不眠を簡単に改善…今日からできる「ぐっすりスヤスヤ眠れるコツ」 #91

文・大久保愛 — 2021.1.14
漢方薬剤師の大久保愛先生によると、例年、2月~4月にかけて不眠の悩みが増えるそう。加えて、昨今はこうしたご時世もあり、不安感がさらに睡眠障害を加速させてしまうかもしれません。そこで、大久保先生が睡眠の質を高められる、簡単な不眠対策をご紹介します。今日からすぐ実行できますよ!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 91

最近、ちゃんと眠れていますか。

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緊急事態宣言は全国に次々と広がり、総人口の6割近い人々が対象地域に暮らしていることになります。帰宅の平均時間が大幅に前倒しになっている人が多いのではないでしょうか。ただ、これは私たちの健康にとっては、良いこととも言えますよね。しかし、年末年始から夜型生活にシフトしがちだった人にとっては睡眠に対して問題を感じ始めた人もいるのではないでしょうか。

急に夕飯が早くなり、寝る時間が早まり、朝型生活になることも難しいですよね。そこで、今週は緊急事態宣言中に健康状態を高めるための食薬(※)習慣を紹介します。

例年、2月から4月にかけて体調を崩す人が多い印象があります。その原因は、風邪、感染症にかぎらず、アレルギー症状や自律神経、ホルモンの乱れなど多岐にわたります。みなさんは、毎年春にかけて体調を崩したり、なんとなく不調を感じた経験はないでしょうか。自粛を余儀なくされる今、少しだけ体調管理の習慣を身につけて、春に向けて丈夫な体を作る準備をしていきましょう。

今週は、睡眠をサポートする食薬習慣

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寒い日が続きますが、1年でもっとも寒いのは2月とも言われています。まだまだ、冬は続きますね。そして、三寒四温を繰り返しながら春へと季節は移り変わります。気温差に気圧の変化、花粉と、次々と体調に影響する要因が現れると思います。その中で自律神経を乱しイライラしやすくなったり、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなるタイミングも増えてしまいがちです。

漢方では、自律神経が乱れ睡眠の質が悪くなることを『肝気鬱結(かんきうっけつ)』と表します。そこで今週は、『気』の巡りを改善する食薬習慣を紹介します。食べると良い食材は、【大葉と小魚】です。

健康管理に大切なものといえば、食事、睡眠、運動の3つが基本ですよね。自粛をしていると運動量はどうしても減りがちになりますが、食事と睡眠を整えるためには絶好の条件だと思います。自粛の日々が1年以上続くので上手に付き合っていくことが必要になります。不安を感じ何も行動できなくなってしまう日もあるかもしれませんが、今できることをひとつずつこなしていくことが大切です。食を整え睡眠の質を上げる手助けをしていきましょう。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:大葉と小魚】

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大葉は夏のイメージをもつ方も多いと思いますが、その効能は今の時期の体を支えるためにも役立つものです。漢方薬では『蘇葉』と呼ばれ、風邪や神経症の症状などさまざまな処方に配合され一年中体調管理に使われています。大葉と小魚は意外とどんな料理とも相性がよいものです。混ぜご飯にしたり、豆腐に乗せたり、大根おろしに乗せたりたりしてもおいしいですよね。

大葉

『気』の巡りを改善する食材です。大葉特有の爽やかな香りはぺリルアルデヒドと言いますが、こういった香り高い成分が気の巡りの改善に役立ち、自律神経を整えるために役立ちます。また、抗菌作用や抗炎症作用、咳止め、発汗解熱、整腸作用もあり様々な体調不良の改善する働きもあります。

小魚

小魚は、お魚をまるまる内臓から骨まで食べることができるので栄養バランスが非常によい食材です。冬に不足しがちなビタミンDや心の栄養となる亜鉛、鉄、カルシウム、アミノ酸、ビタミンB群なども一度にとることができます。いろいろなおかずにたっぷりかけて食べてみましょう。

緊急事態宣言が続くなか、ネガティブな話題になりがちです。しかし、こんな時間こそ食事・睡眠・運動の習慣に目を向け、体と心を整えるチャンスと考えていけると良いですね。季節の変わり目に体調を崩さないように今から整えていきましょう。ほかにも自律神経を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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