「金融リテラシーって何!?」お金の教科書Vol.14 #お金の基本

2023.2.19
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「金融リテラシーって何!?」です。

金融リテラシーって何!?

宮﨑順子さん 暮らしに身近なお金に関する知識やノウハウを、中立・公正な立場から提供する金融広報中央委員会で企画を担当。情報サイト「知るぽると」や、無料eラーニング講座「マネビタ」で発信中。

散財好美(さんざい・よしみ/31歳・フリーランス) 5年交際中の彼と同棲中。貯めたい意志はありつつも、推し活とちょこちょこ散財する癖が抜けず、気づくと残高減。

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この社会を生きていく上で欠かせない「生きる力」。

好美:ここ数年でよく耳にするようになった「金融リテラシー」の必要性ですが、要はお金に関する知識や判断力があるかどうか、が問われているわけですよね?

宮﨑:その通りです。「人生100年時代」といわれる中、長く人生を楽しむ上で、経済基盤を固めることは非常に大切。そのためには、ライフプランに応じた資産形成を考えなくてはなりません。

好美:お金と向き合うことから逃げてきたので、私の「金融リテラシー」はないも同然だろうなぁ…。

宮﨑:好美さんは、これまで金融教育を受けたことはありますか?

好美:学校でも職場でも、思い当たるものはないですね。

宮﨑:金融教育は、この社会で生きていくのに欠かせない「生きる力」を育むためのものなんです。

好美:「生きる力」、ですか。受けた覚えのない私みたいな人は、その点で弱いということ?

宮﨑:これまで金融トラブルに遭ったご経験は?

好美:幸い、消費者ローンを利用したこともないですし、契約トラブルに遭ったこともないです。

宮﨑:それはきっと、生きていく中でお金に関する知識が身についているからですね。でも、昨年4月から成年年齢が18歳に引き下げられ、クレジットカードをつくる、ローンを組むといった際の親の同意が不要になりました。つまり、「未成年者だから」と守られてきたことも、自分の責任になるということなんです。

好美:自分が18歳の頃を振り返ると、何も考えてなかったなぁ。

宮﨑:キャッシュレス決済など、新しい金融サービスの広がりは、生活を便利にする一方で、「見えないお金」が増え、支払った感覚が薄くなり使いすぎてしまうおそれがあります。

好美:確かに、今月自分がいくら使ったかは、クレジットカードの明細以外では把握しにくいですね。

金融教育を受けている人はお金と上手に付き合っている。

宮﨑:実は、私たちが実施している「金融リテラシー調査」の結果を見ても、金融教育を受けている人とそうでない人では、明らかに差が出ることがわかっています。金融教育を受けた人ほど、望ましい金融行動をとる人の割合が高い。つまり、お金と上手に付き合っている人が多いということです。

好美:でも金融教育って、聞くだけですごく難しそう…。

宮﨑:金融教育や金融リテラシーといっても、基礎的な知識は難しいものではなく、常識的なことが多いので安心してください。

好美:では、金融リテラシーを身につけるにはどうすれば? 最近、よく目にするお金関連の本から読んでみようかな。

宮﨑:私たちが提供しているeラーニング講座「マネビタ」では、生活設計から資産運用まで、さまざまなコンテンツを10~15分の動画で解説しています。誰でも無料で受講できるので、おすすめですよ。まずは、下記のクイズに答えて、ご自分の金融リテラシーレベルを確認してみてくださいね。

金融リテラシークイズ

Q1. 家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものは?
【1】家計簿などで、収支を管理する
【2】本当に必要か、収入はあるかなどを考えた上で、支出をするかどうかを判断する
【3】収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
【4】支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する

Q2. 一般に「人生の3大費用」といえば、何を指す?
【1】一生涯の生活費、子の教育費、医療費
【2】子の教育費、住宅購入費、老後の生活費
【3】住宅購入費、医療費、親の介護費

Q3. 金利上昇時に、資金の運用(預金等)、借り入れについて適切な対応はどれ?
【1】運用も借り入れも固定金利にする
【2】運用は固定金利、借り入れは変動金利にする
【3】運用は変動金利、借り入れは固定金利にする
【4】運用も借り入れも変動金利にする

Q4. 10万円の借り入れがあり、借入金利は複利で年率20%。返済をしないと、この金利では何年で残高は倍になる?
【1】2年未満
【2】2年以上5年未満
【3】5年以上10年未満
【4】10年以上

Q5. 金融商品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものは?
【1】消費生活センター
【2】金融ADR制度
【3】格付会社
【4】弁護士

解答

Q1. 【4】分割払いには手数料(金利)が発生するため、支払いを遅らせるために分割払いを多用することは不適切。
Q2. 【2】
Q3. 【3】金利上昇時は、運用収入が増加するため、運用を変動金利にすることが適当。一方、借り入れは、コストの増加を避けるため、固定金利にすることが適当。
Q4. 【2】「72の法則」は、お金が2倍になる年数がすぐにわかる便利な算式(「72÷金利≒お金が2倍になる年数」)。これに当てはめると、「2年以上5年未満」。
Q5. 【3】格付会社は、金融商品または企業・政府などの信用状態について評価(等級:信用格付け)を付与する企業。

上の解答をもとに1問20点で計算!
全国平均は50.6点。女性に限って見てみると、18~29歳の平均は39.0点、30代は44.1点、40代は45.8点。さぁ、あなたは何点?

★次回は、2338号(2023年3月1日発売)掲載予定です!

※『anan』2023年2月22日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

(by anan編集部)