収入やキャリアを失ってもいい! 令和の専業主婦「メリット、デメリット」

文・おおしまりえ — 2023.2.16
専業主婦になりたい。女性の中には、一定数そう考える人がいます。時代的には共働きが多いですが、専業主婦って本当に高望みなのでしょうか。今回は、国家資格キャリアコンサルタントを持つ筆者が、「幸せな人生を選び取るための専業主婦願望との付き合い方」について紹介します。

本当言うと専業主婦になりたい…結婚しても幸せな生活をするために今知っておくべきこと

専業主婦 育児 子育て メリット デメリット

【おおしまりえの恋愛道場】vol. 210


専業主婦になりたい。共働きがスタンダードになる時代、こうした気持ちになる時がありませんか。女性の中には、「なれるなら専業主婦になりたい」と考える人が一定数います。筆者はそれを否定しません。ただ、せっかく抱いた夢ならば、現実的なメリットとデメリットに分けて判断してみたいもの。

今回は、コラムニストでキャリアコンサルタントの資格も持つ筆者が、令和の時代でも専業主婦になりたい夢を持つ女性に向けて、一歩踏み込んだメリット、デメリットを考えます。また、専業主婦になることで生まれるリスクを、極力下げる方法についてもお伝えします。

仕事辞めたい! その気持ちが叶うことが最大のメリット

専業主婦になりたい女性の1番の理由は、「お金を稼ぐためだけの仕事を辞めたい」ことでしょう。ただでさえ、早起きして満員電車に揺られ、楽しくない業務に向き合うとしたら、楽しいはずはありません。結婚すると、それと同時に育児という重要プロジェクトを考える人もいます。

結婚後、子どもがほしいと思い子宝に恵まれた人にとって、育児は当然、愛する我が子に向き合うことなので楽しいでしょう。やりがいも感じるはずです。辛さや大変さはめちゃくちゃありますが、とにかく楽しくて幸せで、1分1秒でも離れたくないと考える女性は多いかもしれません。

そういう人のなかで、仕事と育児、この2つを天秤にかけたとき、育児に専念したいという強い気持ちがあるなら、「お金が」「キャリアが」と言う世間の声に納得できないのは当然でしょう。その結果、お金とかリスクとかは後回しにして、「とりあえず子どもが小さいうちは」という判断に落ち着くのです。

専業主婦になるメリットは、「お金を稼ぐためだけの仕事をやらなくてよくなること」 、子どもがほしい人であれば加えて「子育てという楽しくて幸せな仕事に集中できること」とも言えるのではないでしょうか。

専業主婦のデメリット

専業主婦になるデメリットは、今やいろいろなところで言われているでしょう。「財布が1つになったリスクが」「キャリアの中断が」などあります。それらはもちろん理解していると仮定して、ここではもう少しだけ、感情に突っ込んだデメリットを紹介します。

自分の稼ぎがなくなる本当のデメリットは、生活のリスクが上がることと合わせて、「自分の自由がなくなること」と、子どもができた場合「子どもの選択の自由がなくなること」があるからです。

自分の自由とは、好きな物を買い、好きな場所へ行き、好きな物を食べる自由です。夫が稼いでいたらある程度叶いますが、同時につねに夫の許可が必要になります。これは厳密には自由とは言えません。

そしてもう1つ忘れないでほしいのは、子どもの選択肢の自由がなくなるかもしれないことです。習い事や受験、留学など、可能性を広げるためにはお金がかかります。こうなったとき、専業主婦家庭の方が選択肢は狭まる傾向にあります。

またキャリアの中断によって、復職に苦労する話もよくありますよね。個人的な見解としては、退職前の仕事がある程度専門的であれば(営業、マーケティング、広報など)、ある程度(3〜5年)のブランク後も、派遣社員や契約社員という選択肢であれば戻れると思います。これを許容範囲とするかどうかが、1つ判断のカギかもしれません。

また、これらとは別に見過ごされがちな大きなデメリットがあります。それは、専業主婦とバリバリ働く夫とでは、まれに価値観のズレが生じ、関係悪化が止まらないケースがあることです。
2人とも大変なのに、お互いの頑張りが見えにくいがゆえに感謝できない。そんな理由からギクシャクして離婚した夫婦も見てきました。

せっかく幸せな家庭生活のために仕事を辞めたのに、夫と不仲になっては意味がありません。しかし人というのは、立場の違う人の苦労をすんなり理解できるほど、察しがよくありません。「妻が家でぐーたらしている」「夫は稼いでいるからってワガママ」こういう気持ちが思わず出てしまうのが、専業主婦家庭なのです。

専業主婦になりたい気持ちは、2つの取り組みで変わることも

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ここまで読んでも、専業主婦になりたいと考える人の気持ちは変わっていないかもしれません。そこで、先ほど紹介した専業主婦になるデメリットを最大限減らすために、今からできることを紹介します。

仕事をもっと楽しいものにする

そもそも、仕事がもっと楽しければ専業主婦願望の多くは減ると思っています。楽しくない仕事で1日の大半を過ごすのは、苦しいものですしね。
そこで余裕のあるうちに、仕事自体を楽しいものに変える努力をしてみませんか。まずはフレックス制や在宅勤務が可能な、ライフスタイルに合った会社への転職を検討することです。また、自分のやりたい分野の仕事を考え、スキルを学ぶことも有効です。「いつか」に備えてスキルを貯金するという発想も大事になります。

経理なら簿記を取得するとか、マーケティングなら今やっている業務以外のチャレンジをしておくとか。専門職でないなら、英語やエクセルの中上級知識を得るだけで視点は変わります。
このように、今の段階から仕事自体をカスタマイズできれば、きっと辞めたい気持ちにも変化があると思います。

早い段階から夫に相談をする

専業主婦になることのデメリットとして、夫婦の不仲リスクを紹介しました。最終的には個々の夫婦によりますが、今できることもあります。それは、こまめに自分の希望をシェアし、相手の気持ちを聞くことです。

「私、子どもが生まれたら数年だけ専業主婦になりたい」
「仕事より家庭に入る夢がある」

男性から反対される場合もあるでしょう。そうなったら感情的になるのではなく、「じゃあ今から何を備えておけるか」を話し合っておくのです。備えの1つは、先ほどの仕事への取り組みを変えること。また、貯金を頑張っておくのも、大きなリスクヘッジです。
こうした取り組みにより、夢の実現に近づくと同時に、なんでも話す中で、夫婦やカップルの絆も深まります。ぜひ勇気を出して相談してみてください。

専業主婦になると、毎日の辛い通勤や人間関係、退屈な業務から開放されます。同時に、子どもが生まれたら愛する子どもとのエンドレスな時間が手に入ります。しかし、子どもはいつか自分を離れます。また、やりたいことを主張します。そうなったとき、専業主婦という選択が正解だったかが始めて問われるのです。

忙しい中での子育ては大変ですし、専業主婦になりたい気持ちはとても分かります。しかし、目の前の感情をとりあえず優先する前にやれることはあるかもしれません。
どうかあなたの人生が、より満足できる幸せなものでありますように。

おおしま りえ/恋愛ジャーナリスト

10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。本音を見抜く観察眼と、男女のコミュニケーション術を研究し、恋愛ジャーナリストとして活動を開始。私生活では20代で結婚離婚を経験した後、現在「女性自身」「週刊SPA!」など大手メディアを中心にコラムを執筆中。


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