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ただ書くだけで免疫力UP?! 話題の「書く瞑想」が体に超いい理由 #2

取材、文・土居彩 看板写真・Yumiko Sushitani — 2019.9.28
誤字脱字も人目も気にせずに思いの丈を自由にノートに書いて、書いて、書きまくるジャーナリング。書く瞑想とも言われ、アメリカではセラピーにも活用されています。心と体の健康に良いとされるジャーナリングですが、創造性の回復やマネジメント力を培うとも言われ、ビジネス分野でも人気。では、一体どうやったらいいの? 社会心理学者のペンベーカー博士とベストセラー作家のナタリー・ゴールドバーグによる2つの手法と、その7つの必須ポイントを網羅します。さぁノートとペンのご用意を!

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【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 2

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イライラ、鬱々は書いて流すべし。

会社を辞めてアメリカで暮らしていたとき、こちらananwebの別の連載で日々のドタバタ劇を綴らせてもらっていました。危うい英語で孤軍奮闘するという泥臭い連載でしたが、ある日ふと、書くことの9割は聞く作業だと気がつきました。自分の主張に根気よく耳を傾けて、自分のインタビュー記事を書くような感じでしょうか。

そして書くことには、母国語ではない社会の中で言いたいことが言えなかった自分の主張を吐き出すことができて、カウンセリング効果があると実感しました。

作家の村上春樹さんも小説を書き始めたのは自己治療のためだったと臨床心理学者 河合隼雄さんとの対談でお話されていらっしゃいましたね。

別に村上さんのような素晴らしい作品を書かなければ!と力む必要はありません。究極的には書くことというのは、外側へのアプローチではなく、自分の内側と対話することだと感じるからです。

そういう意味で言えば、自分のためだけに書く日記は特に安心です。そこでは、100%自分の言い分を批判されることなく感じ切って吐き出せ、心理的に安全だからです。

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セラピーにも使われているジャーナリング。

さて、日記は英語でジャーナル。
それを現在進行形にするとジャーナリングです。

ノートに心に浮かんだことを書いて、書いて、書きまくる、というジャーナリングの手法は、アメリカでは書く瞑想とも言われ、セラピーにも使われています。

なかでも、日記だけにペン、というわけではありませんが、ジェームス・ペンベーカー博士の手法 エクスプレッシブ・ジャーナリング(表現するジャーナリング)は医療分野においても最も広く利用され、研究されています。

ストレスを感じたり、トラウマを抱くような体験について15〜20分間、ノートに書き綴るのです。人に読ませるものではないので、誤字脱字があっても、前後の文脈がハチャメチャでも、そんなことは全く気にしません。

ジャーナリング中は「こんなこと思うなんて、私って人間的に小さい」といった自制心もなだめながら筆を進めます。

私たちは悲しかったり、辛い出来事があると、それが強烈であればあるほど触れないようにと、無意識のうちに記憶の奥に押しやります。

1日15-20分ノートに思いの丈を書くだけ。

その鬱屈した思いをジャーナリングで発散させ、体験したことの意味を再認識することで、パートナーとの別れ(1)、愛する人の死(2)、無職状態(3)、自然災害(4)、一般的なストレスを感じる出来事(5)といった、辛い経験から心理的に回復する助けになるという研究結果もあります。

またペンベーカー博士の研究によると各20分、連続する計4日間、辛い出来事や感情について書くと、長期的には免疫機能が向上するなど心の健康のみならず、体もヘルシーになるのだとか(6)。

とはいうものの、書くことでその不快な体験をあえて再び浮上させ、文字という形で物質化させて心理的に再体験するというのは、なかなか難易度が高いものです。

そこで、どう行えば適切なのでしょう? 大まかに7つのポイントがあります。

トラウマ・ストレスを浄化するペンベーカー博士の手法

1. 各15-20分、4日間で1セッション。手書きで。
1セッションを数週間続けて行うのがより効果的。

2.同じトピックについて書き続けてもいいし、毎日テーマを変えてもOK。

3. 制限時間中は、書く手を止めない。文法の誤りは気にしない。
書く内容が無くなったら、新しい言葉が自然に生まれるまで同じ言葉を繰り返して書いてもOK。内容よりも、タイムアップまで書き続けることが肝心。

4. 自分のためだけに書く。
4日間のエクササイズ終了後は、書いたものを捨てたり、誰にも読まれないように隠してもいい。

5. 辛くて書けない内容は、書かなくて良い。
まだ心の準備がついていないということなので、心理的に向き合える出来事や状況を選ぶ。

6. 悲しみや落ち込みを感じても、不安にならない。
開始して1、2日は、悲しみが数分または数時間続く可能性が。どんな感情が起こっても自分をサポートできるような時間をあらかじめ設定しておくと安心。

