梅干しは加熱する…! ダイエットにもいい「だるさ、疲労感を取る」意外な方法 #114

文・大久保愛 — 2021.6.23
梅雨真っ只中ではありますが、気温も湿度も高い日が続き、はやくも夏バテを起こしぎみの人も。しっかり寝たのに、起床時からすでに疲れを感じる人は要注意です。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、朝のダルさを解消し夏バテ対策となる簡単な方法を教えてくれます。ダイエットにもいいですよ!

朝からだるさを感じていませんか。

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 114


今週から7都道府県が緊急事態宣言からまん延防止等重点措置に移行しましたね。また、猛暑へのスタートラインに立つ夏至も重なり、夏らしい気候と今までのおこもり生活の圧迫感から少し開放的になった方もいるかもしれませんね。

今まであまりお酒を飲む習慣がなかった人、冷たいものを飲む習慣のなかった人、冷やし中華などの麵類を食べる習慣のなかった人も夏の風物詩を習慣化することがあると思います。

ただ夏の風物詩は、冷たく糖質が多く含まれているものが多いことも特徴のひとつです。旬のものすべてを体に良いものと考えず、節度をもった量を摂りいれ楽しむようにするのが健康的には正しいです。

夏バテシーズンが到来しました。まずは、現在疲労感いっぱいで朝を迎えてしまっている人はすぐに対策をとっていくことが急務。そこで、今週は朝のダルさを解消し夏バテ対策となる食薬習慣を紹介します。

今週は、朝のダルさを解消する食薬習慣

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皆さん、疲れを取るために毎日眠りにつくと思いますが、休んだ直後の一番元気であるはずの朝に半端ない疲労感を感じていることはないでしょうか。朝から体が重く動かないと1日があっという間に進み、何もせずに1日が終わってしまう感覚になりますよね。

特に夏は蒸し暑く行動1つずつがスローになり、無駄に時間を使ってしまう人は多いようです。これを漢方では、「気虚」と言います。そして、「気虚」の特徴は、午前中の体の重だるさです。これから季節はどんどん夏らしい気温と紫外線量へと変化していきます。本格的に夏が訪れるとこの状況は悪化していくことが予想されます。

さらに、汗を多くかき水分摂取が十分でないと「陰虚」といい、体に熱感を感じたり、足がつったり、寝汗をたくさんかいたり、便が硬くなったり、夜中目が冴えてしまう状況がプラスされていきます。そこで、今からコツコツと体を整えていきましょう。

今週は「気陰」を補う食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材は【ササミの梅シソ巻】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ササミの梅シソ巻】

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ササミを観音開きにして、叩いた梅干しとシソをまんべんなく広げて、クルクルと巻いてフライパンで焼いたら完成です。簡単にできて、サッパリ食べられる1品ですよね。

【ササミ】

「気」を補う代表的な食材です。高タンパク、低脂質、低カロリーであることは有名ですね。食欲がないときにでも、冷めても美味しく食べることができる食材です。プラスして、「陰」を補うミネラルやビタミンAなども含んでいます。さらに、ビタミンB群も含むため疲労回復にも役立ちます。

【梅干し】

「陰」を補う食材です。汗とともに消耗してしまうミネラルを補います。さらに、疲労を回復し「気」を補うクエン酸も多く含んでいます。そして、リンゴ酸、ピクリン酸、カテキン酸、コハク酸、酒石酸、ピルビン酸などの有機酸や梅リグナンも含むため抗菌作用、抗ウイルス作用などもあり感染症対策にもなります。

ほかにも梅干しは加熱して食べると脂肪燃焼効果のあるバニリンが増加します。そのため、ダイエット中の方は加熱して食べるのがおすすめです。ほかにもバテ対策や美容のためのレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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