「ビッグマック指数って!?」お金の教科書Vol.10 #お金の基本

2022.12.17
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「ビッグマック指数って!?」です。

ビッグマック指数って!?

西山美紀さん ファイナンシャルプランナー。お金、生き方などをテーマに取材を重ね、日々にうるおいをもたらしてくれるお金の貯め方、使い方を発信中。All About貯蓄ガイドや著書『お金の増やし方』(主婦の友社)も好評。

散財好美(さんざい・よしみ/31歳・フリーランス) 5年交際中の彼と同棲中。貯めたい意志はありつつも、推し活とちょこちょこ散財する癖が抜けず、気づくと残高減。

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生活に身近な食べ物を世界と比較してみたら…。

好美:先日、何気なく耳にした「ビッグマック指数」という言葉。すごくキャッチーで頭に残っているんですが、正直なところよくわからず、気になっているんです。

西山:そうでしたか。「ビッグマック指数」というのは、世界各国で販売されているビッグマック1個の値段を比較することでわかる、各国の経済力の指標のことなんです。1986年の発表当時、どの国で食べても、材料や調理方法が基本的には同じ商品で、誰が聞いてもわかるものといったら、マクドナルドのビッグマックだったんでしょうね。今でこそ、トールサイズのラテで比較した「スターバックス指数」もありますけど。

好美:どちらもすごく身近な存在だから、興味をそそられます。

西山:「ビッグマック指数」は、本来は「The Big Mac index」といって%で表記しますが、よりわかりやすく、日本円に換算したのが下のグラフです。

好美:え…。日本のビッグマックって、こんなに安いんですか…!?

西山:そうなんです。同じ商品でもその国の物価や賃金が値段に影響するため、各国で販売価格が異なるのはわかりますよね?

好美:はい。アジアを旅行するとこれまで安いと感じてきましたが、それは物価が日本より安かったからですよね。でもいつの間にか、中国、韓国、タイ、ベトナムよりも日本のビッグマックが安く…。

訪日客にとって、日本は「お得に買い物できる国」。

西山:2000年のランキングでは、日本は5位、アメリカは12位でした。それがこの22年で、逆転し、差が開いているんです。私たちがアメリカでビッグマックを食べようとしたら、日本の約1.8倍の金額を出さないと食べられません。

好美:逆に、海外から日本に来た人は自国より安く食べられる…。

西山:日本国内で生活する分にはあまり影響は感じませんが、そうなりますね。コロナ禍も落ち着いて、ここ最近、街では多くの外国人観光客の姿を見かけませんか?

好美:見ます! Appleストアに大行列してますよね。

西山:世界中で値上がりしたiPhoneや人気ブランドのバッグは、彼らから見ると「日本で買った方が安い」ですからね。

好美:先生…、日本は貧乏になったんですか?

西山:簡単にいえば、そういうことになってしまいますね。これからは、今まで以上に収入をアップし、長く働くこと、副業も検討することが大事になってきますよ。

世界各国と比べてみると、日本の力は落ちているのが現実。

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ビッグマック指数ランキング
1位:スイス923円、2位:ノルウェー863円、3位:ウルグアイ838円、4位:スウェーデン770円、5位:カナダ723円、6位:アメリカ710円、10位:ユーロ圏653円、31位:中国490円、32位:韓国482円、33位:タイ482円、40位:ベトナム406円、41位:日本390円、42位:アゼルバイジャン381円、43位:フィリピン379円

※The Economist-The Big Mac index(2022年7月)より
1ドル=137.87円で計算、小数点未満切り捨て

イギリスの経済専門誌『The Economist』誌上で年2回、1月と7月に公表されている「ビッグマック指数」。円安が続く中、2023年1月の最新ランキングはどうなっているのか、要注目! 円安とインフレのダブルパンチに今から備えておきましょう。

★次回は、2330号(2023年1月4日発売)掲載予定です!

※『anan』2022年12月21日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

(by anan編集部)