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私の秘密を知る「無邪気な女」|12星座連載小説#9~獅子座3話~

文・脇田尚揮 — 2017.2.2
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第9話 ~獅子座-3~

前回までのお話はコチラ


「おはよーございまーす!」

お、来たね第一号。

『おはよう』

「社長、いつも早いですね! 今日は負けないようにと思って、私も早く出たのに~」

そう言っている彼女は、うちのスタッフの中で最年少の美夕だ。ちょっと天然だけど、愛想も良いし、彼女がいると場が華やぐんだよな。

『いい心がけね。今日もバリバリ行くわよ!』

「はい!バリバリですぅ!」

はは。元気のいいこと。美夕と私は、テンションの高さが似ているからか、話が弾む。作業をしながらも、他愛もない話でつい盛り上がってしまう。こんな妹がいたら、楽しかったろうなと思う。

「……はよっす」

あ、もうひとり来た。玲衣だ。この子はなかなか掴みどころがないのよね~。何考えてるか分かんないし。だけど、セールスはいつもトップ。スタイル抜群で何とも言えない味がある。でも、私は少し苦手だ。

『おはよう、玲衣ちゃん。今日もよろしくね』

「あ、社長。今シーズンはアッシュピンクのヌーディーが売れそうな気がするんですけど」

何!? 相変わらず、突拍子もないことを言い出すわねこの子。でもなんていうかな、洞察力があるのよね玲衣は。ちょっと怖いくらいに。

『OK、分かったわ。ありがとう』

少し顔を引き攣らせつつも、了承する。ヌーディーね、はいはい。まー確かに売れ筋だわな。つーか、うちで扱ってる商品に不人気なものはないんだけどね! 少しイラっとしつつ……あ、あそこに見えるは尾田ちゃん!

『おはよ! 尾田ちゃん!』

「社長、おはようございます」

今日も尾田ちゃんはシックね~。ボブカットヘアーにメガネが、いかにも真面目って感じ。頼りにしてるんだから。

『これで全員揃ったね。』

そして私たちは、いつも通りの儀式……もとい、朝礼をする。私たちの朝礼は、いたってシンプルだ。メンバーそれぞれに今日のミッションを宣言してもらい、笑顔をつくるための顔面ストレッチをやってもらうんだ。

うちのスタッフは皆、それぞれ持ち味が違うから、得意分野を活かしてくれるのが一番なのよ。
尾田ちゃんは、ネットショッピングの管理。美夕は新規顧客の開拓。そして、玲衣はああ見えてセールス。

『今日私は、14時に内藤様がお見えになるので、その時間帯だけは手が離せないからよろしくね』

そう、内藤様は私がブランドを立ち上げて間もない頃からのお客様だ。50代後半ながら、いつも凛としていて品があり、低姿勢の方。ウチのブランドを気に入って下さっているのが本当に嬉しい。こういう方をずっと大切にしていきたいものだ―――。


昼過ぎ、少しゆっくりしていると急にアイツがやってきた。佐々木恭子だ。

「黒木社長、ご機嫌いかがですか? 先日の社交クラブは……」

『あー! 佐々木さん! こんにちは~!』

厄介な女が来た。可愛いしオシャレだしいい子なんだけど……、私、弱みを握られてるのよね~。

そう、この女・佐々木恭子とは、会員制デートクラブ『ロイヤル・ヴェイル』で知り合った。お酒の席で仲良くなったんだけど……まさか彼女がアパレル勤務だって知らなかったから、マズかったわ。同業者とまではいかないけど、かなり近い存在だわ。私が出会い系クラブに登録してるって、みんなに知られたら……恥ず~いっ! この女、余計なこと言わないわよね!?

『佐々木さん、今日はどんな下着をお求めなの?』

とにかく無難に、無難に。

「黒木社長、私、この間、社長に見せて頂いたガードルがいいなって思って」

No~~~!!

この小娘、こんなところで変なこと言うんじゃないわよ! 何なの! バカなの!? ガードル見せる状況って、おかしいだろ!

『あ、ああ……、あれね。ちょっと待ってね」

ここは冷静にだ。大人の対応で乗り切らなくては。私は、過呼吸気味になりながら、引き締め効果抜群のガードル『エリュシオン』を手にした。

『こちらですよね?』

「はい! でも、う~ん、社長が履いていたボルドーカラーが好きなんですけどぉ」

こっの……アマ~! 勘弁しろよ! 酔っ払って、履いてたガードル見せちまったんだよ~!

『あっはい! こちらね。』

私はボルドーカラーのガードルを差し出した。ちょっと手を震わせながら。

「あっ! これです! これ! 有難うございます! 社長とお揃いのを身につけたかったんですよ~」

『あ、ありがとうね……!』

悪気がない分、どうしていいか分からん。ぬぅおおお。

彼女は、満足げにレジへ。

「社長、ありがとうございました~! また次回もよろしくお願いします!」

いつも変わらないな、あの子。レジ奥で尾田ちゃんが「クスッ」と笑ったのがわかる。私のイメージが崩れるじゃないのよ~。顔が火照って熱い。

そんなこんなで、14時からの内藤様対応のことはあまりよく覚えていない。が、尾田ちゃん曰く、「よく出来ました」とのことだった。

獅子座編 第一章 終

次回、“第10話 「美も婚活もタイミングが命。お姫様になりたいアパレル女子」”は2月3日(金)配信予定。

【これまでのお話一覧はコチラ♡】

【今回の主役】
黒木真利子 獅子座31歳 経営者
女性向け下着ブランド『アリアンロッド』の経営者。プライドが高く、自分の力で今の会社を立ち上げ軌道に乗せたことに誇りを持っている。しかし、恋愛はあまり得意でなく、強気な性格ゆえに男性との関わり方について悩んでいる。顧問税理士の茂木篤史は心を許せる存在。

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