「“後払い決済”って安全?」お金の教科書Vol.51 #お金の基本
“後払い決済”って安全?
高山一恵(たかやま・かずえ)さん ファイナンシャルプランナー。Money&You取締役。Webメディア「FP Cafe」「Mocha」の運営ほか、多くの働く女性のマネーのお悩みを解決、サポート。頼藤太希さんとの共著に『はじめての資産運用』(宝島社)がある。
散財好美(さんざい・よしみ/31歳・フリーランス) 5年交際中の彼と同棲中。推し活とちょこちょこ散財する癖が抜けず、貯金は微増にとどまる。今秋は“推し”のファンミーティングに参加すべく、2泊3日の韓国旅行を計画中。
手続き簡単スピーディ。“後払い決済”の魅力とは?
好美:最近、オンラインショッピングの決済画面で「あと払い」という文字が目に留まるんですが、これってどういうシステム?
高山:“今買って、後で支払う”という意味の「Buy Now, Pay Later」の頭文字を取り、BNPLサービスといわれる決済方式のことですね。
好美:代金を後払いするという点では、クレジットカード決済と同じだと思うのですが、違う?
高山:違います。クレジットカード決済で手数料がかからないのは一括払いや2回払いまでで、分割払いやリボ払いを選択すれば利用者が手数料を支払う必要がありますよね。でも、BNPLサービスは分割払いを選択したとしても、手数料は事業者が負担するので利用者負担は原則ナシ。さらに、クレジットカードのような審査もほぼ不要で、携帯電話番号とメールアドレスを登録すれば、簡単に利用できるのが大きな特徴です。
好美:携帯電話番号とメアドのみ!? そんな簡単に決済できちゃって、大丈夫なんでしょうか…。
高山:未成年は保護者の承諾が必須だったり、利用額の上限があって20万円前後となっています。アプリからの本人確認やショートメッセージでの認証などが求められる場合もあります。ただ、それらを踏まえても、クレジットカードの審査に比べたら簡単でスピーディですよね。
好美:欲しい! と思った時に手持ちのお金がなかったら、飛びついてしまいそう…(笑)。手数料が無料なら、魅力的だなぁ。
高山:若い世代の利用者が増えているのは、まさにそれが理由です。
好美:BNPLサービスは、最近登場したものなんですか?
高山:実は2000年代の初めごろにはもうあったんです。アメリカを中心にPayPalなど、利用する人は多くて。
好美:へぇ~!
高山:日本ではコロナ禍で仕事をなくし、クレジットカードの審査に通らないケースが増えたこともあり、ここ数年でぐっとサービスが浸透していった感じですね。
好美:サービス自体はすごく魅力的に思えます。だって、欲しいと思った時に買えるわけですから。私も“推し活”で、急遽追加されたファンミに参加したい! 限定グッズを今すぐ手に入れたい! でも手持ちが…みたいなシーン、よくあるので(笑)。利用に際し、注意するポイントはありますか?
高山:支払い能力以上に使いすぎないこと。それは、クレジットカードも同じですけどね。
好美:確かに。機会があったら、試してみたいと思います!
Q. 後払い決済サービス、利用したことある?
利用したことがある…31.1%
【利用経験ありの年代別・世代別合計】
20代…35.6%、30代…33.8%、40代…30.0%、50代…16.9%
※過去1年の利用経験者
Q. 後払い決済サービスを利用する理由は?(20~30代・複数回答)
1位:支払うタイミングを調整できるから…60.9%、2位:利用金額を把握しやすいから…34.8%、3位:支払いの見通しを立てやすいから…30.4%
若年層になるほど、利用率はアップ。ちなみに後払いサービスの平均月間利用金額は1万円未満が圧倒的。「SNSで見て、欲しい! と思った時に利用する」といった、気軽に使える金額の範囲内での利用が多いよう。国内の後払い決済サービス市場は、1兆円を超えるとも。
出典:株式会社メルペイ「2021年 消費と支払手段に関する調査」より
人気の後払い決済サービス
【ペイディ】ファッションから家電まで幅広く使える。
スマホで完結するBNPLサービス。メールアドレス、携帯電話番号、認証コードで決済が完了。“お買いものに「めんどくさい」はいらない”をうたい、AmazonやSHEIN、星野リゾートなど約70万のECサイトで利用が可能。
【メルペイスマート払い】設定は最短30秒!
チャージ不要で使った分だけを翌月にまとめて支払えるサービス。利用者の約半数が支払いにメルカリの売上金を利用。メルカリでの買い物だけではなく、街中のお店でも使える。利用上限金額を自分で設定できるのも便利。
★次回は、2414号(9月18日発売)掲載予定です!
※『anan』2024年9月11日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝
(by anan編集部)