭皮とともに呼吸器のケアにも注目していきましょうね。ということで、話を戻しますが今週は秋の薄毛対策のための食薬習慣を紹介します。
今週は、秋の薄毛対策の食薬習慣
緊急事態宣言は解除になりましたが、まだマスクは外せない日々が続きそうですね。ただ、マスクをしていることがマナーとなったおかげで、肌荒れやシミをコンシーラーで隠さなくてよくなったり、平日もスッピンで過ごせるようになったりと意外に便利な面もあり、このままマスク生活がスタンダードになるのも悪くないと思っている人も多いのではないでしょうか。
ただ、これからの時期はマスクでは隠すことのできない、髪の毛の質に問題が生じやすくなっていきます。遺伝的なものではなく、季節的な問題で夏から蓄積した頭皮へのダメージが表面化しやすい時期だからです。そして、薄毛のかたには呼吸が浅い傾向があると冒頭でお話ししましたが、呼吸が浅い状態だと血流量が低下し、髪の毛を育てる栄養が頭皮まで届かず薄毛の原因になってしまいます。
さらに漢方で、秋冬は『肺腎』が弱りやすく呼吸が浅くなりやすいともされています。そして、髪の毛が薄くなることや免疫力や皮膚の状態が悪くなることを『肺腎陰虚』と表現します。そこで、今週は季節的な影響で抜け毛が増えている人のための食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【切り干し大根の酢の物】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:切り干し大根の酢の物】
切り干し大根は、水で戻して絞ると栄養素が減ってしまいます。なので、戻し汁ごと利用するのが簡単でおすすめです。作り方は、切り干し大根を食べやすい大きさにカットして、ビニール袋に入れます。そこに、水、醤油、お酢を同量ずついれて、もんでなじませ、切干大根に水分を吸わせます。5分くらい放置したらかつお節や胡麻、ジャコ、紫蘇などお好みのものをトッピングして完成です。
【切り干し大根】
切干大根は、大根を干したもので、通常の大根の20倍の栄養素が含まれています。また、鉄分などのミネラルや食物繊維の含有量が野菜の中でもトップクラスです。漢方では、ミネラルを補うことのできる食材は『腎』の働きを支え、腸をきれいにしてくれる食物繊維は間接的に『肺』の働きを支えると考えます。そのため、切干大根は『肺腎』のサポートに役立ちます。
【酢】
できれば黒酢がおすすめです。髪の毛を構成するケラチンは、アミノ酸でできていますが、黒酢には通常の醸造酢の10倍以上のアミノ酸が含まれています。とくに、必須アミノ酸のひとつであるアルギニンには、血行を促す働きがあるため育毛に役立ちます。さらにイノシオールという成分が抜け毛予防や白髪予防にも有効です。
切干大根といえば、煮物のイメージが強いと思います。ですが、袋の中で和えるだけの、今回ご紹介のような加熱不要のレシピや、味噌汁の具材にもできる手軽に使える乾物です。ぜひお試しくださいね。ほかにもエイジングケアのできるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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