「海外旅行、どうしてこんなに高くなった?〈前編〉」お金の教科書Vol.19 #リアルボイス

2023.5.5
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「海外旅行、どうしてこんなに高くなった?〈前編〉」です。

海外旅行、どうしてこんなに高くなった?〈前編〉

橋賀秀紀さん トラベルジャーナリスト。東京都出身の40代。コロナ前は、ほぼ月1回の頻度で海外に出かけ、渡航歴は200回を軽く超える。これまでに訪問した国は127か国。著書に『エアライン戦争』(宝島社)など。

貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。コロナ前は年に1回は海外旅行でリフレッシュするのを楽しみにしていたが…。

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お得な旅行を支えてきた中国系LCCが選べない。

未知子:先日、そろそろ海外旅行を再開するぞ! と意気込んで、GWの計画を立てるべくリサーチしたんですが、旅行代金が高すぎて、撃沈…。いったい、何が原因なんでしょうか。

橋賀:海外旅行の金額が高騰している理由は3つあります。一つはコロナ禍で運行本数が減便したため、選択肢が狭まってしまった。今、中国系のエアラインの格安航空券はコロナ禍前と比較すると激減してしまいました。

未知子:今も中国の渡航制限が続いているから?

橋賀:はい。2020年の6月に、中国東方航空で上海に飛び、上海からカタール航空でロンドン、というチケットを私が購入した時は、約4万6000円でした。

未知子:燃油サーチャージ別?

橋賀:いえ、込みの価格です。

未知子:信じられない!

橋賀:他のエアラインと比べても安かった中国系のLCCが選べないのは痛いですね。

未知子:2つ目は?

橋賀:ロシアによるウクライナ侵攻で原油の供給が滞っていることです。特にヨーロッパ便ではシベリア上空を飛べず、行くならば南回り航路のみ。でも、そのぶん時間がかかるため、余計な燃料も使うわけで、それは当然、航空運賃に跳ね返ってきます。

未知子:ひー! 最後、3つ目の理由は…、円安ですか?

対ドルの円安が続けばハワイは高嶺の花のまま。

橋賀:その通りです。ハワイではラーメンと餃子で5000円、なんていう話もニュースで話題になっていましたよね。

未知子:聞いて絶望しました(涙)。この先は…どうなるんですか?

橋賀:円安に加えて相手国の物価も上がっているという状況は、ここ何十年かで見ても例がない。僕の肌感覚でも、2019年ごろから比べてまだ2~3割は高い印象。円安トレンドが続く限りは、旅費は下がらないかもしれません。

未知子:そんな中でも橋賀さんは海外に出かけてるんですよね?

橋賀:はい。去年はタイ、スリランカ、インド、年末年始はマレーシアのペナン島に行ってきました。

未知子:なぜそんなに行ける!?

橋賀:“行き先ありき”ではなく、その時期にお得な国に行く。発想の転換、それだけですよ。

未知子:考えたこともなかった! いつもハワイ一択でした。

橋賀:こんな時だからこそ、他の場所に目を向けてみませんか? 海外全体で見れば選択肢は広いですよ。

ドル/円 為替レートの推移をチェック!

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アメリカ圏でなければ、お得な行き先はある!
「以前に比べたら確かに高いのは事実ですが、それはドルに対する円安が顕著なだけで、アジアにはそうでない国もあります。年末年始に訪れたペナン島や年明けに訪れたインドは、ホテル代も食事代も日本と比べてまだ割安感がありました。タイやベトナム、インドネシアなどもチェックしてみてください」と橋賀さん。

→“行き先ありき”ではない、柔軟なプランニングが鍵!
「高くて行けない」と嘆くのではなく、メジャーでなくてもお得に行ける国を探し、そこからプランを組み立てる。これから海外旅行の計画を立てる人は、そんな方法も頭に入れておこう。

ちなみに今年のGWの旅事情は?

JTB発表の2023年のGW(4月25日~5月5日)の旅行動向によると、国内旅行者数は2450万人(対’22年153.1%、対’19年102.0%)。一方、海外旅行者数は20万人(対’22年400.0%、対’19年21. 5%)。

★次回は、2348号(2023年5月17日発売)掲載予定です!

※『anan』2023年5月3日‐10日合併号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

(by anan編集部)