夫とセックスレスで不倫…人妻が辿った「悲惨すぎる末路」

文・三松真由美 — 2020.11.12
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、夫がセックスレスで、欲求不満のあまり、不倫してしまった人妻33歳。ある時、夫にスマホを見られて…。三松先生が不倫を成敗します!

【レスなひとびと】vol. 95

菜穂(33歳)貞操観念レスで、お気楽によその夫とやっちまって最大のピンチ!

不倫 セックスレス

「彼氏がほしいよう」

結婚して2年ほどになる菜穂の最近の口癖だ。結婚式に来てくれた友人たちにはさすがに言えないから、行きつけのバー『FREEDAM』で、マスターに愚痴る。

「最近ずっとそれ言ってるね。旦那さんと上手くいってないの?」

「仲はいいけど、もう1年くらいセックスレスだし、友だちみたいなんだよね」

夫、拓人は結婚してすぐ単身赴任となり、札幌に住んでいる。月に2度の週末は飛行機で帰ってくる。菜穂はほとんど家にひとり。そんな環境のせいか、独身気分から抜け出せない。

菜穂は、結婚するまでずっとモテ女だったのだ。くるりとした目にエクボ。アイドル顔。中学から告白ってやつが尽きたことはない。学生の頃は彼氏がいても、ほかの男といたしてしまうこともあった。数え切れないくらい。

「ワンナイトなら浮気じゃない」

が菜穂の結婚前の口癖だ。

そんなモテ菜穂が拓人だけはスペシャルに好きになった。他の誰とも遊ばず一途に連れ添っているのに、セックスレスとはどういうことだ。帰宅したときくらいしてくれてもいいじゃないか。月に2回でいいから…したい。

もともと、拓人にとってエッチがそんなに重要じゃないことは気づいていた。結婚するまでは菜穂に合わせてくれていたが、結婚後ご無沙汰。結果、菜穂の不満の限界を迎えたというわけだ。

マスターが言う。

「うーん。常連のハヤちゃん紹介しよか? 彼も既婚だから。お互い遊びで都合がいいんじゃない」

「ハヤちゃんって、林さん? 渋いイケメン。最高じゃん! つなげてよ」

そこから話はトントン拍子。スピーディな展開だ。平日夜に近くのラブホで待ち合わせてエッチしてみることに。渋めな雰囲気でバーで寡黙に飲んでいた彼は、夜はまさかのドMで赤ちゃん言葉。快感を感じると大きな声でワオウウと雄叫びをあげる姿は菜穂好みじゃない。

拓人なら、時折セクシーな吐息を漏らすくらいなのに。思わず夫の姿を思い出し、むなしくなる。ハヤちゃんのAVのプレイをそのまま真似したような荒々しいエッチは、ただただ辛く、最低な気持ちになった。

が、菜穂の気持ちに反し、ハヤちゃんは、Sっ気のある菜穂の性格に惚れ込んだようで、しつこく連絡してくるようになってしまった。1回ポッキリの関係。どうでもいいので無視を続ける。週末、菜穂がお風呂に入っていると、拓人が帰宅した音がした。

「あ、今日は早い便だったけ?」

ワンナイトをしてしまった罪悪感もあるので、今日は拓人に優しくしようかな。そんなことを考えながらお風呂を出ると、拓人が背を向けたまま言った。

「林って誰?」

なんとリビングにスマホを置きっぱなしにしていた。菜穂がお風呂に入っている間に、ハヤちゃんから連絡があったようだ。

一体拓人は何を見たんだ!?

なんでもないとシラを切るか、スマホを見たことに逆ギレするか。LINEをたどればエッチしたことが明らかなので、ここで拓人に怪しまれたら菜穂が不利となる。

たった1回のことなのに、こんなことになるなんて。私が愛してるのは拓人だけなのに。菜穂は、この修羅場を上手く乗り切れられるのか。


【三松さんからのコメント】

自業自得の展開ですね、菜穂さん。これでしどろもどろになり、拓人さんにLINEをたどって見られて、離婚となってもまったく同情の余地なし。何も知らずに、隔週、北海道から飛んで帰ってきている健気な拓人さんが気の毒です。

ただ、菜穂さんの“異性とエッチしたい気持ち”を全否定もできないのが結婚生活のむずかしいところ。夫婦がレスになった場合、歩み寄らなければ一生セックスできなくなるわけです。

結婚したのだから、夜の生活も含めてお互いの気持と希望をヒアリングするのが花丸夫婦です。「エッチは疲れるからなくていいけど、それ以外は仲良しだからいいじゃん」と言うのは独りよがりの想像に過ぎません。相手もそう考えているとは限らない。

でもでも、どんな理由があろうと不倫はダメ。不倫は、ひとつの逃げ道。ドキドキ感満載で魅力的に見えますが、物事は解決しません。ばれたとき、全員が傷を負う。

菜穂さんが今後しなくてはならないのは、不倫ではなくセックスレスを解消するための話し合い。原因を考えてみること。カップルカウンセリングもありですね。

夫婦の問題は複雑で、どちらが良い悪いと答えが出せるものではありませんが、不倫をした時点で、した方が絶対悪です。ワンナイトでバイバイではすみません。

「不倫界へのデビューはやってはいけないことNo.1だと胸に刻め。不倫で幸せになったひとがいるか周りを見渡せ」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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