季節の変わり目もしんどくない!…「自律神経を整える」簡単な習慣 #96

文・大久保愛 — 2021.2.18
暖かくなったと思えば、翌日は急に冷え込んだりと、春に向けて気温差の激しい日々が続きます。漢方薬剤師の大久保愛先生によると、いまの時期はその変動に自律神経が対応できず、バランスが乱れることで体調を崩す人が多いのだとか。そこで大久保先生が、簡単な不調予防策をお伝えします。ぜひ試してみてくださいね。

冬から春へ。今の時期、不調ではありませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 96


少し暖かい日が続いたかと思うと、日本の上空には寒気が流れ込み冬型の気圧配置になります。まだまだ寒い日は続きますね。今後も、暖かいなと思ったら冷え込んで、を何度も繰り返すことで春になりますが、この変化に体がついていけず、寒さを真冬以上に強く感じてしまうこともあるかもしれません。

こういった季節の変わり目には、必ず体調を崩してしまう人っていますよね。気温の変化が大きいと自律神経が乱れやすくなるため、さまざまな体調不良を引き起こしてしまいます。そこで、今週は季節の変わり目に体調を崩さないための食薬習慣を紹介したいと思います。

今週は、季節の変わり目の体調不良を救う食薬習慣

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気圧の変化や寒暖差が大きくなると、カラダを一定の状態に保つために自律神経がいつも以上に働きます。それが体の負担となり自律神経が乱れ始めると、さまざまな症状がでてきます。くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの寒暖差アレルギーだったり、便秘だったり、睡眠の質が落ちてしまったり、気分の浮き沈みが大きくなったりと不快症状を感じることがあるかもしれません。

とくに、花粉症でも風邪でもないのに耳鼻科系の症状がでると、新型コロナウイルスに感染したんじゃないかと少し心配になりますよね。この寒暖差で耳鼻科系の症状がでるカラダの状態を、漢方では、「気」が不足することで寒暖差に弱くなり、寒暖差ストレスを感じることで「肝気鬱結」という自律神経が乱れる状態に陥っていると考えます。

そこで、今週は自律神経を整え、防御機能を高める「気」を補う食薬習慣です。食べると良い食材は、【生姜×シナモン】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:生姜×シナモン】

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どちらの食材も漢方でメジャーでありながらも、スーパーに基本的に置いてあり、家庭に常備している人も多いと思います。そして、漢方で使われるということは、それだけ有効成分を多く含む素材ということがわかりますよね。それぞれ、料理のメインとなることはありませんが、ちょっとしたアレンジとして、さまざまな料理やお茶に活用できるものです。体調管理に自信のない人は、さっそく活用してみましょう。

シナモン

シナモンは、「桂皮」とよばれ多くの漢方薬にも使われていますが、スパイスとして誰もが知っているものだと思います。シナモンには、体を温めたり、血流を促したり、消化を促進したりと自律神経が乱れ交感神経が優位になってしまったときに、おもに出てくる症状の改善に役立つ効能を持っています。また、抗菌作用もあるため、風邪対策としても役立ちます。

生姜

生姜も、咳止めや解熱、健胃、冷えの改善などさまざまな漢方薬に配合されています。カラダを温めたり、細菌などからカラダを守る働きがあります。加熱すると血行を促進し、体を温める働きが高まり、生のままだと強力な殺菌作用や抗炎症作用などが、より期待できます。お味噌汁や炒め物、煮物、お鍋など片っ端から料理に使っていくのもよいと思います。

いつも飲んでいる紅茶やコーヒー、ルイボスティなどに生姜とシナモンをプラスして、おうちで気軽に薬膳を活用し、季節の変わり目の不調対策をしてみてはいかがでしょうか。ほかにもお茶のアレンジや免疫力をアップするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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