会社を辞めて、こうなった。【第28話】 心理学者カール・ロジャーズに学ぶ、英語も「話す」より「聞く」!

2015.12.28 — Page 2/2

誰もが求めているもの。

小学生以来のアイシングクッキー制作。瞑想状態になり、楽しかったー。
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これだと思いました。話すよりも相手の言葉をよく聞くようにしようと。結局のところ、相手も私も表面的には違っても深い部分では大きな違いは無いのです。つまり年齢や性別、社会的地位、そしてアメリカ人、日本人という文化的にも大きな違いはあるにせよ(それはまた今度皆さんに協力していただいたアンケート結果とともにお話します)、みんないちように「安らぎ」という感情を求めているのではないでしょうか。例えばプログラムのアカデミックカウンセラーと対話するときは、彼女と私が共有することができる彼女にとっての「安らぎ」とは何か。その職を脅かされないことですよね。そこで彼女にとっての安らぎと私にとっての安らぎがどこで重なるのかをまず考えるようにしました。例えば、私が良い成績をとり、無事に大学院へ進学するということは共有できますよね。彼女の評価につながりますから。その焦点さえ定められれば、あとは相手に質問しながらその話を中心に聞き、少し方向性がずれてきたときにだけ軌道修正として言葉を挟むようにしました。

この対話法は英語の出来ない私にとって楽でもあります。相手の使った単語を繰り返し使用することで会話が成立するので、そんなに英語が話せなくてもいいのです。また、そして聞きとれなければ尋ねればいいのです。いらないことを話しすぎて後悔することも少なくなります。基本的に人って聞くより話したい生き物なように感じます。例えばこちらはほとんど何も話していなくても、相手の話を傾聴して良いツボさえ押してあげられたら「今日はとても楽しかった!」と言われますよね。よくよく考えれば、これって仕事でいろんな方々を取材してきた方法と同じです。そこで気づけば少しずつではありますが、昔よりもワケのわからない状況になることが減ってきました。けれどもなにが相手にとって必要な情報でなにが不要なのかが見えてくるにつれて、どんどん自分の感情を誰にも吐き出すことが出来なくなってもきました。だから本を読んだり音楽を聴いたりとひとりで過ごす時間が増えました。少し寂しいですがそんなとき、私はここに自分の思いを書くことが出来る。読んでくださるみなさんの傾聴力に、とても感謝しています。

漢字テストに「売春」?

初めて頂いたホリデーシーズンにぴったりのプレミアムカカオの入ったデザートワイン。カリフォルニアのJeremy Wine Co.というブランドのものです。ダークチョコレートの香りがします。オシャレ!
初めて頂いたホリデーシーズンにぴったりのプレミアムカカオの入ったデザートワイン。カリフォルニアのJeremy Wine Co.というブランドのものです。ダークチョコレートの香りがします。オシャレ!

この間学校帰りのBART(こちらの電車)のなかで、真面目そうな会社員男性が一生懸命携帯電話を片手に日本語を勉強していました。微笑ましく眺めていると彼が暗記しようとしている言葉はまさかの「売春」! 思わず「あの、私は日本人なのですが、失礼ですがその単語の意味をご存知でしょうか?」とたずねると、にっこり微笑み「No」と言います。金融詐欺の分析調査官なのだけれど、3か月後にNYに移住した折に日本語の漢字テストを受けてみるんだそうです。ふむふむとお話を聞きながら、その単語、絶対テストに出ないよ…。これは伝えなければと意味を伝え、なぜ売ると春という言葉を掛け合わせるとそういう意味になるのかを説明すると「わ、私に日本語を教えて下さい!!!!!!!3か月後にテストがあるのです!!!!!!」。いえいえ、私は日本語を教えるトレーニングを受けたこともありませんし、無責任なことは出来ませんからとお話しながらも、涙目で懇願されます。語学習得の辛さは痛いほどわかるから力になってあげたい。私にとっても、日本語をアメリカ人に英語で説明するうちにまた新しいアメリカ人とのコミュニケーションのヒントを得られるかもしれない。一体どうなるでしょうか…。また報告します!

See You!

期末試験も終わり、ゆったりと過ごす日々。そろそろまた勉強せねば…。
期末試験も終わり、ゆったりと過ごす日々。そろそろまた勉強せねば…。

 

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PROFILE
土居彩
編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとジョギング。ラム酒をこよなく愛する。目標は幸福心理学を学んで、英語と日本語の両方で原稿が書けるようになること。