会社を辞めて、こうなった。【第53話】 異空間! サンフランシスコNo.1高級住宅街、 パシフィック・ハイツ会員制テニスクラブに潜入。

写真/文・土居彩 — 2017.7.7
たまたま語学学校で友人になった10頭身美女のエフ。2年ぶりの再会の場は、西海岸でもっとも古いプライベートテニスクラブ、カリフォルニア テニスクラブ。ルイ・ヴィトンをさりげなく着こなすブロンドマダムが集う異空間に迷い込んだ筆者・土居ですが……。

【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 53

 

【第53話】異空間! サンフランシスコNo.1高級住宅街、パシフィック・ハイツ会員制テニスクラブに潜入。

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今から2年ほど前のことです。サンフランシスコで無料、英語が母語じゃない人向けの英会話教室に通っていました。そこで友人になったのが、南米ガールのエフ。彼女は私が今まで見たサル目ヒト科ヒト属に所属する生き物(すなわち、人間)のなかでもっともスタイルが良く、ジュリア・ロバーツを正統派美人化して金髪にしたような10頭身美女。日本から戻って早々UCSF Osher Center for Integrative Medicineの面接を受けにバークレーから久しぶりにサンフランシスコへと出向いた際に「あ、そういえば彼女、パシフィック・ハイツにある彼氏の家に住んでいると言ってたな。面接場所の近くだ」と思い出し連絡。結果、久しぶりに会おう!ということになったのです。

待ち合わせ場所に指定されたのは、Osher Centerから歩いて5分の場所、パシフィック・ハイツにある会員制テニスクラブ、カリフォルニア テニスクラブ。米ミシシッピ川より西で最も古いプライベートテニスクラブだそうです。面接が案外早く終わってしまい「待ち合わせ時間まであと2時間あるな……。どうやって時間を潰そうか」。がしかし会員制だけにオートロックドアの前で締め出しを食らって思案していたら、ラケット片手にあきらかに高そうなカジュアルウェア(たぶんルイヴィトン)を品よく着こなす3人連れのマダム(全員ブロンド)が扉を開けてくれました。

「二階のカフェで待ってて。なんでも割合おいしいわよ」とエフからテキストメッセージを受けるも、飲み物にも食べ物にも値段が書いていない―。恐怖!「ホテル価格から類推して、どんなに高くてもまぁ10ドル以内(約1200円)だろう…」と心を落ち着けカプチーノを注文(あぁ、小市民……)。通されたソファ席にふかぶかと身を沈め、1階の中庭でテニスをする人たちを眺めます。「しっかし、平日のこんな時間にサンフランシスコど真ん中の高級住宅街でテニスをやっている人たちって、いったいどんな生活をしているんだろう……?」。コートでプレイしている人も、カフェで新聞を読んでいる紳士も、給仕のボーイさんも、レジのおじさんも……オール・ホワイト。白人オンリーの世界に、日本人の私がひとり。まるでカプチーノの白いミルクの泡についた、エスプレッソの染みのよう。正直、なんだか肩身が狭い。「なんじゃ、この世界は?!」。多種多様な人種、民族の人たちが暮らすサンフランシスコで、いきなり異空間にトリップした気分です。

ただひたすらに、エフが羨ましい…。

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「アヤ! なんて久しぶりなの! あなたってホント全然変わらないんだから!! いったいなんのコスメを使っているの? やっぱりSHISEIDO?!」と、ゴージャスなベビーカーとともにひまわりのような笑顔でエフが登場。みんなエフの顔なじみのようで、彼らとも微笑みながら談笑します。「当時は語学学校で一緒に顔ヒゲをつけたりバカをやってたけど、あなたってセレブだったのねぇ〜」というと、「夫が会員だってダケ。私は私よ。ごめんね、ここじゃないと子どもをあやしながらリラックスして話せないから。だけど、アヤだって日本に帰ったらこんな感じなんでしょ?」と言われ、「…ハハハ…、それは全然違うよ」と苦笑い。「でも、こんな世界を覗ける機会って無かったから、ありがとうね。経験値が上がったわ」。

「お腹空いてない? サンドウィッチとかパイとかけっこうイケる味よ。で、今までどうしてたの!? もう、全然会ってくれないんだから!」。簡単にこの2年の経緯を説明すると、「それで、今はイイ人いないの?」と、ド・ストレートに聞かれます。「う〜ん。恋愛は(も?)あんまり得意じゃないみたいで」というと、「アヤ、本気で人と向き合うためには、自分の脆さや弱さをさらけ出さないと」と鼓舞されました。フム…。バレリーナを目指していたエフは、身長が伸びすぎてしまい(180cm以上)夢を断念。聡明な彼女はその後、美人会計士として活躍します。そこで恋に落ちた相手がバツイチ子持ち、父親の友人(ジョージ・クルーニーに激似の美おじさん)。観光ビザでサンフランシスコと南米を行き来しながら、2人はさまざまな試練をともに乗り越えて愛と信頼関係を深め、私があわあわとバークレーで右往左往しているあいだに、エフは母となり妻となったのでした。

階級・お金・パワーへの恐れはいったいどこから?

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お茶代をお支払いしようとレジにいくと、「全部主人にいくから、必要ないのよ」とエフ。えー、会ったこともないご主人の奢り?! いいのかなぁ、ソレって。正直言って「エフのすべてが羨ましい…」と思いましたし、ゴージャスなエフとベビーと一緒に居る私を外野から見たら、完全にメイドさんだよな……と劣等感も持ってしまいました。なんでこんなふうに歪んで物事を見てしまうんだろう、私って! エフはスーパー感じが良くって、私を大切な友達として接してくれているのに!! 実際問題、別れ際にエフに「Thanks for your time(お時間ありがとう)」というと、「Are you kidding? (ちょっと、冗談でしょ?!)」と言われてしまいます。自分のなかに依然として存在し続ける、お金や階級、パワーへの恐れ、コンプレックスがいったいどこからやってくるのか。渡米して以来、幾度となくこの壁にぶち当たっては立ち止まって気持ちをなだめ克服し、また一歩を踏み出すという繰り返しです。手放したいなぁ、この恐れ…。そろそろさすがに自分の内側をもっと深く掘り下げる必要がある。そうこうするうちに導かれるままバークレーにあるクンダリーニ瞑想センターの門戸を叩き、スワミ(ヒンドゥー教の先生)の教えを乞うことになるのです。ちょっと長くなりそうなのでこの続きはまた次回に…。

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See You!

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テニスクラブカフェテリアの写真:
「いったい会員になるのにいくらかかるのだろう…」と興味を持ち、おそるおそる調べてみるも、情報ゼロ&インビテーションオンリーとピシャリ! 所在なく着席したのは、もっとも目立たないカフェテリア最果ての席。

エフとの写真:
見よ、ノーメイクでこの美しさ! さらに私より10cm身長が高いが、顔サイズは半分のエフ。

手の写真:
クンダリーニ・ヨガセンターのドアノブ。親指(最高原理のシンボル)と人差し指(自我・真我のシンボル)がぴったりと一致することで、美しい花が咲くという。

SEE YOU!
ヘルシーでおいしく、見た目も美しい料理が揃うバークレー『Mission Heirloom』はトレンドチェックのためにも一度訪ねてみる価値アリ。平日15:30-17:00はハッピーアワーも。http://www.missionheirloom.com/



【これまでの「会社を辞めて、こうなった」】

【第1話】37歳で再スタートって、遅いですか?
【第2話】サンフランシスコ式クリスマスの過ごし方。
【第3話】まるでBar状態! サンフランシスコ図書館は、フレンドリーすぎ!!

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