結婚願望はなくてもいいけど? 女性の人生に「欠けてはいけないもの」

文・三松真由美 — 2022.10.20
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、仕事にまい進し独身生活を謳歌している32歳女性。彼女の人生計画に結婚の二文字は現時点でないが、家庭を持ち子宝にも恵まれた双子の相方の姿を目の当たりにして…。三松先生が「年をとってからエライ目に遭う」生き方を教えてくれます!

ユウカ(32歳)結婚願望レス、双子の相方から結婚しろと突っつかれるが

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【レスなひとびと】vol. 180


ユウカとエリカは顔も性格も似ていない双子姉妹だ。エリカは20代で結婚して2人の子どものママ。インスタには平和な子育て三昧の日常をアップしている。そんな投稿を横目に見ながらユウカは「ありえない」とつぶやく。うちら二人とも就活がんばって、それぞれいい会社に就職したのに、エリカったら妊娠したとたん辞めるんだもん。

ユウカは健康食品の通販会社で美容系チームをまかされ、ゼリーやジュースの開発にいそしんでいる。仕事が楽しくてしょうがない。自分がかかわった商品の売れ行きが伸びたり、顧客満足度が高いと上司から褒められる。仕事の結果で認められた日は必ず「ご褒美ワイン」で一人乾杯する。もちろんオーガニックワイン。

恋愛経験は…ない。エッチ経験は大学1年のとき、ゼミの男子と合宿の勢いで1回ポッキリのお粗末な思い出。すぐに男を好きになり、泣かされているエリカを間近に見てきて反面教師にしていたから。

「仕事だけが私を強くしてくれる」と小さな拳をいつも胸の中で握りしめて頑張っている。休日はラノベの世界にひたり、そこそこストレス発散している。つまり私の人生ムッチャ充実! と自分では納得。

それなのに、ああそれなのに。

たまに実家でエリカファミリーと接触すると虚しさがよぎる。愛くるしい姪っ子たち。孫を抱くときの至福の笑みの両親。エリカがキッチンで洗い物をしているときに駆けつけて「手伝うよ」とエリカの腰に手を回して、ニッコリ微笑むイケメン夫…。

「子育てたいへーん」と言いながらも「ユウカも早くこっちの世界来たら?」とマウント取られてるような不穏な空気。なにゆえ、エリカに「フンッ!」と感じてしまう自分がいるのか。仕事でいい調子。ちゃんと稼げてるし、貯金も投資もしている。35歳で家を買う計画も順調。

この前、エリカのマンションに行った時、エリカと喧嘩になってしまった。
「ユウカ、エッチしてないでしょ。仕事できるってイキがってるけど、エッチしないとお股も心も砂漠化するんよ。ユウカ見てると怖いお局さまになりそうで心配。後輩にやさしく接してるん?」
「はあ? ふざけんなよ。あんたが、男に泣かされまくってたから、あんたみたいになりたくないって思って生きてきたんよ。私のエッチの心配なんかせんでええわ」

結婚なんかするもんか。仕事が私の一生の恋人なんだ。胸の中の砂時計。白い砂がサラサラと乾いた音を立てて落ちてゆく。


【三松さんからのコメント】

人口問題研究所の調査で「結婚願望なし」の割合は男性17.3%、女性14.6%で過去最高というニュースが流れてきました。さらに日本結婚推進協会のアラサー世代調査では、200人中、結婚願望があるひとは67%。つまり3割以上は結婚願望なしです。

Z世代に関しても結婚を考えているひとは67.9%。既婚者を除いても2割強は結婚願望レス。2割強の未婚者が「結婚なんて考えてない」って事実、特に問題することか?

はい。そのとおり。結婚するかしないかは自由です。お国としては少子化が進行するからまずいかもしれないが。しかし、人の心は移ろいやすいもの。今は「結婚願望レス」でも2年後にムチャいい男(女)が出現して「絶対結婚する!」とエンジン全開になることもある。結婚意識調査結果に一喜一憂する必要はありませぬ。

ユウカさんも双子の相方と真逆の人生を歩んでいますが、この先の心境変化で大恋愛の可能性も想定内です。エリカさん夫婦がセックスレスになって離婚する将来も想定内。
恋愛も結婚も離婚もセックスレスも、すべて視野に入れて『未来を生きる力』を今こそ蓄えていきましょうぞ。

ただし、性に重きを置く私の意見としては「エッチはマスト」です。
不倫やセフレは薦めないが、ひとりエッチでも女風でもいいので「おのれの性の自立」は絶対にしておかないと年をとってからエライ目に遭います。エリカさんの意見は一理ある。

「結婚願望レスのみなさん、それは個人の未来設計なので問題なしですが、セックスレスはあかん!!! そこは挽回してくれ」

参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000059806.html

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00924/

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。


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©Oliver Rossi/Gettyimages