時間通りに食べると太る…!? 胃もたれや代謝低下など「不調を招く」意外な習慣 #120

文・小久保愛 — 2021.8.4
胃が重かったり、もたれたりと、胃腸の調子が悪いのに食欲はある…。夏になるとそのような人が増えるそう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、代謝や胃腸の働きを改善する方法を教えてくれます!

夏、胃腸が疲れていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 120


夏といえば、夏バテや食欲不振といった不調が一般的ですよね。ですが、実際のところ食欲不振の人って意外と少ないよう。むしろ夏でも食べ過ぎてしまい胃腸が疲れてしまっている方が多いように感じます。胃が重かったり、もたれていたり、少し便秘になる程度では食欲が低下しないから困ってしまうというような話もよく耳にします。

突然ですがみなさん、最近空腹を感じたことありますか? あまりお腹がすいていなくても時間が来るたびに満腹になるまで食事をとり、間食やデザートもしっかりとるという人が多いようです。

ただ、最近16時間ファスティングを実践している人の話を聞いたことがないでしょうか。私たちの体は、細胞内を正常に保つために、古くなったり傷ついたりして不要になった老廃物が細胞内に蓄積して悪影響を及ぼさないように浄化する働き“オートファジー”を備えていますが、これは16時間断食したり腹七分目の食事を心がけたときの空腹時によく働くものです。

なので、いつも何かをつまんでいたり、満腹になるまで食事をしてしまう日々を送っていると胃腸負担をかけるだけではなく、老廃物もたまりやすい体になってしまうのです。そこで今週は、胃腸の働きをサポートする食薬習慣を紹介します。

今週は、胃もたれを防ぐ食薬習慣

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夏なのに下腹部、腰回りにプヨプヨとお肉がついてきてはいませんか? 今年は外出する機会が減り新しい洋服を買う機会が減っている人が多いと聞きます。おしゃれな夏服でアクティブに楽しむ状況ではない今年の夏。例年より体型に疎くなってはいないでしょうか。

あまり動かず、好きなタイミングに好きなものを好きなだけ食べることができるここ最近、太ってしまうだけではなく、胃もたれ、胸やけ、胃痛、便秘など消化器系の不調を感じてはいないでしょうか。胃腸の働きが低下すると栄養の吸収、老廃物の排泄の機能が低下することで、代謝の低下、疲労の蓄積を加速させます。胃腸の働きが落ち代謝が低下することを漢方では『脾気虚』と言います。

そこで今週は『脾』の働きを整え『気』を補う食薬習慣を紹介します。今週たべるとよい食材・メニューは、【キュウリのメカブと大葉あえ物】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:キュウリのメカブと大葉あえ物】

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シンプルに薄くスライスしたキュウリに千切りにした大葉とメカブを和え、醤油とお酢とゴマをかけて味を整えたものです。ミョウガ、しらす、海苔などお好みでプラスしてみるのもよいですね。

【メカブ】

ネバネバ成分であるフコイダンやアルギニン酸などの水溶性食物繊維を含み胃腸の粘膜を保護する働きがあるだけでなく、免疫をサポートしたり、血圧や血糖値、コレステロール値なども安定させる働きがあります。他にもセルロースなどの不溶性食物繊維も多く含むため腸の排泄力も高めてくれます。さらに汗とともに消失しやすいミネラルも多く含むので暑い夏にはおすすめの食材です。

【大葉】

大葉の香り成分であるぺリルアルデヒドには胃液の分泌を促し消化を助ける作用があります。また、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用があるとされ夏風邪予防にも最適です。またリラックス作用もあるのでストレスから胃腸の不調を感じるときにも役立ちます。

今週は、とにかくサッパリとした一品を紹介しました。そのまま冷ややっこに乗せたり、納豆に合わせるのもおすすめです。ほかにも胃腸を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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