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1分見るだけでOK!…ストレスが軽減する「今見るべきあの動画」 #33

文・土居彩 — 2020.4.22
新型コロナウイルス対策として、3密の「密閉」「密集」「密着」を徹底的に避けよという今日この頃。肉体接触を控え、抱きしめることやキスすることはもちろん、握手もNG。スーパーのインターネット宅配も対面せずに受け取りができるサービスが開始されました。けれども私たちは心を落ち着けたり、幸福を感じるためには触れ合いが欠かせない生き物というのは多くの心理学者が明かすところです。ではどうすれば? アイスランド林野局が提案したその画期的な解決策と、その科学的根拠についてレポートします。

【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 33

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仕事はリモートワークが推奨され、名古屋の有名老舗居酒屋ではテイクアウトサービスが始まり、人気を博しているとか。都内でもスーパーに向かう10分間に、今まで見たことの無かったUberEatsの自転車便を3台見かけました。一人蕎麦をゆがいて家ですすれば、たまたま隣接した見知らぬ客と談笑したあの日が遠い過去のように感じられます。

新型コロナウイルスの感染予防対策として、人との物理的な距離をとること(ソーシャル・ディスタンシング)が推奨されていますが、人間同士が離れて過ごすことによるストレスもまた問題視されています。有名な心理学者ハーロウの実験でも、赤ちゃん猿はミルクを与えてくれる針金で作られたサルのおもちゃよりも、温もりを与えてくれる柔らかい毛布で作られたサルのおもちゃにしがみつくように、長い時間を一緒に過ごしたといいます(1)。私たちにはやはり触れ合いが必要なのです。

しかし今は自分の健康を守ることと同じかそれ以上に、他の人にうつさず、他の人を守ることが大切な時期です。そこで社会的ひきこもりが招く不安や苛立ちを癒すための対策として、アイスランド林野局(The Icelandic Forestry Service)が提案したのが、人の代わりに木を抱きしめるという方法(2)。

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東アイスランドに位置するハットルオルムススターザスコゥガルは、アイスランドで一番大きい森林面積を有する、85種類の樹種に恵まれた美しい国立公園です。そこの森林警備隊の一人、フォール・フォルフィンソンさんはストレスフルなこの時期を、木を抱きしめることで乗り切ろうとオススメしています。

フォールさん 5分もあれば大変良いですよ。もし1日に5分間でも木を抱きしめることができるなら、十分です。抱きしめている間は、目をつぶってください。私の場合は幹に頬を寄せ、木の温かさとそこから流れてくるものを感じるようにしています。とてもリラックスした気持ちで、1日をスタートできますよ。だまされたと思って試してみてください。本当にそう感じられますから。

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確かに神社などに行って大きく立派な木があると、その神々しさにあやかりたいと、思わずその幹を抱擁したくなります。日本では森林浴という言葉がありますが、科学的にも自然から心と体に無数の利が得られるとされています。

例えば48名の日本人男性を治験者とした、木々によるストレス軽減効果を立証した実験があります。彼らは二日間、森林もしくは街なかで1日12-15分程度の散歩をしました。その結果、森林の中で歩いた人たちのほうが心拍数は低く、心拍変動数は高く(*心拍変動数の高さはリラックス度の高さとストレス度の低さを示す)、アンケートの結果でもより多くの気分の良さと不安の少なさを申告されました(3)。

とはいえ感染拡大防止のためにGW中も遠出は避け、家で過ごすようにと言われています。家の窓から緑を臨む環境に無く、近隣にゆったり過ごせるような神社や公園、木々や緑がない場合はどうしたらいいでしょう? その不安に対し、自然の動画を見ることでも心と体のストレス効果があるという研究結果があります。

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研究では治験者が幸せな気分になれる1分間の動画か、壮大な自然の1分間の動画を観ました。壮大な自然の動画を観て自然の美しさに気づき、畏怖の念を感じた人はそうでない人に比べて、より免疫機能に関連のあるバイオマーカーであるIL-6の値が低く、このことは心臓疾患、うつ病、自己免疫疾患にかかる可能性の軽減に働くとされています(4)。

ところでこの新型コロナウイルスが蔓延する前には、16歳の環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが気候変動に対する大人たちの認識の甘さを、胸を打つスピーチで訴えました。ローマ法王はこのウイルスを、「環境危機に対する自然の反応」の一例だと警鐘を鳴らしましたが(5)、確かにパンデミック以降、各国が経済活動を抑制した結果としてNASAや欧州宇宙機関(ESA)の衛星画像では、二酸化窒素の排出量が激減されていることが確認できます(6)。

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この機会に改めて自然を目にし、触れて、その力を感じ、新型ウイルスによる不安を癒されながら、これからの自然との共生について改めて見つめ直してみませんか。

土居彩

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©福元卓也(Botanic Green)

編集者。東京の薪割り暮らしをイラストとともに綴るブログ『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』。株式会社マガジンハウスに14年間勤務し、anan編集部に所属。退職後に渡米しカリフォルニア大学バークレー校心理学部ダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。その後2年間のハウスフリー生活を行って、ウパヤ禅センターやタサハラ禅センター、エサレン研究所などのスピリチュアルセンターで暮らす。現在は帰国し、書道家・平和活動家、禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)、芸術家で社会活動家の小田まゆみ氏の『Sarasvati’s Gift』(シャンバラ社)を翻訳中。
https://greenz.jp/author/doiaya/

『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』

参考
1. Harlow, H.F. (1959). Love in infant monkeys. Scientific American, 200, 68-86.
2.https://www.icelandreview.com/nature-travel/forest-service-recommends-hugging-trees-while-you-cant-hug-others/
3.Juyong Lee et.al. (2014). Influence of Forest Therapy on Cardiovascular Relaxation in Young Adults. Hindawi Publishing Corporation Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine.
https://doi.org/10.1155/2014/834360
4. Melanie Rudd, Kathleen D. Vohs, and Jennifer Aaker. (2011) ,”Awe Expands People’S Perception of Time, Alters Decision Making, and Enhances Well-Being”, in NA – Advances in Consumer Research Volume 39, eds. Rohini Ahluwalia, Tanya L. Chartrand, and Rebecca K. Ratner, Duluth, MN : Association for Consumer Research, Pages: 262-263.
5.https://www.cnn.co.jp/world/35152106.html
6. https://www.cnn.co.jp/usa/35151251.html