最近、食べ過ぎてない?…むくみスッキリ美肌にもなる「胃腸ケアフード」

文・大久保愛 — 2020.5.21
おうち時間が長くなり、食べることが楽しみという人は多いでしょう。でも、食べすぎていませんか? そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、知らずに疲れている胃腸をケアする方法をお伝えします。むくみが取れたり、肌がきれいになったりもしますよ!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 58

胃腸、疲れていませんか?

夏のような暑い日が続いたかと思うと急に冷たい雨が降ったりして、天気が少し落ち着かないですよね。こうやって少しずつ季節は梅雨へと変わっていくのですが、雨が降り気圧の変化が多いと胃腸の調子が悪くなったり、頭痛や頭重感を感じたり、気持ちが落ち込んでしまったりすることもあるかもしれません。

最近では、低気圧を予測し、連動して起こる頭痛の確率をお知らせしてくれるアプリなどもありますよね。気圧や天気と体調との関係を意識する人も増えてきたと思います。そこで今週は、その中でも胃の不調に役立つ食薬習慣を紹介します。長かった自粛で胃腸が疲れてしまっている人は、ジメジメした梅雨が始まる前に整えていきましょう。

自然の変化が体調に影響している

漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

今週は、胃腸の疲れを解消する食薬習慣

自粛が続き家の中で時間をもてあまし、いつもより食べ過ぎてしまってはいないでしょうか? 胃腸が疲れている時の目安として、口内炎や口角炎、普段出ないような湿疹やかゆみなどの肌荒れ、舌を見たときに舌苔が増えていることなどがあります。これらの症状がある場合には今、胃痛や膨満感、胃もたれを感じていなかったとしても食事の見直しが必要かもしれません。

また、漢方医学では、この状態を『痰湿』がたまりやすい状態と考えますが、胃腸の疲れのほかに耳鼻科系の不調を感じやすい人、むくみやすい人も該当します。その場合には、湿度の多い日や梅雨の時期に不調を感じやすくなると考えられています。そこで、今『痰湿』がたまっている人は湿気が高くなる梅雨や夏が始まる前に胃腸の不調を取り除いていきましょう。今週食べるとよい食材は、『痰湿』を取り除く、【塩昆布×キャベツ】です。

今週食べるとよい食材:塩昆布×キャベツ

生野菜を食べると健康的な気持ちになりますが、ドレッシングを食べたくてサラダを食べているのではないかと思うほどドレッシングをかける人っていますよね。ドレッシングのかけすぎは、『痰湿』をためこむ原因となることもあるので、注意が必要です。

かけすぎてしまう人は、ドレッシングのかわりに塩昆布を使ったり、塩とオリーブオイルや亜麻仁油を使うのもよいですし、そこにレモン汁をたっぷりかけるのもよいと思います。せっかくサラダを食べるのであれば、ヘルシーにいただきたいですね。

キャベツ

キャベツは、『痰湿』を取り除く代表的な食材です。胃腸の粘膜の再生や胃潰瘍にも役立つビタミンU、腸内環境を整える食物繊維、炎症を抑えるイソチオシアネートやビタミンCなどの栄養素を含みます。また、キャベツを購入するときには、一玉で購入するのがおすすめです。外側から一枚ずつはがして使うと日持ちします。キャベツの芯をくりぬいて、湿らせたキッチンペーパーをつめて保存しましょう。

昆布

昆布も『痰湿』を取り除く食材です。昆布には、腸壁の保護に役立つアルギン酸やフコイダンなどの食物繊維が豊富に含まれているからです。昆布といえば、お出汁をとるときに使いますが、それ以外にもとろろ昆布や塩昆布などは普段の料理に取り入れやすいです。

おすすめの献立は、千切りキャベツの塩昆布あえです。キャベツ1/4玉に塩昆布2つまみほどが目安。キャベツを千切りするときのトントントントンという単調なリズムはストレスの緩和につながるので、料理をしている時から健康に役立ちます。今週は、心身ともに整う千切りキャベツの塩昆布あえを食べてみてくださいね。

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大久保 愛 先生
アイカ製薬株式会社代表取締役・漢方薬剤師。
昭和大学薬学部生薬学研究室で漢方を学び薬剤師免許を取得。その後、中国で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方相談、調剤薬局、エステなどの経営を経て商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。

https://aika-inc.co.jp/

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著書『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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