頭痛や不眠、不安感が和らぐ…「冬から春の体調不良」を改善するコツ #93

文・大久保愛 — 2021.2.4
昼の時間が少しずつ長くなり、待ち望んでいた春がやってきます。ですが、この移り変わりの期間は気温や気圧の変化により、自律神経が乱れがちな人にとって不調を感じやすくなる時期でもあるそう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、この時期特有の体調不良を改善できる簡単な方法をご紹介します!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 94

冬から春へ。季節の変わり目は、不調を感じやすいかも。

頭痛 自律神経 乱れ 整え方 漢方 食薬

今週は、少し暦の話をしたいと思います。124年ぶりに、今年の節分は例年より1日早い2月2日となりました。立春の前日が節分になるのですが、立春や春分などは太陽と地球の位置関係から決められています。そして、昨年末の冬至が1年で最も日が短いときで、そこから徐々に日照時間が長くなり立春を境に一気に春へと加速していきます。

今後、三寒四温を乗り越え春らしい気候のスタートとなる3月末の春分の頃までは、気圧と気温の変化が大きくなることが予測されます。自律神経が乱れやすかったり、低気圧の日に頭痛を感じやすい人は、これから不快に感じる日が増えてしまうかもしれません。そこで今週は自律神経を整える食薬習慣を紹介していきます。

今週は、自律神経を整える食薬習慣

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緊急事態宣言は、首都圏や関西圏で延長され、いつまでこの生活が続くのかと不安に感じる人も多いと思います。国民全員へワクチンが供給される時期もはっきりとはせず、さまざまなことが気になりますよね。このような不安や緊張などネガティブな感情は連鎖しやすく、日常生活の些細なことに敏感になり心を乱される機会が増えやすいものです。

これは自律神経が乱れている状態ですが、これによりイライラしやすくなったり、落ち込みやすくなったり、突然不安になったり、動悸がしたり、睡眠の質が低下したり、考えすぎてしまったりと感情のコントロールが上手にできなくなっていることはないでしょうか。

その状態を漢方では、『肝気鬱結』・『血虚』と呼びます。とくに『血虚』が前提としてある人は、自律神経の乱れが加わることで生理不順やPMSなど女性特有の症状を強く感じることがあるかもしれません。そこで、今週は『肝気』の巡りを改善し、『血』を補う食薬習慣を紹介します。食べると良い食材・メニューは、【イカキムチ炒め】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:イカキムチ炒め】

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イカを炒めて、キムチを和えるイカキムチ炒めが今週おすすめです。えのきやエリンギなどのキノコ類や小松菜やホウレンソウなどを和えて最後にごま油をたらして食べるのも良いと思います。おつまみにも最適なイカキムチ炒め、ぜひお試しください。

キムチ

発酵食品であり、野菜をたっぷり食べることのできるキムチは、腸内環境を整えることで間接的に自律神経を整え『気』の巡りを促進するために役立ちます。ただ、トウガラシやニンニクがお腹に対して刺激となる人はお味噌や塩麴など他の発酵食品を使っていただけると良いと思います。

イカ

高タンパク、低脂質、低カロリーであるイカは、『血』を補うために役立ちます。ビタミンB群、ミネラル、ビタミンEなど栄養が豊富です。しかも、お刺身、あたりめ、冷凍などさまざまな状態で売られていて手軽ですよね。おかずやおつまみとしてイカを取り入れてみましょう。

あたりめやキムチはコンビニでも売られています。コンビニに立ち寄ったときには、チョイスしてみてはいかがでしょうか。また、あたりめのような硬いものを噛む動作は、ストレス発散や満福中枢を刺激するためにも役立ちます。ストレスフルな日には、あたりめをおやつにするのもおすすめですよ。ほかにも自律神経を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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