「すべての瞬間を音楽に」Wakanaの癒やしの歌声が堪能できる新作完成
母の影響で音楽に触れる環境に育つ
【音楽通信】vol.29
12歳から声楽を学び、17歳より多数のイベントに出演していたWakanaさん。福岡県から上京後、2008年に「Kalafina(カラフィナ)」のメンバーとしてデビューし、本格的にシンガーとして活動をスタートされた後、2019年にシングル「時を越える夜に」でソロデビュー。
その後、コンスタントに作品をリリースし、ワンマンライブでもたくさんの人たちにシルキーで心地よい歌声を届けているWakanaさんが、2020年2月26日に2ndアルバム『magic moment』をリリースされるということでお話をうかがいました。
ーーWakanaさんは12歳から声楽を学ばれていたそうですが、もともと音楽に触れる環境にいらっしゃったのですか。
母が小学校の音楽の教師だったんです。母のピアノの伴奏で歌うことが好きで、小学生のときに少年少女合唱団に入っていました。さらに歌の基礎を教えてもらうために、中学校の3年間はご近所の先生に歌を教えてもらっていたので、歌にはよく触れ合っていた生活でしたね。
母がピアノ教室も行なっていて、高校1年生ぐらいまでは家のピアノの発表会に出ていました。発表会では、生徒さんたちみんながピアノを2曲演奏するところ、私は母のすすめもあり、歌1曲とピアノ1曲を披露していました。
私だけ歌が入っていることに、多感だった当時の私は恥ずかしかったのですが、学校の先生が発表会に来て、歌を褒めてくれたことがとてもうれしかったことを覚えています。
ーーその後、福岡県から上京後、「Kalafina(カラフィナ)」のメンバーとして2008年にデビューされ、2019年にはWakanaさんがソロデビューされています。
2008年から約10年間、梶浦由記さんという作曲家でプロデューサーの方のもとで、歌い手として活動していました。そのぶん、ソロになって環境が変わり、自分自身がどういうものを発信していけばいいのか、自分の良さはなんなのかということをものすごく考えなければいけない場面になりました。
デビューシングルでは、初めて作詞をさせてもらったのですが、恥ずかしさが先にきてしまって、悩みましたね。ただ、1年間ソロ活動をさせていただいたなかで自分の書きたい欲も出てきましたし、こういうものを書いてみようという意欲にもつながっていったんです。
いままでの自分を認めてあげる気持ちになった
ーー今回、2月26日に2ndアルバム『magic moment』をリリースされますね。
『magic moment』は、ソロデビューしてからの1年間を通して培った経験から、「すべての瞬間を音楽に変えられたらいいな」という思いを込めさせていただきました。
今回のアルバムは、昨年の春に初めてのソロツアーをさせていただいた後、次に出すEPから2ndアルバムまでの活動を「同じコンセプトで統一させよう」と話し合って決めていたんです。
最初は“magic hour”というコンセプトを立てて、それに沿っていこうと。昨年の11月にリリースしたEP「アキノサクラ」では、空を意識したmagic hour的なものが収録曲の中に入っていますし、例えば恋に落ちる瞬間もmagic hourなんじゃないかと思っていて。
ということは、“hour”という時間だけではなく、ほんの一瞬のような瞬間も考えると、アルバムタイトルは「magic moment」にしようと思いました。
12月のワンマンライブでも、「瞬き」というタイトルをつけたんですね。ライブという瞬きの時間と、CDという作品を聴く時間、それぞれ私にはとても大切な時間で、どの瞬きも一番でひとつは選べないというお話をいつかみんなにしたいと思っていたんです。
ライブではライブの時間、CDに込めた思いはいつだってどこだって届く、ということをライブでも伝えていました。今回のアルバムは、いままでの自分を認めてあげようという気持ちにもなった作品です。
曲が歌詞の世界に連れていってくれる
ーー11曲目はストリングスの厚い表題曲の『magic moment』ですね。
この曲は、人生で最後の場所ぐらい自分で決めていこうという旅の歌。「magic moment」というタイトルも、他にもいろいろと案があって、実は最後の最後まで悩みました。
わたしたちは普通になめらかに動けますが、瞬間で動きがつながっていて、その瞬間の大切な思い出を1つ残らず次に持っていきたいと思っています。自分が生まれるときにきっと場所を決めて生まれてきていますが、そのときの記憶は忘れているから。
生きているということが、奇跡の積み重ねですが、宇宙からしたら人の人生なんて一瞬だと思っていて。でもそのなかで、その人の人生はぎゅっと詰まっているということをこの曲に込めたかったんです。「何処か遠く」という歌詞は、最後の場所と言いつつ、まだまだやりたいことがある状態。この曲を11曲目の最後に持ってきて、1曲目の「breathing」にまたつながれる世界観になっています。
