実は密かに…男性が一生大切にしたい「愛され女性」がしていること
ミサト(23)努力レス&笑顔レス女の自覚。タワマン結婚のあの子に嫉妬してる場合じゃないのに
【レスなひとびと】vol. 129
ミサトには眠れない夜にやってしまう習慣がある。それは、Facebookで嫌いなあの子の名前を検索すること。
「こんな実りがないこと、やらなきゃいいのに、ついやってしまう。私って、呪うタイプなのかなあ」
いつものように彼女の名前を検索すると、ヒットしない。もしかして…? 共通の友人リストから探すと、苗字が変わっている。ミサトはため息をつく。
やっぱり結婚か。
お相手は、なにやらお金持ちっぽい。「入籍しました」の2ショットは、自宅で撮ったようだけど、ボケたバックの夜景でわかる。完全にタワーマンション。
「はあ、やっぱりとことん嫌な女」
中学時代からそうだった。彼女は大して勉強もしないし、話す言葉も薄っぺらい。ただ、自分がかわいいってことはちゃんと知っている。相手が喜ぶという確信のもと、誰にでも笑顔で話しかける。素直に甘える。昔から、学年トップクラスのイケメン男子を骨抜きにしていた。
ミサトが密かに思いを寄せていた宇津木くんだって、彼女がにこっと笑いかけただけで、嬉しそうだったもん。
ついたコメントを見ていると、仕事を辞めて専業主婦になったようだ。タワマンで、夫とかわいい猫と優雅な暮らし。与えられる愛を疑わず、自信を持って享受する。そういうところが昔から嫌いだった。かわいいだけで努力せず悠々と笑う彼女。
ずるい女! あざとい女! したたかな女!
彼女を貶める敵対語を延々考える。
呪い気質のミサトにも彼氏はいる。翌日は、正人との映画館デート。
「ごめんミサト、ちょっと寝坊しちゃって」
待ち合わせの六本木に、正人は10分遅れてきた。服はいつもと同じシャツ、ジャージ素材のパンツ、通勤用のリュック。なんだかなあ。デートに気持ち入ってないなあ。
昨日、呪いすぎて夜更かししたせいか、映画はあまり頭に入ってこなかった。
「カフェでも行く?」
カフェで、正人は先に入って奥の席に座ってしまう。座ったら座ったで、すぐスマホ。いつも正人はそう。細かい気遣いなどない。でもでも「ミサトの笑顔が大好き」と言ってくれる正人が大好きなはず、だったのに。
なんだかうまく笑えない。タワマン結婚のあの子みたいにかわいかったら、大切にエスコートされるんだろうな。遅刻してきたりしないし、車で迎えに来てくれるのかも。
自分をタワマン結婚のあの子と比較して、つまらん想像をしてしまう。ガラス窓に映った自分は、髪も痛んでいるし、猫背だし、全然かわいいと思えない。何もかもが嫌になる。
「どうした? どっか調子悪いんか」
「なんでもない。今日は帰るね」
駅前で正人と別れて、あてもなく2時間もぶらつく。すると前方からジョギング姿のイケてる女が向かってくる。
「ミサトちゃんーー」
ギョギョギョ。タワマン結婚のあの子!! なんで なんで なんで。
「びっくりね。ミサトちゃん、久しぶり。お茶でもしない?」
引き寄せられるように同窓茶会。
「私、太り体質だから高校の時から毎日8キロ走ってるんだ」
「夫はね、両親を事故でなくしてから、がんばって起業したんだ。ずっと支えてきてよかったよ」
「勉強して宅建の資格取ったの。不動産のことは何でも聞いてね」
その他もろもろ。話を聞いてると、自分がしょぼい女に思えた。あの子は、努力レスなわけじゃないんだ。もともとの美貌もあるけど、あの笑顔は努力からくる自信、だったのかもしれない。
わたしって、しあわせなひとを呪う癖がついてる。努力レスで笑顔レスな自分を変えるなら今だ。
「涼子ちゃん、会えてよかったよ! あらためて、お友達になってくれない。LINE交換しよう」
ミサトはニッコリとスマホを差し出した。
【三松さんからのコメント】
「女はね、自分ができなかったことをやった女が一番嫌いなんだよ」
映画『昼顔』の名言です。ミサトさんも、中学時代に自分ができなかった「男子に気軽に笑いかけること」をやってのけた女子が嫌いだったのですね。
笑いかけるくらい、サラッとやりゃいいじゃない。彼女にしてみれば、そう思うのかもしれません。でも、相当自分に自信がなければ、笑いかける勇気なんて持てない。ましてや、恋愛経験のない中学時代。持って生まれたかわいさゆえに、自信満々な彼女がうらやましい。
わかります。
でも、それから10年経った23歳。そろそろ持って生まれた資産だけでは、厳しくなってくるお年頃。ミサトさん、いいタイミングで大切なことに気がつきましたね。
自分磨きのきっかけになるなら、嫌いな女性がいるのも悪くない。
髪のトリートメントに、姿勢改善。もし自分が気になるのであれば、努力のチャンス。気になる箇所をひとつでも改善できたのなら、それは自信になって、笑顔のもとになるはずです。
「他者を呪ってる自分に気づいたら、立ち止まれ! 自分の中に3つくらいレスがあるはずだ。努力レス、笑顔レス、上昇根性レス。レス改善でハッピー体質になろうね」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。
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三松真由美 note 恋と結婚とエッチのテーマ更新中
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「君とはもうできない」と言われまして
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©Taiyou Nomachi/Gettyimages