生理痛がリアルに軽減! 「生理中の腹痛」を和らげる意外な方法 #115

文・大久保愛 — 2021.7.2
生理痛は女性ホルモンの変動が大きく関わっています。そして、その女性ホルモンが影響を受けやすいのが自律神経。梅雨であるいまの時期は気温や気圧の変化で自律神経が乱れがち。そこから、生理痛が酷くなっている人が多いよう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、生理痛を軽減する方法を教えてくれます!

最近、生理痛が酷くなっていませんか。

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 115


梅雨に入ってから生理痛をつらく感じるようになったという声をよく耳にします。みなさんいかがでしょうか? いつも飲んでいなかった鎮痛剤を何回も服用したり、痛みを感じる時間が長引いたりと、つらい思いはしていないでしょうか。

昨年から長期化するステイホームの影響で体を動かす時間が減り、筋肉量が減ったり、血流が悪くなったり、むくみやすくなったりと体が徐々に思わしくない方へと変化している人も多いと思います。そして、梅雨の低気圧が重なり、自律神経を乱しさまざまな不調が際立つように感じてしまうことがあります。そのひとつとして、生理痛があります。

いつもより生理痛がひどいと感じた人は、ステイホームの影響で不摂生がたたっていることを知らせてくれているのかもしれません。一度、食事のバランス、運動量、就寝時間などが以前と比べ乱れていないかチェックしてみましょうね。ということで、今週は生理痛をいつも以上につらく感じてしまう人のための食薬習慣です。

今週は、生理痛を軽減する食薬習慣

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梅雨の時期には、気圧や湿度や気温の変化の影響で自律神経が乱れるタイミングが増えますが、自律神経と密接にかかわっているものといえば女性ホルモンです。そして、女性ホルモンの変動に連動して起こる不調といえば、生理前のイライラや過食、むくみ、胸の張り、便秘、生理中の下腹部痛、下痢、むくみ、貧血症状などでしょうか。

これらはほんの一部ですが、こんな症状が毎月訪れる可能性があるのは、本当に体の負担となり生活の質を落としてしまいますよね。そのため、梅雨時期は自律神経の乱れにより女性ホルモンにまつわる不調が際立ちやすくなります。

実際、PMSが悪化したり、生理痛が悪化している人は多いようです。これを漢方ではホルモンバランスが乱れている「陰虚」、自律神経が乱れている「気滞」の状態であると考えます。

そこで、今週は「陰」を補い、「気」を巡らせる食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは【カリフラワーのカレーマリネ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:カリフラワーのカレーマリネ】

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ジップ袋に茹でたカリフラワーを入れ、カレーパウダー、お酢、塩、蜂蜜、鷹の爪などお好みの調味料を加え1時間程度味をなじませたら完成です。

【カリフラワー】

「陰」を補うために必要なカリウムを多く含みます。カリウムは、体内に水分を保持するために必要なので、汗をかきやすいこの時期には適しています。また、抗酸化作用が高いスルフォラファンやビタミンCも含みストレスや紫外線によるダメージケアにも役立ちます。

みじん切りにして米粒大にするとチャーハンやリゾット、カレーライスなどのお米の代用となるカリフラワーライスとしても活用できます。糖質オフできるのでダイエット中の人にもおすすめです。冷凍保存も可能です。

【カレーパウダー】

「気血」の巡りを改善するために役立ちます。複数のスパイスがブレンドされているカレーパウダーには、血流を促したり、肝機能を強化したり、抗菌作用があったりと複数の作用が期待できます。特に、生理痛があるときには血行不良であることが考えられるので、生理中の食事のバリエーションのひとつにカレー風味をプラスしてみるのがおすすめです。

梅雨のように気候が落ち着かないと体がだるくなったり、古傷が痛んだり、頭痛がしたり、めまいがしたり、胃腸の働きが低下したりと体調も落ち着きません。ただ、それを知っているだけでも気持ちは楽になると思います。体調管理の変化の理由の一つに気候による影響も大きいと理解しておくことは大事ですね。

ほかにも体バテ対策ためのレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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