育児中の私はどうせ…32歳人妻が同窓会で感じた「キラキラ女友達との差」

文・三松真由美 — 2022.1.27
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、1歳と3歳を育児中の32歳女性。家族4人、仲睦まじく暮らしていたが、6年ぶりの同窓会で第一線で働き続ける女友達と再会し…。三松先生が、ありきたりな幸せ像に固執しない、しなやかに生きるコツを教えてくれます!

まゆり(32歳)やさしい夫とかわいい子ども。でも女友達と比べるとキラキラレスで自己嫌悪

同窓会 育児 キラキラ アラサー 

【レスなひとびと】vol. 146


「みんな久しぶり!」

希子は相変わらずキラキラオーラできれいだった。大学を卒業して10年。今日は6年ぶりの同窓会だ。対して、まゆりのファッションは食材の買い物ついでにイオンで調達した流行に関係ないワンピース。

1歳と3歳の息子がいるまゆりは、ふだんワンピースなんて着ない。洗濯しやすい子育て着。希子と同じく金融系でバリバリ働いていた独身時代は、休日にエストネーションでショッピングを楽しみ、トレンドファッションに身を包んでいたけれど。
会社から電車で64分の夫の家で息子二人を育てながら、フルタイム勤務で稼ぐのはやっぱりラクじゃなかった。

昨日の夜に塗ったばかりのはずなのに、すでにハゲかけのネイルが惨めっぽい。指先を隠すようにして、急いで言い訳。

「おばさんっぽくなってびっくりしたでしょ」

「ええっ、そんなことないない、相変わらずまゆりはきれいだなあって」

そう返してくれた希子だけど。内心は思っているんだろうなあ。落ちぶれたって。情けなくなってくる。

SNSで見ている。希子は今も変わらず、第一線で働き続け、休日はお金をふんだんに使って優雅に過ごしていることを。まゆりの暮らしは地味だ。在宅ワークのまゆりの稼ぎは少ないし、夫の良介の稼ぎもたいしたことない。子どもの将来に備えて貯金に励む今、せいぜい月イチの外食がお楽しみ。美容院は4か月に1回。

「希子はずっと美人でうらやましいよ」

「すぐお腹出ちゃうから、必死でジム通いだよ」

「私なんてジムに通うお金も気力もなくて、8kg太ったよ」

自虐で乗り切るしかない。

家が遠いので、早めに帰路についた。郊外の自宅へ戻る電車で、窓ガラスに映った自分をあらためて見る。イケてないヘアスタイルにパツパツの二の腕。なさけないな。美容活動したいけど、忙しいしな。

「ただいま」

「まゆり、おかえり! 楽しめた?」

良介の出迎えに、ぱっと心が明るくなる。ワンオペながら、洗濯物まできれいに畳まれている。すごい。やはり良介は生活能力と体力のある男なのだ。

良介は、いわゆる地元で生きている男。学歴はまゆりより下。まわりからは「どうして彼と?」と言われたが、理由はじゅうぶんすぎるほどある。空手の先生をしているからか、礼儀正しい。とても面倒見がよく、おおらか。絶対にまゆりをとがめたりしない。今日だって、快く送り出してくれた。

良介に感謝しつつ、ふたりの息子の寝顔を見に寝室へ。平和でかわいいふたりの寝顔。後ろから抱きついてきた良介と顔を見合わせて微笑む。


「毎晩、エッチできて幸せ♡」

キラキラ感はないけれど、希子には負けないほど幸せなんだ。


【三松さんからのコメント】

人とは違うモノサシを持ち、責任を持って選択する。実はなかなかできることじゃありません。特にキャリア、結婚、出産に関する重大決定は。

まゆりさん、地味な毎日を送っていると思いこんでいますが、度胸と人生設計力がありすばらしい。ライフステージによって充実感を持つ事柄は変わるもの。

結婚前は恋愛にのめり込むひともいるでしょ。30代でマンション買おうと決めたらそのために貯蓄や投資することで充実感を感じるひともいる。子どもが小さいうちは仕事を辞めて子育てに邁進するひともいる。

ありきたりな幸せ像に固執せず、各々のタイミングで何が幸せなのか考え抜くこと。それが、しなやかに生きるコツです。最近は“レジリエントな生き方”なんて、かっこよく言えますね。回復できる、耐えてゆける!

良介さんとは違うかもしれませんが、情に厚いマイルドヤンキーさんをパートナーにするのもあり! 災害時でも守ってくれるタフな男は日本の各地に存在します。家の近所で働く男性には時間の余裕がありますし、家族思いの人が多い。友達のネットワークも豊富で、困った時の助け合いは当たりまえ。地元じゃ負け知らずです。義理の両親に頼れることが多く、子育てに向いているパートナーになるでしょう。

いずれ子どもが育っていくと幸せ像も変わります。新しい迷いが生まれることも。しなやかに柔軟に動けば「結果オーライ!」と笑えます。

「外見がキラキラレスでも関係ない。心がHAPPYなら全てよし。着飾るキラキラとは違うキラキラを感じ取ってくれる男こそ運命の王子さまなのだ」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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