7. 同じトピックを何セッションもダラダラと書き続けない。
ストレス改善が見られない場合は中断し、カウンセラーに相談して。

ペンベーカー博士の手法は、主にトラウマやストレス治療を目的としたものですが、創造性を回復するための文章講座というのも、アメリカで人気です。

全米で大人気のクリエイティブ・ライティング講座。

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その代表がアメリカのベストセラー作家のナタリー・ゴールドバーグが行うクリエイティブ・ライティングの講座。彼女が書いた『Writing Down the Bones: Feeling the Writer Within』(『魂の文章術—書くことから始めよう』)はミリオンセラーとなり、日本語も含めて12もの言語で翻訳・出版されました。

ちなみにナタリーは禅仏教の熱心な実践者でもあり、私が暮らしていたサンタフェにあるウパヤ禅センターで法話をしたり、坐禅に参加してもいたんですよ。

ナタリーによれば創造性を回復させるためにはまず、本来の自分を取り戻し、ありのままの自己を深く知って、それを受け入れる作業が必要だと言います。

これは自己認識力とも言われ、感情のコントロールがしやすくなることからビジネスの世界では、創造性のみならず、マネージメント力を培うためのスキルとしても重要視されています。

さてナタリーのジャーナリングには以下の7つのポイントがあります。そのうちのいくつかはペンペーカー博士のエクスプレッシブ・ジャーナリングと共通していますが、ユニークなものもあります。

創造性と繋がるジャーナリング ナタリーの手法。

1.手の動きを止めない。
何が言いたいのかわからないなら、「何が言いたいのかわからない」。無駄な時間を過ごしていると思うなら、「こんなことは馬鹿げている」と次の言葉が出るまで、思いの丈を書き続ける。手の動きが追いつくように、スラスラと滑りの良いペンを選ぶと安心。

2.コントロールを失う。
3.考えない。
4.誤字脱字、文法の誤りはムシ。
5.自由! 国宝級のガラクタを書いたっていい。
社会的、文化的なエチケットに従う必要はない。「いい人に見せたい」「うまく書きたい」と執着せず、ノートの上では本来の自分を解放して。ナタリーが言う“しょっぱなの考え(first thoughts)”を敬い、加工・編集しようとしないこと。頭の中の編集者や検閲責任者に暇を出し、自己肯定という名の特大サイズのプールで自由に泳いで。

6.具体的に。
全ての感覚をフル稼働させて表現する。例えば「彼女のせいで気が狂いそう!」ではなく、「メイって一緒にいてもずっとインスタ見てるし、映画中は話しかけてくるし、安い香水工場みたいな匂いがするのよね」といったように。ただし五感を研ぎ澄ませて書けなくても、それで自己批判したり、心配しないこと。

7.際どいところを攻めよ。
「怖いという気持ちが浮き上がってきたら、突き進め! それこそが創造性のエネルギーの源よ」というナタリー。始めは核心から逃げようとリスク周辺でうろうろしたり、はっきりしない主張からスタートするかもしれない。「でも逃げないで! 今まで心理的にスレスレのところを突いて書くことで死んだ人はいない。泣いたり、笑ったりしても、死ぬことはないから」というのがナタリーのガイダンス。

ジャーナリングする暇なんて無いという人は、手帳タイプのマインドフルネスダイアリー 2020年度版(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などを利用するのも手。「私のモヤモヤしていること」など一週間ごとにジャーナリングテーマが設定されているので、思わぬお題と巡り合い「本当のわたし」を探究できたらしめたものです。

さてどこかのライターが「書いていると血行が良くなって、脱糞したくなる」と語っていましたが(私じゃないですよ)、ジャーナリングとは心と体のお掃除。モヤモヤも感じ切って、噛み砕いて、ポーンッとウンコして流してしまいましょう。つまりジャーナリングも、トイレやお風呂、歯磨きと同じだと考えれば、日課にしやすいかもしれませんね。

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土居彩

編集者。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を勤める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にて、畏怖の念について研究するダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、13世紀の道元禅師を初めて英訳し欧米に伝えた禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)を翻訳中。恩人たちに支えられ続けながら、会社を辞めて渡米奮闘したドタバタな日々を綴ったananweb連載『会社を辞めて、こうなった』も。https://greenz.jp/author/doiaya/

参考論文

1. Lepore SJ, Greenberg MA. Mending broken hearts: effects of expressive writing on mood, cognitive processing, social adjustment and health following a relationship breakup. Psychol Health. 2002;17(5):547-560.
2. Kovac SH, Range LM. Writing projects: lessening undergraduates’ unique suicidal bereavement. Suicide Life Threat Behav. 2000;30(1):50-60.
3. Spera SP, Buhrfeind ED, Pennebaker JW. Expressive writing and coping with job loss. Acad Manage J. 1994;37(3):722-733.
4. Smyth J, Hockemeyer J, Anderson C, et al. Structured writing about a natural disaster buffers the effect of intrusive thoughts on negative affect and physical symptoms. Aust J of Disast Trauma. 2002;1:2002-2001.
5. Schoutrop MJ, Lange A, Hanewald G, Davidovich U, Salomon H, tte e. Structured writing and processing major stressful events: A controlled trial. Psychother Psychosom. 2002;71(3):151-157.
6. Pennebaker JW. Writing about emotional experiences as a therapeutic process. Psychol Sci. 1997;8(3):162-166.

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