会社を辞めて、こうなった。【第22話】 バークレー心理学部へ。 全てゼロからの出発。

2015.8.27 — Page 2/3

無謀すぎる挑戦がスタート。

まず推薦文です。2通の推薦文のうちの1通は、私に編集者という仕事の面白さとその責任、そして社会人として以前に人間として大切なことを教えてくれた元上司に。もう1通は、私が会社を辞めてまでアメリカに来て心理学を勉強したいと思うきっかけとなったロコ・ベリッチ監督のドキュメンタリー映画「happy-しあわせを探すあなたへ」のプロデューサー、清水ハン栄治さんにお願いしました。10日間という無謀な締め切り設定だったにもかかわらず、快諾してくださった2人(有難い…)。さて、従姉妹に完璧に英文法を添削してもらった志望エッセイと素晴らしい2通の推薦文が揃いました。あと必要なのはTOEFLスコア90点以上だけ。無謀でもやるしかないのです! そこで2万円ほどはたいて関連教材を買いまくり、毎日9時間以上デスクに向かってとにかく過去問題を解きまくりました。ハウスメイトが引くのも気にせず、壁に向かってスピーキングテストの練習です。途中高熱を出して2日間ほど寝込んでしまい焦りましたが(ただでさえ時間が無いのに!)、とにかく今やれるだけのことはやったとギフトエコロジーツアーへと向かったのです。

アメリカで心理学の勉強をしたいと思うきっかけとなったドキュメンタリー映画「happy」。プロデューサーの清水さんは10月10日〜12日、幸福に働くためのビジネス講座を奥多摩のキャンプ場で開講するとか。行きたい!
アメリカで心理学の勉強をしたいと思うきっかけとなったドキュメンタリー映画「happy」。プロデューサーの清水さんは10月10日〜12日、幸福に働くためのビジネス講座を奥多摩のキャンプ場で開講するとか。行きたい! http://life-school.net/

ツアー中は朝から夜までハードスケジュールだったので試験勉強をする暇は皆無。さらには参加者とはすべて日本語で会話です。また、ギフト経済で生きる賢者たちに「大学院でのPh.D.(博士号という学位)よりもPh.Be.(賢明な存在のあり方)のほうが大切だ」と言われ続け、「一体私がやりたいと思っていることは、意味があることなんだろうか?」と疑問に感じ始めてしまったりも。マズい、TOEFL受験前に完全に士気が下がってしまっている…。するとツアー最終日に参加者のひとりが私を真っ直ぐに見つめて言ってくれたんです。「彩ちゃんは慣行経済とギフト経済、その2つの世界をつなぐ人になるのだと思う。それは彩ちゃんしか出来ないこと。だからバークレーで勉強することは彩ちゃんにとって必要なことだよ。決して自分のエゴのためだけに勉強しているんじゃない。きっとそれもこの世界へのギフトなんだと思う」と。神様の言葉かと思いました。うん、頑張る!

Congratulations!

オリエンテーション前日のバークレー大学のお祭り。乗り合いタクシーのliftからIKEAに至るまでさまざまなブースが。
オリエンテーション前日のバークレー大学のお祭り。乗り合いタクシーのliftからIKEAに至るまでさまざまなブースが。

そしてツアーから帰ってまもなく、生まれて初めてのTOEFLを受験。結果は84点と、足切りだった90点には至りませんでした。けれどもたくさんの賢者や仲間たちにこの世界の美しさを見せてもらったので「ま、受かっても落ちてもどっちでもいいや。やれるだけのことはやったし、どっちに転んでも私にとってベストな結果なんでしょう」と自然に思えたんです。するとバークレー大から「おめでとう!」と合格通知が。えーーーーー!!

バンザーイ! との喜びのひとときもつかの間で、一学期(4か月間で、です)で200万円という高額な学費の請求にすぐさま打ちのめされ、さらにはふと我に返れば「ハッ、私英語が出来ないんだった!」。ドクターからプログラム合格者全員にやってきた一斉メールを見れば14人の同級生のメールアドレスにはハーバードやらバークレーやらと入っています。ガーン…。やっぱり、この合格は何かの手違いなのかもしれない…。がしかし、すべては始まってしまっています。授業開始まであと1か月。もう引き返すことも、焦る時間もありません。そこで担当ドクターにすぐさまメールをして履修教科の教科書の一部を教えてもらい、授業が始まるまでにすべて読むことに決めました。がしかし、これがねぇ…。冷や汗タラタラなものなワケのわからなさ。8時間もかけてやっとこさ1章読んでも、「もしも〜し、一体何が書いてあるの?」って感じなんです。未だかつて経験したことが無いほどの意味不明っぷりなのです。オーマイ!(従姉妹の口癖の真似)

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