アソコの乾燥でわかる!…免疫が低下している時に出る「体のサイン」 #82

文・大久保愛 — 2020.11.12
2020年の冬はインフルエンザやノロウイルスだけでなく、新型コロナウイルスにも気をつけなければいけません。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が感染症予防になる、免疫を低下させない簡単な方法をお伝えします!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 82

免疫、落ちていませんか?

感染症 免疫 低下 高める 腸活 

空気の乾燥を感じる機会が増えましたよね。ピタッと喉に何かが張りついた感じがして、咳が止まらなくなったり、朝起きると喉や鼻の具合が悪くなっていたりして、乾燥した空気は風邪へと一歩前進させてしまいます。

喉や鼻などの粘膜の乾燥はバリア機能を低下させます。喉や鼻の粘膜を乾燥させないために、部屋を加湿したり、鼻呼吸を心掛けたり、こまめな水分補給をしたりすることも非常に大切になります。

とくにマスクを毎日している私たちは、今まで鼻呼吸だった人も口呼吸に変化してきています。鼻呼吸を意識し乾燥のリスクを軽減していくことは必要ですが、免疫機能を最大に左右する部位は腸です。そのため、細菌やウイルスによる感染症対策として、乾燥予防の外側のケアと腸内環境を強化する内側のケアを同時に行うことがベストと考えられます。そこで今週は、免疫を低下させないための食薬習慣を紹介します。

今週は、免疫を低下させないための食薬習慣

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今年は、風邪気味だったり、軽く咳をしているだけで新型コロナウイルスに感染しているような不安を感じたり鋭い視線を感じたりと、例年より体調不良に対して自他ともにナイーブになっていると思います。

漢方医学では、秋になると『肺陰虚(はいいんきょ)』といって全身の粘膜が乾燥しやすいとされています。喉や鼻の粘膜が乾燥したり、便がコロコロしたり残便を感じるような、腸の乾燥を感じることがあります。気候的に細菌やウイルスなどの感染症に罹りやすいときと言えます。

そのため、喉や鼻の対策は部屋の加湿などを行うことで対応し、腸のケアには食薬をつかっていきましょう。そこで秋に不足する潤いの『陰』を補う食薬習慣を紹介します。食べるとよい食薬ごはんは【ブリの塩麴漬け】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:ブリの塩麴漬け】

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お魚の発酵調味料漬けといえば、西京味噌漬けが有名ですよね。ですが、手軽に自由に味噌や塩麴や醤油麹などの発酵調味料に漬け込んでも美味しく仕上がります。魚と発酵調味料の組み合わせで、『陰』を補いながら、腸内を整えて免疫低下の防止に役立てていきましょう。

食薬レシピ

ブリの塩麴漬の材料

  • ブリ 2切れ
  • 味噌or塩麴or醤油麹 大さじ1.5
  • 味醂 大さじ1.5
  • 酒 大さじ1
  • 生姜 お好みで

塩麴だけではなく、お好きな発酵調味料で大丈夫です。また、魚も今回はブリを紹介しましたが、お好きな魚で大丈夫です。発酵調味料が固めで魚となじみにくいようなら味醂や酒でのばすと使いやすくなります。材料をすべてジップ袋に入れて1時間から一晩寝かせたら下ごしらえ完成です。クッキングシートをフライパンに敷いて焼くと焦げつきにくくなるのでおすすめです。

食べるとよい食材:ブリ

お魚全般には、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸は、アレルギー、熱、痛みなどの炎症の原因となる物質の作用を抑える働きがあります。他にもタンパク質、鉄、ビタミンB群、『陰』を補いバリア機能を高めるビタミンA、ビタミンDなどの栄養も含まれています。

食べると良い食材:発酵調味料(塩麴・味噌・醤油麹)

発酵調味料は、腸内環境を整えることに役立つことでも知られていますよね。発酵調味料といえば、お味噌や塩麴や醤油麹などをイメージする人が多いと思います。お魚やお肉をこれらに漬けこむと味が決まりやすくなります。臭みが強い食材とあわせるときには、生姜もまぜると失敗がなくなります。

発酵することで天然に作られた調味料は、自然のうまみがたっぷりで栄養価も高く腸内環境の改善にもつながります。いつも顆粒の素などで調理をしているかたは、一度発酵調味料しばりで料理をしてバリエーションを増やしてみるのも楽しいと思いますよ。

特に、発酵調味料である塩麴は生姜やニンニクの冷凍保存にも便利です。塩麴は冷凍してもガチガチに硬くはならないので、すりおろした生姜やニンニクと混ぜて冷凍保存しておくと使いたい時にスプーンで必要な分だけをシャーベットのように簡単に取り出すことができます。今回紹介した発酵調味料の活用方法は、免疫向上万能調味料として11月7日発売の『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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