鼻づまり、鼻水が辛いあなたへ…症状を抑える簡単な方法 #100

文・大久保愛 — 2021.3.18
気温が上がり、桜も開花して、春をよりいっそう感じられる時期となりました。ですが、花粉に加えて今年は黄砂も酷いよう。鼻詰まりや鼻水などの耳鼻科系症状に悩んでいる人も多いでしょう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、これらの症状を軽減する簡単な方法をお伝えします!

花粉や黄砂で耳鼻科系の症状を感じていませんか。

花粉 鼻炎 鼻づまり

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 100


先週は前線が通過し、お天気が崩れる日が多かったですね。ですが、その後高気圧に覆われた地域は、晴れた日は気温が高くなりポカポカした陽気が続きました。それに伴い桜の蕾が全国的に急成長し、史上最速の桜開花予測の記録を出した地域が多いようです。

そして、昼と夜の長さがだいたい同じ時間ずつに等分される春分の日(20日)が訪れます。さらに、1月8日から続いた緊急事態宣言ももうすぐ解除となる予定です。次々と暖かく明るい雰囲気が町中にあふれていきます。

今年は、ソーシャルディスタンスをとりながらしっぽりと桜を眺めほっこりと楽しむのがスタンダードとなりそうですね。ただ、この暖かい空気に乗ってやってくる黄砂や花粉も、私たちに影響を与えます。中国北京の上空には過去10年で最も多いといわれる黄砂が舞い、日本へも飛来しました。鼻づまりや鼻水など耳鼻科系の症状を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。そこで、今週は鼻づまりを軽減する食薬習慣を紹介します。

今週は、鼻づまりを軽減する食薬習慣

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最近、昼間は初夏のような気候の日が続き、早々と春色の薄手の上着を着る頻度も増えていますよね。温かく明るい日差しが照らすなかでお花を見ながらお散歩をしたり、みんなでワイワイ楽しんだりして過ごしていた頃を懐かしく感じます。残念ながら、今年もまた自粛しながらひっそりと楽しむ春になりそうです。

ですが、花粉や黄砂などは短時間外出しただけでも私たちの喉や鼻の粘膜を刺激し、鼻水やくしゃみを誘発させます。耳鼻科系の弱い人は苦労する時期ではないでしょうか。漢方では、アレルギー体質を「肺腎陰虚」と表現します。そこで、今週はバリア機能を担う「肺」と鼻水や痰の生成に関わる「腎」の働きを整える食薬習慣を紹介します。食べると良い食材・メニューは、【タコと新玉ねぎのカルパッチョ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:タコと新玉ねぎのカルパッチョ】

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今回必須なのはカルパッチョに使う、「肺」を助ける玉ねぎと、「腎」を助けるアマニ油です。両方に炎症を抑える働きがあるので、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状で困っている人におすすめです。タコなど好きなお刺身とみじん切りにした玉ねぎをお皿に並べ、アマニ油、レモン汁を回しかけ、全体に塩をふったら完成です。ディルやピンクペッパー、刻んだイチゴやグレープフルーツ、ミニトマトなどを添えてもよいですね。

玉ねぎ

玉ねぎには、硫化アリルという辛み成分が含まれています。この成分は、鼻づまりやくしゃみなどで起こした鼻の炎症を抑える働きがあり、鼻の粘膜の血管を収縮させ鼻の通りをよくしてくれます。ただ、香り成分なので、玉ねぎを水でさらしてしまっては辛みがなくなってしまうのでNG。新玉ねぎはみずみずしく甘味も強いので、玉ねぎ特有の辛みも楽しみながら食べるとより鼻づまりに効果的です。

アマニ油

アマニ油に含まれる必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸には、炎症やアレルギー症状を抑える働きがあります。そのため、花粉だけではなく、喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー症状に悩む人は、日頃から摂取しておくとよい油です。ただ、酸化しやすい油なので、非加熱用の油としてストックしておきましょう。

今の季節は心地よいと思う一方、花粉や黄砂の影響を受けたりと良い面と悪い面と兼ねそろえています。それはどの時期でも同じですね。どんな時でも良い面をメインに接することができるように体を季節に合わせて整えていきたいですね。ほかにも免疫を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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