頭痛や不眠は体の緊張が原因かも! 強制的に「体がリラックスする」簡単な方法 #126

文・大久保愛 — 2021.9.16
現代人は、カラダに力を入れることはできても、脱力するのは苦手な人が多いよう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、内側から強制的にカラダがリラックスする方法を教えてくれます!

最近、肩に力が入りすぎていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 126


世の中、気が張り詰めている…。気がついたら肩や顎に力がギュッと入っているということはないでしょうか。何か気になることがあったり、緊張したり、悩んだり、考え続けたりしているとカラダに不必要に力が入ってしまうものです。

最近、ホッとした瞬間はありますか? もし肩の力の抜き方を忘れてしまった人は、そろそろホッとする時間が必要かもしれませんね。とはいえ、実際に問題が多かったり、不安な要素が多いときに気合いでリラックスすることは無理ですよね。

気合いを入れた時点で、戦闘モードです。戦闘モードが続くと、交感神経が優位な状態が続くことになるため、胃が痛くなったり、気持ち悪くなったり、下痢や便秘になったり、ため息が増えたり、頭痛が増えたり、眠りが浅くなり疲れが取れなくなったりしてしまい…、心と体はどんどん疲れてしまいます。

そこで、今週は体の内側から強制的にホッとさせてくれる食薬習慣を紹介したいと思います。

今週は、強制的にリラックスするための食薬習慣

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突然ですが、整体やエステに行ったときに体の力を抜いてくださいと言われて、すんなり体の力を抜くことができますか? 最近、筋肉に力を入れることは得意でも上手に力を抜くことが苦手な人が多いような気がします。

体に力が入りすぎていると肩こり、頭痛、浅い呼吸になります。もはや現代人の特徴のようなものですが、これを続けていると代謝は低下し、不調も増えていきます。こんなときには、とりあえず布団に入り寝るときに腹式呼吸を取り入れながら眠りにつくことをパターン化してみましょう。

深い呼吸は自然と副交感神経を優位にしてくれます。そして、そのほかにも副交感神経を自然と優位にする方法としては、体を温めることや胃腸の働きを整えることも該当します。

そこで活用できるのが食薬です。漢方で、気が張り詰めて交感神経が優位になっている状態を「肝脾不調」といいます。ストレスで、胃腸の働きが低下しているということです。食薬としては、リラックスさせ、胃腸の働きを整えるものを温かくしてとることが改善に役立つと言えます。そこで、今週食べるとよい食材・メニューは、【シナモンココア】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:シナモンココア】

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あったかいココアをフーフーしながら飲むとホッしませんか? やすらぎますよね。ピュアココアをお湯でといてオリゴ糖や蜂蜜などで甘味をつけ、お好みで豆乳などを加えて、仕上げにシナモンを振ったら完成です。風邪っぽかったら生姜をプラスしたり、お腹が張りやすかったり、おりものが増えている人はクローブを2振りしてみるのもおすすめです。

【シナモン】

体を温めながら、消化の働きを助けてくれます。つまり、交感神経が優位になって起こる血流の低下による冷えや消化不良の改善にも役立ちます。また、寒暖差が大きくなる秋の風邪対策にもなるので季節の変わり目にはおすすめです。ココアに限らず、いつもの飲み物にプラスオンしてみてくださいね。

【ココア】

テオブロミンというリラックス効果のある成分が含まれています。さらに血流も促すため肩の力が抜けない人にピッタリです。ココアを飲むとホッとするのにはきちんと理由があったんですね。さらに、抗酸化作用の高いポリフェノールや腸の働きを整えるリグニンなども含むため、ストレスで増えた活性酸素や腸の働きの停滞などの改善にも役立ちます。

シナモンココアにオリーブオイルをプラスするとお腹を温め便秘解消に、ココナッツオイルをプラスすると気力アップに役立ちます。ほかにも自律神経を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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