「breathing」には、生きていくうえで必ず誰しもが息をして、鼓動を鳴らしているという、思いが入っています。海の生き物も空の生き物も、見え方が違っても、息をして鼓動を動かしていることを私の意思では止められないのが、生き物の面白さだと思っていて。
そんな自分の意思だけで止められないことが、“生かされている”という部分でもあると思うので、「breathing」も最後まで悩んでタイトルをつけました。呼吸にスポットをあてたときに、11曲目から1曲目はつなげて考えてもらっていいと思ったんです。
ーー輪廻転生のようなイメージですね。Wakanaさんの歌詞は知的な印象がありますが、今回は7曲の作詞を手がけていらっしゃいます。
まだ作詞を始めたばかりで、勉強中なんです。これからどんどんやり方も変えていきたいですし、もっとうまくやりたいとも思うこともあるのですが、曲から得たイメージで詞を書いています。曲のイメージが、私を歌詞の世界に連れていってくれると思っているんですよ。
ライブで歌うことで曲の表現が変わってくる
ーーそれぞれの曲へのアプローチはどのようにされているのですか。
曲へのアプローチは、曲のイメージを大事にしたいと思って向き合っています。どう表現するかということは、曲を作ってくださった方の思いが込められていると思うので、それを読み取りたいから、歌でどう表現するかをあまり悩んだことがないんです。
曲以上のものはまだこれから生まれてくるものだと思っていて、それもライブで歌うことで変わってくるんですよ。レコーディングのときは、自分にとってそのとき求めていることを最大限にやっています。ライブでは、何よりも自分を変えてくれるのが、お客さんです。
ーーライブではおなじみという8曲目「君だけのステージ」は、明るいアップテンポのナンバーです。作曲と編曲を担当されている音楽プロデューサーの武部聡志さんとは、ライブでもご一緒されているそうですね。
ソロデビュー前のファーストライブで、武部さんが音楽監督を努めてくださって以来、ずっとライブは武部さんが音楽監督です。そのファーストライブ制作の際に武部さんが曲を何曲かあげてくださって、「歌詞を書いてみて」とすすめられて書いたうちの1曲なんです。
そして「この曲もライブでやりましょう」と武部さんが言ってくださって。当時はリリース前で曲数が少なくて、武部さんの作ってくれた曲、カバー曲、Kalafinaの曲なども歌わせてもらってライブをしていました。
その頃から「君だけのステージ」を歌っていることもあって、歌い込んでいるからすごく楽しかったし、アルバムのなかでも1番年季の入った曲です(笑)。
ピアノはもちろん武部さんが担当で、ギターとベースの方もライブでお世話になった方で、ドラムの方は初めてだったんですが自分の歌の雰囲気もすぐ読み取ってくれて、歌の思いを汲んだドラムをたたいてくださって、みなさん歌を音としてとらえてくれるので、すごく気持ちのいいレコーディングでした。
音楽監督の武部聡志さんがメンバー加入
ーー3月14日には、リリース記念のワンマンライブ“Wakana Spring Live 2020 ~magic moment~”がヒューリックホール東京で開催されるそうですね。
今回は、音楽監督の武部さんが、初めてミュージシャンのメンバーとして入ってくださるんです。これまでレコーディング以外で、武部さんがバンドのみなさんと弾いてくれるという経験をしていないんですよね。ライブに武部さんがゲストとして登場してくださるときはピアノ1本なので、今回はどうなるのか楽しみです。
『magic moment』リリース後のライブになるので、バンドサウンドで生でお披露目できる曲たちをどういうふうにみんなのところに届けようかなと考えているところです。
ーーWakanaさんの歌声は、シルキーで包み込むような高音がきれいですが、普段ののどのケアはどのようにされていますか。
ケアは、秋からずっと寝るときにマスクをしています。昨年まではマスクなしで加湿器のみで夜は寝ていたんですが、加湿しすぎるのもどうかと思って、マスクに切り替えたらのどの調子が良いんです。最初はマスクが苦しくて自然と取ってしまうこともあったんですが、つけたまま眠れるようになると、朝はのどの痛みがまったくないんですよ。
ーーところで、Wakanaさんはメイクのこだわりはありますか。
メイクはいつもナチュラルにしたいと思っていますね。アイラインもブラウンが多いんですよ。冬はいつもマスクをするので、よれにくいファンデーションを研究することもありますし、メイクさんが使っているものを見て探すこともあります。
