エッチの快楽の代わりに…不倫落ちの三十路女が犯した「大きな過ち」

文:三松真由美 — 2020.7.23
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、興味本位で始めたものの、不倫の沼にズブズブとハマってしまった31歳女性。自粛生活で自分は“日陰の女”であると思い知らされた彼女は…。三松先生が、不倫という罪の重さを説きます!

【レスなひとびと】vol. 83

雅子(31歳)倫理観レスで、不倫に穴落ち。自粛開けと同時に穴から這い上がれよ

ふたりで何度も来た六本木のフレンチレストラン。匠がやって来ると、とびきりの笑顔で手を振る雅子。ここで食事したいと雅子がリクエストしたのだ。

「相変わらず雅子はきれいだ。久々に会えてうれしいよ」

微笑みながら雅子がチラリと見たのは、匠の薬指。シンプルなリングがうらめしい。匠は前職の会社の役員だ。業績達成を祝う会で席が隣になり、匠から声をかけてきた。雅子は社内で噂になるのは避けたいと思っていた。

とはいえ、「いけない関係」ってどんな感じなんだろうと、好奇心もあるのは確かだ。相手としては申し分ない。40代後半、アラフィフの大人の男の色気が漂う匠。会話の内容も年下の若手社員とは全然違って、感心することばかり。

「人生経験だ」とつぶやいて一回だけデート……。

3軒目のバーのカクテルを飲んだあたりから意識が飛び、気づけばホテルのキングサイズベッドの上。匠は、何度も何度も雅子の敏感なところを指で優しくかき回し、舌で弄んだ。イッてもイッてもイカされ続けた。

落ちた。いや堕ちた。

あんな“イカし方”できる男なんてほかにいないぞ。

それからは会社で気になる存在に。

5度目のデートのときに、匠の携帯のロック画面が目に入る。そこには2歳くらいのかわいい女の子の笑顔。自分への嫌悪感で両手が震える。テレビドラマでワナワナ震えるシーンを見るたびに「あんな震えかた、ないよねー」と鼻で笑ってたが、実際に動揺するとこんなに震えるんだ、と手のひらを見つめた。

その頃には、もう引き返せないほど匠のことを好き。ラインで不安をぶつけたり、口論したりしながらも離れられず1年半経過していた。そんな時、自粛モードになり、匠は完全リモートに。不倫がバレるのを防ぎたいからと、雅子からの連絡はNGになった。

日陰の存在なのだと思い知らされたうえに、寂しさに涙する日々が続く。自粛中、田舎に住む母から電話があった。

「感染に気いつけて。会社行ったらだめよ。あんたは真面目でいい子やけん心配や」

瞬間、涙がこみ上げる。電話を切る。

「わたしは全然真面目でもいい子でもない」

自粛開けたら、私の胸の扉も開けよう。雅子は、こぶしで胸をトンと叩いた。

ディナーのあと、いつものように匠がホテルへのタクシーを呼ぼうとする。

「タクシー乗らないよ」

つややかな髪をかき上げ、できるだけ優雅でいい女をイメージして。

「今までありがとう」

ヒールをカツっと鳴らし、ひとりで店を出る。唖然とする匠。

匠からの追いかけ電話には出ず、LINEもSNSも歩きながら全部ブロック。頬は涙でくしゃくしゃに濡れている。待受けの可愛い女の子の笑顔を思い出し「ごめんね」と呟く。

雅子は新しい生活様式とともに、“新しい自分”に向かって歩き始めた。


【三松さんからのコメント】

「不倫なんて何でするの? 」

それは誰しも思うこと。わたし自身も“不倫は絶対ダメ派”です。雅子さんは一時の好奇心から始まりました。ほかにも寂しさを埋めてほしい、好きになった相手がたまたま既婚、エッチがいい、などさまざまな要因で突入するかたたちがいます。

そして不倫する理由がない方たちも、夕立で雷に打たれるように、道にあった穴に気づかずドスンと落ちるように突入する場合があります。いかにも不倫しそうなチャラキャラのひとばかりが突入するのではなく、交際経験のあまりないピュアな女性が穴落ちするケースも多いのが現状です。

今回の雅子さんのように断りづらい社内の上司に誘われ、気づけばお持ち帰りされていたなんてストーリー、小説に書いても誰も驚かない「あるある」になってきています。

誰にでも起こりうることだからこそ、自分が穴落ちせぬよう意識集中して生きましょう。

穴落ち防止法

  • 既婚者とふたりで会うのは避けろ(イロハのイ)
  • ロマンチック攻略に動じない(夜景、ワイン、高級ホテルなど提供されるイレギュラーな環境にぐらつく場合多数)
  • 「モテてる」と勘違いするな(自分だけを愛してくれると錯覚させられるが、虚構の世界)
  • 薬指の指輪がない、家庭の匂いがしないなど馬鹿な安心要素を見つけようとするな(んなもんなんぼでもカモフラできる)
  • 自分を正当化する言いわけを作るな(だって愛し合ってるから等、言いわけをするたびに幸せが逃げる)

「絶対ダメとわかっててするのは厄介不倫。ひとときのワクワクと割り切ってするのは確信不倫。どっちも他者を傷つける。神さまはお空で見ていて、あなたの幸せ残高をゼロ円にされます。アーメン」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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