JAXA大西卓哉宇宙飛行士に聞く人生相談! #15 宇宙からのANSWER. 新たな扉が開かれる
【宇宙からのANSWER.】vol.15 新たな扉が開かれる
行ってみないと、経験してみないとやっぱりわからないよね、ということはたくさんあります。人智を尽くした装置で疑似体験はできるものの、体験することは5感6感?で受け止めることによるなんだかわからないしくみで脳やら神経やら神経やらを刺激してる気がします。
SNSで回ってくるケーキの画像にうっとりしてヨダレでるけど、実際食べるほうが太る。ん、ちょっとまたずれてるかな。
いやなことはずっと経験したくはないですが、酸いも甘いも噛み分けてオトナになるのであれば、甘んじて酸っぱい経験もすべきなのか。
自問自答はここまでにして、
初めての体験によって新たな扉を開くことができるんじゃないか、というのが今回のanan総研からの質問です。宇宙に行った人たちが、人生観や宗教観を改めるということ、たまに聞きます。そういう書籍も発行されていますよね。何かに気付くんでしょうか。何かを感じるんでしょうか。何かを捨てるんでしょうか・・・。
これは行った人でないと、わからないなあ!
大西宇宙飛行士、今回も回答、よろしくお願いします!
Q.
宇宙に行ったことで、心境の変化などはありましたか?
今後地球に帰ってきてから生きていく上で、生活が変わりそうなことなどありますでしょうか。(30歳・営業)
A.
地上で当たり前にあるもの、例えば風だったり土のにおい、草の香り、雨、季節の移り変わりといったものが、とても貴重なものだと思うようになりました。
宇宙ステーションは慣れると快適な環境ですが、全てがコントロールされた、ある意味無機的な環境です。
地球に帰って生活が変わったりはしないでしょうが、何気ない瞬間に感動することは増えそうです。
かっこいいよ。ちいさな感動が増えるって。
当たり前のありがたさを、私たちは忘れて生きてきました~。
でもでも、そういうことですよね。全てがコントロールされた快適な環境って、不安定な要素を排除したってことですもんね。大都会もそうなのかも。
雨降ってたって、うっかりすると傘ささないで会社まで来れますもん。外気に触れないまま、取材に行って帰ってくることもありえます。
「今日寒い?」「外は寒いらしいよ」
宇宙ステーションはもっと安定してますよね、わくわく。
宇宙では、重力のない場で顔のタルミを気にせず生きてきたのに、地球にもどったらいきなりほうれい線がくっきりしちゃって、「場所によってはイケてたのに。このわたしは仮の姿!」って前向きになる材料があるってことかなあ。
また違ってる気がしてならない。
えと、新しい視点です。非日常との対峙による、新たに登場したステージに立てるということ。
いろんな体験をしていろんな感情を味わってみたい。
宇宙に行ってみたいなあ!!
anan総研の人生相談、宇宙からのAnswer、壮大な企画連載は次回が最終回です。
次回をお楽しみに!
※ 大西卓哉宇宙飛行士は無事地球に帰還なさいました。この人生相談は、大西宇宙飛行士が宇宙ステーションにいる期間にお答えいただいたものです。
ananのために撮り下ろしてくださった、宇宙ステーションでの動画はこちら!
大西卓哉(おおにし たくや)
JAXA 有人宇宙技術部門宇宙飛行士運用技術ユニット 宇宙飛行士。1975年東京都生まれ。全日本空輸株式会社のパイロットを経て2009年4月JAXAに入社。2016年7月から国際宇宙ステーション(ISS)第48次/第49次長期滞在クルーとしてISSに滞在中。
Information
JAXA:http://www.jaxa.jp/index_j.html