会社を辞めて、こうなった。【第21話】 代金の無い料理店『カルマ キッチン』 創設者・ニップンさんのギフトな生き方。

2015.8.15 — Page 2/3

最後のステップはダンス。

ギフトの旅は終わりのないジャーニー。何かを与えれば、自然と人との関係性も生まれていく。
ギフトの旅は終わりのないジャーニー。何かを与えれば、自然と人との関係性も生まれていく。

最後のステップは、ギフトの世界でダンスすることだと言います。「何かを与えると無意識に記録をとってしまいますよね。誰に何を与えた、というように。記録は思考を働かせて行うことだけど、ダンスは心に身を委ねること。損得勘定を手放し、ハートに従うことでギフトの世界で軽やかに踊ることができるんです」。

ニップンさんは今から10年ほど前、すべてを処分し夫婦で巡礼の旅に出かけました。ガンジーのアシュラムを始点としてインドを南下する無銭旅行。与えられたものを食べ、与えられた場所で寝る、何も持たない片道切符の旅です。その道程でお世話になったある老夫婦に「一体何をしているのか」と尋ねられたそうです。「心を浄化しようとしているのです。そして歩きながら奉仕したいのです」とニップンさん。そして旅のスタート地点は?、とのおじいさんからの問いに「アンダバという都市です」と答えると、「メンダバか」と応じられました。そこで「いいえ、そうではなくてアンダバです」「メンダバか」とのやり取りが続いた結果、ついに「いいえ、ここから120キロほど行ったアンダバというところです」と説明しました。すると「では君は巡礼していないんだね」とおじいさん。「えっ、どういう意味ですか?」と尋ねると、「だってあなたはまだ記録をとっているじゃないですか」と言われてしまったのだそうです。

記録を手放す。

「カルマ キッチン」で奉仕させてもらう。最高のチームワークを誇ったボランティアスタッフたちと(もちろん全員初対面!)。
「カルマ キッチン」で奉仕させてもらう。最高のチームワークを誇ったボランティアスタッフたちと(もちろん全員初対面!)。

「財産もすべて手放したのに、依然としてダンスしていなかったんです。“踊っているか”は持っているものや、行っていることでは決まらないのですね。それは心のあり方。ギフト経済の博士号を持っていたとしても、その世界に生きていなければダンスは出来ていないんです。頭で考えるのではなく、大切なのは実践と体験。記録を手放して心から生きることです」。

「あれをしてもらったから、これを返さないと」。「これをしたから、あぁして欲しい」。我が身を振り返れば、無意識に損得勘定で生きているなぁと大反省です。「ギフトの輪は一対一の与え合いじゃないんです。大勢と大勢の与え合い。だからあなたが与えたものがどこで浮上するのかはわかりません。もしかしたら巡り巡ってあなたの子どもに与えられるのかもしれない。孫かもしれない、または従兄弟かもしれません。誰にいつ与えられるかはわからないのです。でもそういうことは重要じゃないんですね。大切なのは優しさの波紋を起こすこと。どんなに小さな優しさでも伝播していくからです。逆に言えばいじわるも同じ。ガンジー、マザー・テレサ、ダライ・ラマなど優しさの波紋を広げながら暴力的な行為を受け止めていった人たちがいます。私もそういう人になりたい」。

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