“朝晩冷えて日中ポカポカ”は危険!…頭痛や不眠「寒暖差疲労」の改善法 #99

文・大久保愛 — 2021.3.18
漢方薬剤師の大久保愛先生によれば、5度以上の気温の差を頻繁に感じると人は体の状態を一定に保つために自律神経が激しく働き、その負担から機能が乱れてさまざまな不調が出やすくなるとのこと。いまの時期に疲労や頭痛、不眠、めまいなどを感じていませんか。愛先生が寒暖差疲労に負けない簡単な方法をお伝えします!

朝晩と日中の気温差により、不調が急増!?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 99


今までは日によって気温の変動が大きいと感じられていましたが、最近は1日のうちでも朝とお昼の寒暖差がきつくなってきましたね。疲れやすくなったり、寝つきが悪くなったり、めまいや頭痛を感じたり、イライラしたり、食欲のコントロールができていなかったりとなんとなく感じる不調が増えてきている気がしている人はいないでしょうか。

4月に向けて気温差や天気の変化が徐々に激しくなっていきます。人は、5度以上の気温の差を頻繁に感じると、一生懸命働く自律神経に負担がかかり、機能を乱れさせます。これを寒暖差疲労といいますが、なんとなく不調が続くとその理由がわからないので解決策も立てることができず不安感や煩わしさを感じますよね。そこで、今週はまだまだ続く寒暖差からの疲労に負けない食薬習慣を紹介していきます。

今週は、寒暖差疲労のための食薬習慣

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朝は寒くて、お昼になるとポカポカ陽気になり、1日のうちに10度以上の寒暖差がある日が増えました。日が照っている時には春らしく気持ちがよいですが、朝や夜はまだ冬であるような気にさせられます。外気の変化が大きいと、恒温動物である私たちは恒常性を保つために、いつも体の状態を一定に保とうと自律神経を一生懸命働かせます。

とはいえ、地域によりますが、2月中旬から寒暖差の多い気候は約1か月も続いています。そろそろ自律神経も疲れてさまざまな不調を感じ始めてもおかしくない時期です。頭痛、めまい、不眠、動悸、食欲不振、倦怠感、ほてりなどよくわからない不調が地味にダメージを与えてきてはいませんか。

この状態を漢方では、「肝血虚」といいます。「肝血」は自律神経のコントロール機能があるとされているからです。そこで、今週は「肝血」を補う食薬習慣です。食べるとよい食材・メニューは【シーフードミックスのレモン炒め】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:シーフードミックスのレモン炒め】

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貝やエビ、イカなど全部ミックスされている冷凍食品シーフードミックスは、栄養満点で手軽に使えるので冷凍庫に常備しておきたい食材のひとつです。今週おすすめのシーフードミックスのレモン炒めは、シーフードミックスとブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜とミニトマトを炒めて、最後にレモンと塩で味をつけたら完成です。シーフードミックスは春におすすめの食材で、1袋にたくさん入っているので、今週を機に常備してみるのも良いですね。

シーフードミックス

貝、イカ、エビなどがミックスされていますが、共通して低脂質、高タンパク、低糖質、低カロリーです。そして、「血」を補う鉄などミネラルやビタミンも多く、「肝」の働きを助けるタウリンも含まれています。

レモン

レモンの香りの素、ファイトケミカルであるリモネンにはリラックス作用があり、神経過敏になりがちな春の精神状態を落ち着かせてくれます。また、疲労を回復するクエン酸や抗酸化作用のあるビタミンCも多く含まれています。

東京はもうじき桜の開花予定ですね。嬉しい反面、桜の時期は全国的に寒暖差が続く時期に一致します。薬に頼る前に毎日の食事をちょっと意味のあるものに変化させ、「なんとなく不調」を解決してみてはいかがでしょうか。ほかにも自律神経を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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