バチが当たるかも…! 絶対してはいけない「マッチングアプリの使い方」

文・三松真由美 — 2022.5.19
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、恋愛も結婚も願望がない30歳女性。とはいえ、たまにデートして相手をキュンとさせて、願わくばワンナイトラブしたい気持ちはある。ある日もそのつもりでマッチングアプリを使用したが…。三松先生が絶対にしてはいけないマッチングアプリの使い方を教えてくれます!

梨沙(30歳)結婚願望レスだけど、ワンタイムエッチがしたくなる

マッチングアプリ ワンタイムエッチ ワンナイトラブ デート NG

【レスなひとびと】vol. 158


ソロで満たせるオンナの楽しみってなんだ。たくさんありそう。おしゃれ、メイク、SNSの盛り投稿、セルフプレジャー…。

梨沙は、在宅勤務になって1年。在宅スタイルにすっかり慣れてきた。下地と眉毛とリップだけのメイクも楽ちんだ。でも、楽ちんさに反比例して下がってきている気がする。最低限の女性マナー。
腕の毛はフサフサだし、なんなら口元にはうっすらヒゲのようなものが見えている。危ない危ない。これじゃ、おっさんまっしぐらだ。

梨沙には‟ほったらかし”にとやかく言ってくる相手がいない。今の時代、そんなこと言ってくるほうがアウトだし。結婚願望も、彼氏が欲しい欲望もないし。

というものの、時々思いっきりおしゃれをして、デートをしたくなる。恋愛対象として見られ、「きゅん」とされる瞬間。生まれてきてよかった! を楽しんでいる実感が得られるのだ。

「今晩、ごはん行ける人いませんか?」

マッチングアプリの‟ひとこと画面”を更新して、待つこと5分。瞬速でに何人かから、メッセージが届く。今夜は、デート決定だ。

よっし、気合い入れよう。

シャワーを浴びて、バスルームで全身の産毛を剃る。バラの香りのボディローションを塗り塗り。お肌がツルリンでお花の香りだと、なんか嬉しくなる。

入浴後、パックを貼り付けたままセルフエステ。絞ったら水が出そうな肌に仕上げ、髪は丁寧にブロー。夜にぴったりなラメ入りのアイシャドウとスモーキーレッドのリップ。デートは、仕込みが一番楽しい。

待ち合わせは神楽坂のひっそりとしたバーだった。

「はじめまして、竜樹さんですか? 梨沙です」

石畳に立っていた竜樹さんに、後ろから声をかけ、顔をのぞき込む。竜樹が「あっ、かわいい」という嬉し恥ずかしの表情をする。そういうときってわかるのよね。気分バク上がり。

「梨沙さん、今日は何してたの?」

「今日は普通に仕事です。ずっと在宅で、たまには誰かとごはん食べたくなっちゃって」

話の相槌の打ちかたや、うなずきかた。髪をかき上げるタイミングや、目を見つめるタイミング。ひとつ一つを慎重に計算。魅力的って思ってもらえるのは本当に気持ちがいい。

やがて、おひらき。

竜樹さんに「近所だし、家まで送ります」と言われるもワンデイデートのつもり。家を知られるのはちょっと都合が悪い。

「ちょっと歩きませんか」と提案し、散歩に持ち込む。これが、長い長い。いったい何分歩くんだ。もしかして…と思うと、予感は的中。

「梨沙さん、急ですが、僕と付き合いませんか?」

うっ。言われてしまった。付き合う気持ちなんかこっちはない。ワンエッチで充分だけどな。「ちょっと考えさせてくださーい」と言い、そそくさと帰宅。

断りのLINEを考えながら、罪悪感でいっぱいに。ああ、めいっぱい楽しむ夜になるはずが。エッチできずに終わってもうたああ。


【三松さんからのコメント】

おしゃれしてデートに出掛けて、誰かを「きゅん」とさせたくなる気持ち、ありますね。特に付き合いたいわけじゃなくて、「モテ」を感じたいんですよね。

在宅勤務や飲み会自粛が増えた昨今。人と会う機会も減ってしまい、偶発する「きゅん」は減少気味。わざわざ機会を作らないとモテチャンスなしの状況になってしまう。

しかし! 相手は選ぼう。

梨沙さんのように「付き合う気はないけど、たまには誰かとごはんを食べたい、ワンタイムエッチくらいならやってよし」ならば、プロフィールにそう書いてしまうのが大吉。同じような人とマッチすれば、今回のようなガチ申し込み案件が起きづらくなるはずです。こっちがライトな付き合いを求めてるのに、あちらがガチ交際希望だと、お別れにも労力がいるし、ストーカーなどのアクシデントにつながりやすい。

自分のモテ欲、ワンタイムエッチ欲を満たすためだけに相手を使うのはNG。きっと痛い目を見ます。バチがあたる。

相手からいろいろと期待されてしまい、最後に苦しくなるのは自分です。

「結婚したくないのはOKだけど、モテキュン具合を試すのにマッチアプリを使うな。男を小馬鹿にするとえらいめに遭うぞ」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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真由美所長、フェムテックの新会社Gladでinsta開始
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