春や秋に出る黄色や黄緑色のような発色がいいハイブランドのものも見ますが、ペンシルやマスカラなどのポイント使いでしか使用せず、アイシャドウでは色はいつもブラウンになっちゃいますね。ステージでは、ブラウンのメイクはパッと見なじんでしまうので、アイラインはブラックを使います。
肌が敏感なので、オーガニックコスメのSHIROやTHREE、ジュリークは肌にやさしいとうたっているから安心して使っています。マスカラはお湯で落ちるタイプを使用していて、クレンジングもジュリークのミルククレンジングを使っていて。ダブル洗顔は乾燥するので、いつもミルククレンジングのみなんです。
今後は狭いテーマでより内面が出る曲も作りたい
ーーおやすみの日は何をされていますか。
お友達と約束して、食事に行きますね。それにもともと植物が大好きでお部屋にも緑がいっぱいあって、お休みの日は、さらに植物を探しに行きます。お店で球根を見つけて、球根の水栽培に挑戦したんですが、よく考えたらどんな花が咲くのかわからないまま買っていました(笑)。
水栽培の仕方を調べると、最初は寒いところに置いて冬をイメージさせるとまず根っこが生えてくるそうで、根っこが生えたらお水の量を加減して、明るい場所に置くと「春かな」と思って咲くということで、その通りに栽培して無事にピンクの花が咲きました(笑)。
春先は、お花や植物がお店に多くなるんです。お花は命が短いので、冬になると枯れた部分を切ったり枝だけになったりして、春に花が咲くのか不安になることもあってすごく育てるのが難しいですね。置く場所が重要だから、お部屋のなかの太陽が当たる場所がもう満席なんですよ。
ーー最後に、Wakanaさんの今後の目標を教えてください。
聴いてくれる方の気持ちをいつも大切にする音楽を作っていきたいですね。アルバム2枚を制作して、あらためて2枚を通して聴いた時に、曲間や1曲ごとにこだわりもありますし、レコーディングのときにいろいろと相談したこともいっぱい思い出していたんです。
今回は「magic moment」というテーマで作ってきましたが、今後はもっと狭いテーマでスポットを狭くして、自分の内面がもっと出る曲を作ってみたいと思いました。自分の思い描く声やあこがれの声もあるし、好きな音もあるので、そういうものを表現できるよう、これからも追究していきたいなと思います。
取材後記
しなやかで心地よい歌声を持つWakanaさんは、お会いすると明るい笑顔を見せてくださる、エレガントな女性。東京の神宮外苑いちょう並木通りでの撮影は、Wakanaさんのナチュラルな一面が樹々と溶け込んで絶妙にマッチしていました。そんなWakanaさんのニューアルバムをチェックしてみてくださいね。
Wakana PROFILE
12月10日、福岡県生まれ。12歳から声楽を学び、17歳より多数のイベントに出演。上京後、FictionJunctionのプロジェクトに参加。その後、劇場版アニメ「空の境界」主題歌プロジェクトとしてスタートした「Kalafina」のメンバーとして2008年1月にデビュー。本格的にシンガーとしてのキャリアをスタート。
2019年2月、シングル「時を越える夜に」でソロデビュー。3月に1stアルバム『Wakana』、11月に1stEP『アキノサクラ EP』をリリース。2020年2月26日、2ndアルバム『magic moment』をリリース。3月14日、ヒューリックホール東京で「Wakana Spring Live 2020 ~magic moment~」を開催する。
Information
New Release
『magic moment』
(収録曲)
01.breathing
02.揺れる春
03.where
04.442
05.ひらり ひらり
06.アキノサクラ(Acoustic ver.)
07.myself
08.君だけのステージ
09.オレンジ
10.Happy Hello Day
11. magic moment
2020年2月26日発売
※収録曲は(通常盤)(初回限定盤)AとB全共通。
(通常盤)
VICL-65328 ¥3,000(税別)
※CDのみ。
(初回限定盤A)
VIZL-1730 ¥4,000(税別)
※LIVE CD「Wakana Winter Special Live 2019 ~瞬き~ at マイナビBLITZ赤坂」
※2CD。
(初回限定盤B)
VIZL-1731 ¥4,800(税別)
※LPサイズジャケット仕様。LPサイズフォトブックレット封入。ポスター(B2変型サイズ)封入。ボーナスディスク(全曲インストゥルメンタル収録)付き2枚組。高品質SHM-CD仕様
※SHM-CD。
Wakana オフィシャルサイト
https://www.jvcmusic.co.jp/wakana/
ヘアメイク・丹羽寛和(maroonbrand)