不安が消えていく…「幸せホルモンが増える」簡単なコツ #86

文・大久保愛 — 2020.12.10
太陽がはやく沈むようになり、昼間の時間が短くなりました。出口が見えないこのご時世も手伝って、心が不安定になっていませんか。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、ハッピーホルモンと言われる、セロトニンを増やす簡単な方法をお伝えします! 年末年始に向けて幸せ体質になりましょう。

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 86

幸せ体質になりませんか?

幸せホルモン セロトニン ドーパミン 幸せ体質

紅葉も終盤を迎え、街並みの色づきもオータムカラーから例年よりちょっと控えめのクリスマスカラーへと変化していますね。そして、いつもと変わらない毎日が続いているはずなのに12月は一年のまとめをしたり、身の回りをきれいにお掃除したい気持ちになったり、1月には抱負をたて気持ちを新たにスタートしようという気分になりますね。

気持ちの変化が大きくなりがちな年末年始には、できるだけハッピーな気持ちで過ごしていたいものです。ただ、なんだか気持ちが塞ぎがちだったり、空回りしてしまったりとハッピーとは程遠い感覚を抱いてしまうこともあるかもしれません。そんなときは、ちょっとお腹に目を向けてみましょう。

スッキリと毎日便通がありますか? 便の状態は悪くなっていませんか? 寒くなったり、食事が乱れたりしやすい12月は、腸に負担がかかることがあります。お腹を壊しているとどうしても幸せ体質から遠ざかってしまいます。そこで、今週は、幸せ体質になるための食薬習慣を紹介します。小さな幸せをたくさん見つけられるようになりましょう!

今週は、幸せ体質になるための食薬習慣

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朝、太陽の上る時間が遅くなり、夕方は太陽の沈む時間が早くなり、日に日に明るい時間が短くなることを実感しますよね。そのピークは年末の冬至の日に訪れます。日照時間が短いことは幸せ体質に必要なセロトニンの分泌の減少につながります。セロトニンをハッピーホルモンと呼ぶ人もいるほど、セロトニンは心の状態に影響するものです。

また、カラッとして冷えた空気は十分な水分の摂取を忘れさせることもあり、年末モードでハイカロリーなこってり食事を食べる機会も増え、寒くて体を動かす機会は減っていくことがあるかもしれません。これらは腸内環境を乱す原因にもなります。腸内環境が乱れている時にはセロトニンの分泌に影響するので、この時期は、私たちのセロトニンの分泌に関係する時期と言えます。

漢方では、腸の状態が悪いとき『肺陰虚』といい、心の状態が安定しないときを『血虚』といいます。そのため、この時期は『肺陰』と『血』を補うことが幸せ体質を作り上げるために必要です。そのため、いま食べると良いのは【オートミールとココアの腸活ボール】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:オートミールとココアの腸活ボール】

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チョコレート菓子は、寒い時期に種類が増え、食べたくなるもののひとつだと思います。そこで、罪悪感がないだけではなく体の中から幸せ体質に導いてくれるトリュフチョコレートはいかがでしょうか。腸に良いものとセロトニンの原料トリプトファンを摂取できるものを組み合わせて作ります。ぜひ、『チョコ好きor幸せになりたい人』はトライしてみてくださいね。

【食薬レシピ】

オートミール 100g
バナナ    1本
プルーン   5~10粒
ココア    大さじ3~5

ココア大さじ3と細かく刻んだプルーンとすべての材料をビニール袋に入れて潰しながら混ぜます。クッキー生地くらいの柔らかさになったら、トリュフチョコレートの大きさに丸めタッパーなどにいれます。大さじ2程度のココアも同じタッパーにいれ、タッパーを振り、丸い生地全体にココアがまぶされるようにして完成です。一度にたくさんできて冷凍保存も可能です。

【食べるとよい食材:オートミール】

一番の特徴は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂取できることです。そのため、食物繊維不足による腸内環境の悪化に対して有効で、なおかつ血糖値の急上昇も抑えてくれます。さらに、鉄、カルシウム、ビタミンB群などの豊富に含まれています。また、玄米と違い消化器系への負担も少なく、調理時間も超短くて済むところもメリットです。

お粥やお鍋のしめ、雑炊、リゾットを作るときは、10分以内の煮込みでOK。また、シチューやカレーなどのルーとしてオートミールを活用したい時には、15分程度の煮込みでとろとろに仕上がります。ちなみにプルーンにもバランスの良い食物繊維が含まれています。

【食べると良い食材:ピュアココア】

まずは、ピュアココア(無糖)を選びましょう。ココアには、心を安定させるセロトニンや睡眠の質を高めるメラトニンの原料となるトリプトファンが含まれています。ちなみにバナナにもトリプトファンは多く含まれています。また、リラックス作用のあるテオブロミン、腸によい食物繊維も含まれています。

なんだか空回りしているな、幸せを感じる能力が低下しているなと感じている人は、ぜひ腸活ボールをたくさん作って冷凍庫にストックしてみてくださいね。今回紹介したレシピは『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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